1ヶ月前から続く耳鳴りが不安だったが鍼灸で改善|船橋市30代女性

耳鳴り・難聴が改善した鍼灸症例

耳鳴りへの鍼灸症例・写真1

「キーン」「ジー」といった耳鳴り。
耳鳴りは不快で主観的なものですが、主観的であるがゆえに精神的にも影響が大きいです。
ご本人にしか分からない不快な音で、集中力の低下、イライラ、そして何より夜眠れないといった影響を生活に及ぼします。

今回の方も、突然始まった耳鳴りがなかなか治らないことに悩み、不安を強く感じていました。
もちろん病院にもかかり、それでも改善しないために鍼灸を試そうと来院されたケースです。

今回は、つらい耳鳴りとそれに伴う不眠に悩まされていた患者様が、当院の鍼灸治療によって症状が落ち着かれた症例をご紹介します

当院で実際にあったリアルな体験談です。

患者さまの情報と経緯

年齢・性別・お住まい:
30代女性・船橋市在住

鍼灸院に来るまでの経緯:
ご来院いただく1ヶ月ほど前から、突然耳鳴りと難聴が現れたとのことでした。
耳鳴りの音は主に「キーン」という高音から始まり、のちに「ジージー」という低い音になっていったようです。

この耳鳴りは、患者様にとって初めての経験ではありませんでした。
4年ほど前にも似たような耳鳴りを経験されており、
その時は3ヶ月ほどで自然に改善したという経緯がありました。

そのため、今回もすぐに治るのではないかと考えていらしたそうですが、症状が改善せず、不安を感じていらっしゃいました。

症状が現れてすぐに、患者様は耳鼻科の病院に行かれました。
しかし、詳しい検査を受けたにも関わらず、医師からは「特に異常はありません」という診断だったそうです。

耳鳴り自体は原因不明とされ、ビタミンB12を処方されたのみでした。

この診断に、患者様は安堵と同時に、「異常がないのに、なぜこのつらい症状があるのだろう」「原因が分からないと治らないのではないか」という不安な思いを抱いていました。

病院での治療で改善が見られず、耳鳴りはその後も続き、特に静かな場所にいると余計に気になります。
「ジー」という持続的な耳鳴りは、夜間の睡眠に影響していました。

耳鳴りが気になってなかなか寝付けないでいました。

病院以外の何か他の方法で耳鳴りを改善したいと当院の鍼灸を試してみようとご来院に至りました。

耳鳴り以外にも、患者様はいくつか気になる症状を抱えていらっしゃいました。
・不眠:先述のように寝つきが悪く、睡眠の質が低下していました。
・ドライアイ。
・首肩のこり。

これらの症状は、一見耳鳴りと無関係に思えるかもしれませんが、東洋医学的には体全体のバランスの乱れとして捉え、耳鳴りの原因とも関連があると考えます。

この人を東洋医学ではどうみるか?

東洋医学では、私たちの体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がバランスを取りながら巡ることで健康が保たれていると考えます。
「気」は生命活動のエネルギー、「血」は全身に栄養を運ぶ血液とその関連物質、「水」は血液以外の体液全般(リンパ液、唾液、汗など)を指します。

これらのどれかが不足したり、滞ったり、偏ったりすることで、体全体のバランスが崩れ、様々な不調が現れると考えます。

不安や不眠などは「血の不足」などと見ますし、ストレスは「気の滞り」とみます。
以下にこの人を東洋医学ではこう解釈したという内容を説明します。

■血虚(けっきょ)
今回の患者様の耳鳴りを東洋医学的な視点から考察すると、その根本には「血虚(けっきょ)」という体質があると考えられました。
「血虚」とは、文字通り「血」が不足している状態を指します。

「血」は全身に栄養を行き渡らせる働きがあるため、血が不足すると、体の各組織、特に脳や感覚器(耳や目など)に十分な栄養が行き届かなくなります。

血虚によって耳への栄養供給が不十分になることが、耳鳴りや難聴といった症状の一因となり得ると考えられます。
患者様のドライアイも、「血」の不足が目に現れた症状と捉えることができます。

■肝気鬱結(かんきうっけつ)
もともとストレスを感じやすいタイプでもあり、東洋医学では、ストレスは「肝(かん)」という臓器の働きを乱すと考えます。
「肝」は、気の巡りをスムーズにする働きを担っています。
ストレスによって「肝」の働きが滞ると、「気」の流れが悪くなり、これを「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。

