新型コロナ後遺症と鍼灸治療

コロナ後遺症とは

コロナ後遺症写真
新型コロナウイルス感染症による後遺症は、発症してからおよそ2週間以上たっても消えない症状のことです。

症状は、倦怠感・記憶力低下・頭痛・咳・呼吸困難・関節痛・筋肉痛・不眠・乾燥肌・脱毛・嗅覚・味覚障害など様々です
とくに、疲労感やブレインフォグと言われる思考力の低下、脱毛、味覚・嗅覚障害などはマスコミでも取り上げられることが少なくありません。

・嗅覚異常 32%
・倦怠感 27%
・味覚異常 25%
・発熱・微熱 18%
・呼吸困難感 15%
・せき14%
…という割合が報告されています(令和3年5月末時点の東京都病院経営本部のデータ)

コロナ後遺症と東洋医学

コロナ後遺症と東洋医学写真
原因がわかっていないため西洋医学での対応では根本的な解決につながらないケースが多いのが現状です。
もちろん、西洋医学で難しい症状が東洋医学(鍼灸)であれば必ず良くなるなどと言い切れるものではありません。
ただし、西洋医学とは異なったアプローチである、全身のバランス調整する効果のある鍼灸(東洋医学)には回復促進が期待できます

東洋医学(鍼灸)でのコロナ後遺症のみかた

コロナ後遺症は「神経の異常」「疲労倦怠感」が大きなくくりになりそうです。
・神経の異常とは、脳の高次神経機能の障害であるとの報告もあります。
東洋医学では、これらは気・血・水の巡りの悪さが原因をみます。
・疲労倦怠感は消耗からくるもので、東洋医学では気・血の虚(不足)が原因とみます。

以下に、代表的な状態を3つ解説します。

脾気虚(ひききょ)

食欲低下や倦怠感は、東洋医学の考え方では「脾気虚」と言います。
エネルギーを作り出す働きが低下しているために起きると考えます。
対策としては、脾胃の働きを高めるツボを多く使っていくことです。
足三里・中脘・肝兪・脾兪・胃兪などです。
漢方薬なら補中益気湯や六君子湯。

血虚(けっきょ)

脱毛やブレインフォグは体中に潤いや栄養を運ぶ血(けつ)が不足しているために生じると考えます。
対策としては、血を補う効果のツボを多用することです。
三陰交・足三里・膈兪・肝兪・百会などです。
漢方薬なら四物湯や十全大補湯や人参養栄湯。

瘀血(おけつ)や痰飲(たんいん)

味覚・嗅覚障害は、異常を起こした神経周囲の血流改善や浮腫を軽減を目的に、血流促進や余計な水分の排出促進の効果のあるツボを用います。
血海・膈兪・豊隆・陰陵泉・合谷などです。
漢方薬なら当帰芍薬散。

なお、
以上の3つの状態が複合的にあわさるケースも少なくありません。

まとめ

コロナ後遺症まとめ写真
コロナ後遺症はまだまだ分かっていないことも少なくありません。
そのせいもあり、西洋医学ではできることにも限界があります。

「西洋医学で有効な治療方法がない慢性的な症状」には東洋医学(鍼灸)がお役に立てることが少なくありません

少なくとも、
全身の気血水のアンバランスを調整するという対処方法が鍼灸にはあります。

神経も異常になってから半年間ぐらいが再生可能性の高い時期と言います。
鍼灸はじめ東洋医学を試していないようであれば、選択肢の一つに入れていただき、なるべく早く治療を開始すると良いでしょう。
患者様の状況をお聞きし、舌・脈・腹などを中心に全身の状態を観察し、最善の施術で対応いたします。

ただし、
鍼灸も1回受けて大きく劇的に変化するものではないことも予めお伝えしておきます。
少なくとも数回の施術は必要だと考えます。
とくに疲労感などエネルギー不足からくる症状はゆっくり変化していくことが考えられます。

またもちろん、
西洋医学でもコロナ後遺症に力を入れて治療にあたっている病院もありますので、そういった専門性の高い医療機関と併用しながらが効果にもつながると考えます
西洋・東洋の両方を活用して、おツラい後遺症が一日でも早く改善するよう願っています。