20代、1年間で3回の流産経験がある鍼灸症例
20代、1年間で3回の流産経験がある症例
患者さま
20代 女性
初来院
2018年12月5日
お悩みの症状
何度も流産を繰り返す
初来院までの経過
2年3ヶ月前から妊活開始。
1年くらいたって妊娠するも7週で流産。
3ヶ月ほど時間をおき妊活再開し、すぐに妊娠。
しかしこれも7週の時点で流産。
また3ヶ月ほどあけてから妊活を再開。
今回も割とすぐに妊娠するも、今回は9週の時点で流産となる。
1年間で3回の流産を経験したので、不育の検査をしようと自ら病院に行く。
血液検査を行うも「(確認できる)問題なし」とのこと。
さらに子宮鏡での検査などもあるが、と勧められるがとりあえず保留。
自分たちでタイミングをとるつもりである。
同時に病院とは違うアプローチとして、体質改善を希望して鍼灸を選択、来院。
婦人科以外では慢性肩こり・慢性腰痛・冷え・疲れがある。
治療方針
年齢的にも若く、妊娠するところまでは順調のようなので、あとは妊娠状態を維持するために「脾」「腎」「肝」のチカラを安定させることを意識する。
同時に、普段からのつらさであるコリをとって、気血の円滑な巡りを作るようにする。
治療と経過
1回目。
「関元」「大巨」に棒温灸+置鍼した後に点灸。「合谷」「足三里」「三陰交」に置鍼。足にホットパック。「肩こりの部位」「腰痛の部位」に単刺+円皮鍼。「隔兪~次髎の中の反応穴」に鍼+棒温灸。
2~11回目(1週間に1回ペース)。
生理痛が軽くなった、とのこと。
基本的には1回目の施術に準じつつ、その時その時の不調の場所に力を入れて施術する。
12回目(初回から3ヶ月後)
妊娠検査薬で陽性だったので、病院に行き確認した、とのこと。
「妊娠しても安心できない、ここからが本番」とのことで継続治療となる。
施術の刺激量をソフトにして、脾・腎・肝に効果的な要穴を使用する。「三陰交」は丁寧に点灸をする。
13~23回目(1週間に1回ペース)
途中つわりの症状も出たり、情緒不安定になったり、と多少浮き沈みがあったが妊婦検診も順調に経過する。
最後の施術で妊娠16週になり、患者さん本人も安心できたので、鍼灸は終了とする。
同時に治療した症状
・肩こり
・腰痛
・つわり
・疲れ
・冷え
まとめ
流産は原因が不明なことが多いので、結果、病院で出来る手立てはさほどない。
鍼灸(東洋医学)では、体質的に脾虚や腎虚などの「虚」的な場合と、瘀血のように血流が悪いこと(「実」的な場合)で起こるケースがあるとみる。
その人の体質的な状況を、より好ましいものに変化させていくことで、健全な肉体を作り、結果不要な流産を防ぐ、ということになる。
今回は、1年で3回も流産を経験された方のケースであった。
若干虚寄りではあったが虚実入り混じる体質だったので、それに合わせて鍼灸を行った。
鍼灸を開始して3ヶ月ほどで妊娠、その後も問題なく経過できたのはうれしい。
治療は淡々と受けていかれたが、患者さんの本心の不安はいかばかりだったか、と推察する。
鍼灸がこのような不安に対抗するお手伝いができることはとてもやりがいである。