何度も胚移植しても着床しない|鍼灸ができること
体外受精がうまくいかないお悩みに鍼灸のススメ

「卵のグレードは良かったはずなのに」「あんなに安静にしていたのに」……。
判定日に崩れ落ちるような思いを何度もされてきたことでしょう。
体外受精には多額の費用と、毎日の自己注射、そして何より「次こそは」という大きな期待が伴います。
その期待が裏切られる痛みがどれほど深いものか、25年、多くの患者さんと共に歩んできた私には痛いほど分かります。
まずは、ここまで頑張ってきた自分をねぎらってください。
本当にお疲れさまです。
体外受精の胚移植で何度も着床しないのは、胚の質や子宮の状態、着床タイミングなど複数の要素が絡みます。
西洋医学的な原因の精査と適切な治療も重要です。
同時に、東洋医学(鍼灸)が、体全体の循環・自律神経・ホルモンバランスを整えることで、子宮環境と着床力を高める補完的なアプローチとして役立つ可能性があります。
今回は、体外受精でなかなか結果が出ないお悩みのあるあなたへ、鍼灸(東洋医学)がお役に立てることをご説明します。
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西洋医学からみた体外受精で着床しない不妊

体外受精の胚移植を繰り返しても妊娠に至らない状態は、一般に 「反復着床不全(RIF:Repeated Implantation Failure)」と呼ばれます。
これは、良好な胚を複数回移植しても着床が成立しない状態で、原因は単一ではなく多岐にわたります。
原因は大きく「胚側の要因」と「子宮側の要因」に分けられます。
胚側では染色体異常のように見た目では分からない遺伝的な問題が多く、これを軽減するために着床前スクリーニング(PGT-A)で正常胚を選ぶ選択肢が検討されることがあります。
一方、子宮側の要因としては、子宮内膜ポリープや筋腫、卵管留水腫などの物理的要因に加え、慢性子宮内膜炎や子宮内膜の受容能の異常、抗リン脂質抗体症候群などが関与することが指摘されています。
これらは検査で見落とされやすく、着床能に漠然とした影響を与えることがあります。
したがって、「見た目は良い胚で問題がない」と言われても、着床に必要な子宮内膜の環境や胚を受け入れる力そのものに機能的不調がある可能性があるのです。
西洋医学的な治療法
反復着床不全に対する西洋医学的な治療・対策としては、以下のようなものが一般的です:
・追加検査による精査
慢性子宮内膜炎の検査、子宮鏡検査、子宮内膜受容能検査(ERA)などを行い、子宮内環境や着床の「窓(タイミング)」を評価します。
・慢性子宮内膜炎の治療
抗菌薬による慢性子宮内膜炎の治療を行うことで、次周期以降の着床率が改善する可能性が示されています。
・ホルモン治療
黄体機能不全や甲状腺異常などがある場合、ホルモン補充療法や調整によって子宮内膜の受容力向上を図ります。
・免疫・抗凝固療法
抗リン脂質抗体症候群などが見られる場合、抗凝固療法や免疫調整療法が検討されるケースがあります。
・胚側の選択
PGT-Aにより染色体正常胚を選択することで成功率が高まる可能性がありますが、着床率改善効果には個人差があります。
これらを組み合わせ、個々の状態に合わせた治療計画が立てられていきます。
鍼灸(東洋医学)をお勧めするるワケ