この患者様の場合、「血虚」という体質に加えて、精神的なストレスによる「肝気うつ」が重なったと考えられます。

「肝気うつ」によって気の巡りが悪くなると、それに伴って「血」の巡りも滞りやすくなります。
気と血は常に一緒に流れているため、気の滞りは血の滞りを招き、血の滞りは気の巡りをさらに悪化させるという悪循環を生み出します。

このように、血虚による耳への栄養不足、そして肝気うつによる気血の巡りの悪化が組み合わさることで、この患者様の耳鳴りが発生・悪化したと判断しました。

特に「キーン」という甲高い耳鳴りは、東洋医学では「肝」のトラブルや気の滞りによって起こりやすい症状の一つとされています。
また、「ジー」という持続的な耳鳴りは、気血の滞りや体力の低下に関連することもあります。

さらに、不眠や首肩こりといった症状も、東洋医学的には気血の巡りの悪さや血虚と関連があると考えられます。
血が不足すると心(しん)の働きが不安定になり、不眠を引き起こすことがあります。

また、気血の巡りが滞ると筋肉への栄養や酸素供給が滞り、こりや痛みを引き起こしやすくなります。

当院では、このような「東洋医学的な見立て」を重視しています
東洋医学的な用語で、説明が分かりづらかったかもしれませんが、知っておいていただきたいのは「東洋医学的に体をみて、実際の鍼灸治療を組み立てている」という原則です。

治療方針

上記の東洋医学的な考察に基づき、今回の患者様に対する治療方針を立てました。

■血を補う(補血)
患者様の根本にある「血虚」という体質を改善するために、体の中で「血」を作り出し、全身に巡らせる力を高めるツボを選び、鍼やお灸で刺激します。

「血」が十分に満たされることで、耳や脳といった感覚器に必要な栄養がしっかり供給されるようになり、耳鳴りの軽減に繋がると考えられます。同時に、血虚が原因と考えられる不眠や飛蚊症といった症状の改善も期待できます。

■気血の巡りを良くする(疏肝理気、活血)
ストレスなどによって滞っている「肝」の働きを整え、全身の「気」の巡りをスムーズにすることで、「肝気うつ」の状態を改善します。

気の巡りが良くなれば、それに伴って「血」の巡りも促進されます。
気血が滞りなく全身を巡ることで、耳への血流も改善し、耳鳴りの軽減に繋がると考えられます。
また、気血の巡りが良くなることは、首肩こりといった症状の改善にも効果的です。

治療内容と実際の経過

1回目:
仰向けで、全身の気血の巡りを整え、「血」を補う効果が期待できるツボ(内関、陽陵泉、足三里、中封)に鍼を打ちました。鍼を打った後、しばらく置鍼(ちしん)といって、鍼を置いたままの状態でリラックスしていただきました。

また、お腹の「中脘(ちゅうかん)」と「期門(きもん)」というツボには、棒温灸(もぐさを棒状にしたものでツボを温める方法)を当てて温めました。
「中脘」はお腹全体の調子を整え、気の流れを良くする効果が、「期門」は肝の働きを整え、気の滞りを解消する効果が期待できます。
温かい刺激は心地よく、患者様もリラックスされていました。

足先にもホットパックを当てて温めました。
これは、足元を温めることで全身の血行を促進し、リラックス効果を高めるためです。

耳の周囲のツボには、ごく小さな置き鍼のようなもの(パイオネックスゼロ)を貼りました。
これは、耳の局所の血行を改善し、耳鳴りを軽減する目的で使用しました。
鍼が初めての患者様でも痛みを感じにくい、非常に優しい刺激です。

その後、座位になっていただき、とくにこりが気になる首肩周りのツボに点灸(ごく小さくひねったもぐさを燃やし、一瞬チクッとした刺激を与えるお灸)を行いました。
点灸は局所の血行を改善し、こりを和らげる効果があります。

うつ伏せで、背中にある全身のバランスを整える重要なツボ、「風池(ふうち)」(頭痛や首肩こり、耳の症状)、「心兪(しんゆ)」(不眠や精神的な症状)、「膈兪(かくゆ)」(血の病全般)、「肝兪(かんゆ)」(肝の働きを整える)といったツボに鍼を打ち、置鍼を行いました。
これらのツボは、東洋医学的な病態(血虚、肝気うつ)に直接アプローチするために選びました。

