低血圧に効くツボ
低血圧に効くツボ
今回は、「低血圧」について、その原因、症状、そして東洋医学的に効果的なセルフケアのツボを解説していきます。
低血圧とは
低血圧とは、一般的に収縮期血圧(最高血圧)が100mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)が60mmHg以下の場合を指します。
高血圧に比べると、健康診断などで指摘されることは少ないかもしれませんが、その症状は人によって大きく異なり、日常生活に支障をきたす場合もあります。
症状がない方もいれば、立ちくらみ、めまい、失神、全身倦怠感(だるさ)、肩こり、朝起きられない、手足の冷えなどを訴える方もいます。
これらの症状は、血液が全身に十分に供給されないことで起こると考えられます。
とくに、脳への血流が一時的に低下することで、立ちくらみやめまいが起こりやすくなります。
「血圧が低いだけだから大丈夫」と放置せずに、症状がある場合は適切な管理が必要です。
低血圧の西洋医学での考え方
低血圧は、大きく分けて以下の3つの種類に分類されます。
本態性低血圧:
明確な原因が見当たらない低血圧で、体質的な要素や自律神経のバランスの乱れなどが関与していると考えられています。
多くの低血圧はこのタイプに分類されます。
起立性低血圧:
横になっている状態から急に立ち上がった際に、血圧が急激に低下する状態です。
立ちくらみやめまいを起こしやすく、自律神経の調節機能の低下が原因の一つとされています。
症候性低血圧:
心臓疾患、内分泌疾患、神経疾患などの病気が原因で起こる低血圧です。
この場合は、原因となる病気の治療が優先されます。
西洋医学では、本態性低血圧に対しては薬物療法は行われず、生活習慣の改善が中心となります。
しかし、東洋医学では、体質や体全体のバランスを重視し、鍼灸などの施術で根本的な改善を目指します。
東洋医学での低血圧の考え方
東洋医学では、低血圧の原因を大きく以下の3つのタイプに分類します。
胃腸虚弱(脾虚):
胃腸の消化吸収機能が低下し、栄養(エネルギー)不足の状態が続くと、心臓を動かすエネルギーも不足し、血圧が低下すると考えます。
食欲不振、胃もたれ、便秘や下痢などを伴うことが多いです。
血不足(血虚):
虚弱体質や栄養不足などにより、血液そのものが不足している状態です。
顔色が青白い、爪の色が薄い、めまい、動悸などを伴うことが多いです。
腎の虚弱(腎虚):
東洋医学でいう「腎」は、生命エネルギーの源と考えられています。
「腎」の働きが低下すると、血液を巡らせる「気」が弱まり、血圧が低下すると考えます。
腰痛、足腰の冷え、頻尿などを伴うことが多いです。
これらのタイプは単独で現れるだけでなく、複合的に現れることもあります。
低血圧に効くツボ
東洋医学では、ツボ(経穴)を刺激することで、気血の流れを整え、体のバランスを調整します。
低血圧の改善に効果的なツボをいくつかご紹介します。
爪もみ
手足の指の横(爪の生え際)になります。
基本は、親指と人差し指で爪の生え際をつまんで、押すようにもむだけ。
指1本につき10秒で1セット、1日3セットを目安に。
親指から順番に、両手の爪をもんでみましょう。
手が終わったら足の爪も行いましょう。
強さは「イタ気持ちよい」くらいです。
ギュッギュッとリズムをつけても、10秒間押し続けてもどちらでもよいです。
足三里(あしさんり)
ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅4本そろえて小指があたっているところが足三里です。
胃腸の働きを整え、全身のエネルギーを高める効果があるとされています。
膻中(だんちゅう)
胸のツボ。体の真ん中のラインと左右の乳首を結んだラインが重なるところ。
気の巡りを改善し、呼吸を楽にする効果があります。不安や緊張を和らげる効果も期待できます。
百会(ひゃくえ)
頭のツボ。左右の耳の上から結んだ線の中央。
精神を安定させ、頭痛やめまい、不眠などに効果があります。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
鍼灸院での本格的な鍼灸のすすめ
血圧は、「体のパワー(=エネルギー量)」のバロメーターとも言えます。
しっかりと血液を全身に巡らせるには、十分なエネルギーが必要です。
低血圧は、日常生活に支障がない限り、病院での治療対象とならないことが多いです。
そのため、セルフケアが重要になります。
ご紹介したツボ刺激や、規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動などを心がけましょう。
しかし、セルフケアだけではなかなか改善しない、疲れが取れない、体質を根本から改善したいという方は、ぜひ当院の鍼灸施術をお試しください。
当院では、丁寧な問診で患者様のお話をじっくり伺い、東洋医学に基づいた脈診、舌診、腹診などで体の状態を詳しく把握します。
そして、鍼と灸を用いて全身のツボ(経穴)を刺激し、気血の流れを整え、体質改善を促します。
鍼は痛くなく、お灸は熱くなく、心地よく効果を感じていただける施術を心がけています。
低血圧でお悩みの方、体質改善を考えている方は、ぜひ一度当院にご相談ください。