病院の治療は「投薬によるコントロール」が主ですが、鍼灸は「あなた自身の体機能を呼び覚ます」アプローチです。
ここに東洋医学(鍼灸)が果たす余地があります。
鍼灸は、東洋医学の理論に基づき、体全体の「気・血・水」の循環とバランスを整えることを目的としています。
■血流促進の効果
例えば、緊張やストレスが強いと交感神経が優位になり、末梢血管が収縮してしまいがちです。
この結果、子宮・卵巣への血流が滞りやすくなり、内膜の厚さや質が十分に整わないことがあります。
鍼灸は自律神経のバランスを整え、血液循環を促すことで、こうした「気・血」の滞りを改善していきます。
また、ストレスや不安感が軽減されることでホルモンバランスも安定しやすくなり、胚移植時の内膜環境を良好に保つことに寄与します。
■体質改善の効果
もう一つ重要なのは、東洋医学では「体質」という視点で全身を見立てることです。
体質には冷え、血流不足、代謝の低下、自律神経の不調、栄養循環の不足などさまざまなパターンがあり、これらが複合して着床力に影響している場合があります。
鍼灸は単に局所に働きかけるのではなく、全身のバランスを整えながら子宮環境の最適化を図るアプローチです。
実際に、慢性的な冷えや自律神経の乱れがある患者さんが、鍼灸を継続することで基礎体温が安定し、子宮・卵巣への血流が改善し、移植周期での着床率が上がった例も少なくありません。
■リラックス効果
さらに、鍼灸にはリラックス効果があり、心理的な不安や緊張感を和らげる効果があります。
これは西洋医学的な治療と併用する際に、患者さん自身が心身ともに治療に向き合いやすくなるというメリットを生みます。
着床不全の悩みは、肉体だけでなく心への負担も深刻ですので、心身両面からのアプローチが可能な鍼灸は選択肢として価値があります。
したがって、「何度も着床しない」という悩みに対して、鍼灸は単なる補助療法ではなく、あなたの体全体のバランスを整え、着床しやすい体質へと向かわせるための戦略的な施術として意味を持ちます。
体外受精で着床しづらい東洋医学による体質の特徴
同じくなかなか着床しないと言っても、その人の持つ「体質(気血水のアンバランスなど)」には違いがあります。
以下に代表的な体質をご紹介します。
冷え体質(血の停滞)
冷えは東洋医学で最も代表的な妊娠力低下のパターンです。
体幹や下腹部の冷えは血液循環の滞りを生み、子宮・卵巣への栄養・ホルモン供給を不十分にします。
この状態では、内膜が十分な厚さと質を保てず着床に至りにくくなります。
脈や舌の色・体温の分布などから「血の停滞(瘀血)」の兆候を読み取り、局所と全身の循環を改善する施術を行います。
ストレス過多・自律神経の乱れ(気の滞り)
現代の女性に多いのがストレス過多です。
ストレスは交感神経優位を招き、内分泌リズムを乱します。
東洋医学ではこれを「気の滞り」と表現します。
気がうまく巡らないと、血流やホルモンバランスが不安定になり、着床期の子宮内膜環境が整いにくくなります。
鍼灸は気の巡りを調整し、自律神経系を落ち着かせることで内膜環境にプラスの影響を与えます。
血虚(血の不足)
「血虚」は血の質や量が不足している状態を指します。
疲労感、顔色の悪さ、基礎体温が低め、めまいなどを伴い、子宮・卵巣への充分な栄養供給ができません。
これは見た目に異常がなくても機能的には不妊につながります。
舌質・脈象から血虚を見極め、鍼灸で血の生成と循環を促進します。
子宮内膜の受容能の乱れ(タイミングズレ)
東洋医学では、内膜が胚を迎えるタイミングは体全体のリズムと関係します。
ホルモンバランスの乱れは気血の調和不全として見立てられることが多く、鍼灸はこのリズムを整えることで、子宮内膜が「胚を迎え入れる準備」をしやすい状態に整えます。
妊娠力の低下(腎虚)
東洋医学では「腎(じん)」という概念が生命力・生殖力に関与するとされ、腎を補う施術でホルモンバランスを整え、着床に有利なリズム作りをサポートします。
これらは単独というより、複合的に絡み合っていることが多く、総合的な体質の見立てが重要になります。
東洋医学は単一の症状ではなく、全身のバランスからアプローチしていきます。
胚移植の着床を助けるツボ
体外受精・胚移植の成功力を高めるうえで、次のツボは体質を問わず刺激が有効です。
セルフケアのためのツボとして参考にしてください。
■三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
肝・脾・腎の三つの経絡が交わるツボで、女性にとって特に重要なツボで、3つの経絡が交わる場所にあります。
血流改善とホルモンバランス調整に役立つ。
■足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
全身のエネルギーを補うのに役立つ。
■関元(かんげん)
指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、小指があたっているところ。
下腹部の気血循環を促進に役立つ。
■腎兪(じんゆ)
まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さで背骨の両脇を親指で押して気持ちよく感じるところ。
生命力・ホルモンバランス調整に役立つ。
■太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
ストレス・自律神経調整に役立つ。
※ただし、ツボ刺激は体質や状況により反応が異なりますので、専門家による施術をおすすめします。
まとめ — 鍼灸で体質を整え、着床しやすい体へ

体外受精で何度も着床しない悩みは、単一の原因だけではなく、胚の質、子宮環境、ホルモン・自律神経のバランスなど複数の要素が絡んでいます。
西洋医学的な精査と治療はもちろん大切ですが、同時に体全体のバランスを整える東洋医学(鍼灸)の視点は、着床力を高めることに役立ちます。
当院では、一人ひとりの体質を丁寧に見立て、あなたの着床力を高めるためのオーダーメイドの鍼灸施術を提供しています。
「何度も着床しない辛さ」を抱えるあなたの力になれるよう、全力でサポートいたします。
どうぞお気軽にご相談ください。
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