口内炎に効くツボ
口内炎に効くツボ
今回は、口内炎の原因から東洋医学的な視点、そして口内炎改善のためのセルフケアのツボを解説いたします。
口内炎とは
口内炎は、口の中(とくに頬の内側が多い)の粘膜に起こる炎症の総称です。
多くが痛みを伴い、食事の際にしみたり、会話がしづらくなったりと、日常生活に影響を及ぼすことがあります。
一つだけでなく、いくつも同時にできたり、治るまでに時間がかかったりする場合もあります。
口内炎の原因は多岐に渡ります。
ストレスや栄養不足、疲れなどによる免疫力低下:
体の抵抗力が落ちていると、口内の常在菌やウイルスに感染しやすくなります。
口の中を噛んでしまうなどの物理的刺激:
誤って口の中を噛んでしまったり、歯ブラシで傷つけてしまったりすることも原因となります。
ウイルスなどによる感染:
ヘルペスウイルスなどの感染によって口内炎が引き起こされることもあります。
その他:
薬の副作用や金属アレルギー、乾燥なども原因となる場合があります。
中には原因不明な場合もあります。
口内炎の中でもよく見かける「アフタ性口内炎」は、白または黄色の膜で覆われた米粒くらいの潰瘍ができるのが特徴で、食べ物がしみて強い痛みを感じることがあります。
通常は1~2週間で自然に治癒しますが、繰り返し発症する場合もあります。
口は胃腸のバロメーター|東洋医学的考察
口の中は、食事・呼吸・会話など、常に外部と接しているため、細菌・ウイルス・ほこりなど様々な外的要因にさらされています。
そのため、健康な状態であれば、口内は様々な粘膜で覆われ、これらの微生物から防御されています。
しかし、ストレスや疲れ、不規則な生活習慣などによって免疫力が低下すると、侵入した微生物に感染しやすくなり、炎症を起こしやすくなります。
口内炎が頻繁に起こる場合は、普段の生活を見直す良い機会と言えるでしょう。
とくに、東洋医学では「口は胃腸の調子が出るところ」と考えています。
これは、口の状態が胃腸の健康状態を反映しているという考え方です。
胃腸は栄養の消化吸収を担う重要な臓器であり、その機能が低下すると、口内にも影響が現れやすくなります。
例えば、胃腸の働きが弱っていると、口内炎ができやすくなったり、治りにくくなったりすることがあります。
口内炎ができている時は、体が「胃腸に優しい生活を求めている」サインと捉え、食生活や生活習慣を見直すことが大切です。
暴飲暴食を避け、消化の良いものを摂る、十分な睡眠をとる、ストレスを溜め込まないなど、胃腸への負担を軽減する生活を心がけましょう。
口内炎に効くツボ
東洋医学では、口内炎を消化器系の症状の一つと考え、胃腸の機能と密接に関連していると捉えます。
胃腸の機能が正常であれば、口の中の様々な病気も起こりにくくなると考えられているため、口内炎のケアには「胃腸に良いツボ」へのアプローチが効果的です。
ご自宅でできるセルフケアとして、以下のツボ押しやお灸におススメのツボをご案内します。
合谷(ごうこく)
親指と人さし指の骨がまじわったところから、やや人さし指よりのへこみが合谷です。
合谷は万能のツボとも言われ、様々な症状に効果があるとされていますが、特に胃腸の働きを整える効果が期待できます。
中脘(ちゅうかん)
おへそに小指をあてて、親指までの指幅5本。親指があたっているところを目安にして指でやさしくなでるとへこみがあるところが中脘です。
中脘は胃の真上にあるツボで、胃腸の調子を整えるのに効果的です。
おへそ
電子レンジで温めたホットパックや温かいタオルなどをおへそを中心に腹部に当てるのも、胃腸を温め、働きを活発にする効果が期待できます。
お腹を温めることで、リラックス効果も得られ、ストレス緩和にも繋がります。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
鍼灸院での本格的な鍼灸のすすめ
よくある口内炎は、症状そのものよりも「胃腸からのサイン」である可能性が高いことをご理解いただけたでしょうか。
口内炎ができた際は、症状を抑えるだけでなく、胃腸に優しい生活を心がけることが大切です。
具体的には、空腹を感じたら食べる、食べ過ぎない、食べてすぐに寝ない、冷たいものを摂り過ぎない、などの点に注意しましょう。
もちろん、口内炎が長引く場合や、症状が重い場合は、病院で適切な診察を受けることが重要です。
多くの場合、口内炎は家庭でのケアで治癒するものですが、中には治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
また、病院での治療が必要なほどの大きな病気ではないものの、繰り返す口内炎にお悩みの方には、「体質的な改善」が非常に効果的な場合があります。
ストレスによる自律神経の乱れや、慢性的な疲労による胃腸の機能低下などが原因で口内炎を繰り返しているケースも少なくありません。
当鍼灸院では、丁寧な問診と東洋医学に基づいた検査で、患者様一人ひとりの体質を見極め、根本的な体質改善を目的とした鍼灸施術を行っています。
鍼は痛くなく、お灸は熱くない、心地よい刺激で、全身のツボ(経穴)にアプローチし、自己治癒力を高めることで、口内炎になりにくい体づくりをサポートいたします。
繰り返す口内炎でお悩みの方、体質改善に興味のある方は、ぜひ一度当鍼灸院にご相談ください。