2回目~4回目(週1回ペース):

患者様から「1回目の治療の後、少し耳鳴りが弱くなった気がする」という嬉しいご報告がありました。
ただし、日によって耳鳴りが気になる日とそうでもない日の変動があるとのことでした。
これは、症状が改善に向かう過程でよく見られる経過です。

2回目以降も、1回目の治療で効果が見られたツボを中心に、基本的な治療内容に準じて施術を行いました。
毎回の治療前に患者様のその時の体調(耳鳴りの状態、不眠の程度、首肩こりの具合など)を詳しく伺い、治療内容を微調整しました。

例えば、首肩こりが気になる日には、点灸や円皮鍼(えんぴしん:皮膚に貼る小さな置き鍼)をこりの強い部分に追加したり、不眠が強い日には、不眠に効果的な他のツボを加えたりといった調整を行いました。

患者様の「今、一番つらい症状」に寄り添い、その時に最も効果的なアプローチを選択することで、治療効果を高めることを目指しました。

4回まできて、耳鳴りの音量や不快感が、徐々にではありますが確実に軽減していることを実感されているようでした。
日によって変動はあるものの、全体として耳鳴りの程度が落ち着いてきていることを、患者様ご自身も感じていらっしゃいました

4回目の治療を終えた時点で、患者様の耳鳴りは完全になくなったわけではありませんでしたが、ご来院当初に比べるとその程度はかなり落ち着いてきており、日常生活での不快感が軽減されたとのことでした。

耳鳴りが小さくなったことで、精神的な負担も軽くなり、気持ちも前向きになられた様子でした

患者様と相談の結果、症状が改善傾向にあり、日常生活への影響も軽減されたため、ここで一旦鍼灸治療は終了することとなりました。

今回の症例では、短期間の治療で耳鳴りが完全に消失するまでには至りませんでしたが、ご本人が日常生活で「楽になった」「気にならなくなった時間が増えた」と実感できるレベルまで症状が落ち着いたことは、鍼灸治療の大きな成果と言えるでしょう。

鍼灸師としての感想とまとめ

耳鳴りの改善を実感できたのは、患者さんにとっても安心になったと思います。
こちらもとても嬉しく思います。

1回目で少し改善の兆しが見えたいたので、短期間で治療終了になりました。

今回の耳鳴り症例では、西洋医学的な治療で改善が見られなかった耳鳴りに対して、鍼灸治療が有効な選択肢となり得ることを示すものです。

治療を重ねるごとに、患者様の耳鳴りの程度は徐々に落ち着き、特に気になって眠れなかった夜の不眠も改善傾向が見られました。

完全に耳鳴りが消失するまでには至りませんでしたが、ご本人が日常生活で「楽になった」「気にならなくなった時間が増えた」と実感できるレベルまで症状が軽減し、精神的な負担も軽くなったことは、鍼灸治療の大きな成果です

耳鳴りは、現代医学でも原因の特定が難しい場合が多く、有効な治療法が限られているのが現状です。

まずは西洋医学的な検査や治療を優先してほしいですが、「病院以外で何かないか?」となった時には、鍼灸(東洋医学)があることを知って欲しいです。

東洋医学では、耳鳴りを「単なる耳の問題」として捉えるのではなく、「体全体のバランスの乱れ」として捉えます。
症状よりも深いレベルで体を見立てます。
その深い原因にアプローチすることで症状の改善を目指すのです。

今回の患者さまののように、西洋医学的な検査で異常が見つからなくても、東洋医学的な見立てによって体質のゆがみを見つけ出し、適切な鍼灸を行うことで症状が改善するケースは少なくありません。

もしあなたが今、つらい耳鳴りで悩んでおり、病院に行っても原因が分からず、他の治療法でも改善が見られないのであれば、鍼灸治療を試してみる価値は十分にあります。

当院では、患者様のお話をじっくりと伺い、体質や症状を丁寧に診察した上で、その方に最適な治療計画を立て、心を込めて施術を行います。
耳鳴りだけでなく、それに伴う不眠や首肩こりといった症状も同時に改善を目指すことができます。

全力でサポートさせていただきます。どうぞお気軽にご連絡ください。

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