40代の不妊、子宮筋腫と男性不妊のある鍼灸症例
40代の不妊、子宮筋腫と男性不妊
患者さま
40代 女性
初来院
2017年2月4日
お悩みの症状
一人目不妊
初来院までの経過
3年半前から妊活開始。年齢(30代後半)のこともありすぐ病院で検査。
子宮筋腫を指摘され開腹手術を受ける。そのため妊活は一時お休みし、1年半前から再開。
この時点で「卵管が片方詰まっている」ことと、男性不妊(無精子症)を指摘される。
ご主人の精子を外科的処置で採取・凍結し、顕微授精で移植する方向で進めることにする。
半年前に1回目の採卵。卵子が3個取れるも受精後育たず。
1か月前に2回目の採卵。4個取れるも受精せず。
次の治療に向け、自分の身体を鍼灸で整えたいと来院。
<その他のツラさ>
・慢性のじんましん
・メニエールの既往歴あり
・のぼせやほてり
・熱を出しやすい
・肥満体形
治療方針
気と湿の滞りがオ血なども招く体質とみる。
また、気うつや湿邪などの滞りが熱化しやすい傾向があるので、温灸など温める施術はなし。
お灸は必要に応じて適宜使用するが疎通のために行う。
基本は鍼で。素体の体力はあるので少し太めの鍼を使用。
治療と経過
1回目。
「左天枢」「左大巨」「陽陵泉」「三陰交」「太衝」に鍼+円皮鍼。「膏肓」「心兪」「脾兪」「腰の硬い部位」に鍼+円皮鍼。
2回目以降(1週~2週に1回のペース)
仕事で肩から背中が凝りやすいとのことで、コリの出る場所は都度局所的に鍼を使用しつつ、基本的には同様の治療を継続する。
熱化からめまいやじんましんがでることもあり、熱を取る意味で「合谷」「曲池」に鍼+パルスを取り入れる。
自覚とは別に他覚的にも腰のコリも強く、腰に鍼+パルスを取り入れていくことが多かった。
鍼灸開始から2か月後に採卵。
1個受精卵ができたので移植するも上手くいかず。
鍼灸開始から6か月後に再度採卵。
これは受精したものの育たず。
鍼灸開始から8か月後に3回目の採卵。
1個の胚盤胞ができ凍結。
次の周期に移植。
足の腎経・脾経に鍼+パルスをしてしっかり刺激し、移植まで継続。
その移植で妊娠判定陽性(鍼灸開始から10か月)。
現在、妊娠8週になり、鍼灸も継続中。
同時に治療した症状
・慢性のじんましん
・時々めまい
・急な発熱
・肩こり
・腰痛
まとめ
治療過程で上手くいけば喜び、上手くいかなければい精神的にもつらい。
男性不妊で凍結精子の限りもあったことから、今後への焦燥感はより強かったと推測される。
そのような経過をともにしてきて約1年。
結果的には嬉しい結末であるが、その気持ちの浮き沈みにどう寄り添えるかを考えた症例。
また、冷え対策をすることが多い当院だが、この方は「過剰な熱」があり、その対策をしっかりした症例でもあった。