20年以上ある肩こりの鍼灸症例
20年来の肩こりへの鍼灸治療
長年、肩こりに悩まされている方は少なくありません。
とくに、デスクワーク中心の生活を送る現代人にとって、肩こりは職業病とも言えるほど身近な存在です。
今回は、20年以上もの間、首から肩にかけての凝りに苦しんできた40代女性の患者さまの症例です。
彼女は、めまいや動悸といった更年期障害の症状にも悩まされていましたが、当院の鍼灸治療を通して、これらの症状が劇的に改善しました。
この記事を通して、長年の肩こりや更年期障害でお悩みの方々に、鍼灸治療の可能性と当院の治療に対する理解を深めていただければ幸いです。
患者さまについて
年齢・性別：
40代女性
鍼灸院に来るまでの経緯：
彼女が訴えた主な症状は、首から肩にかけての慢性的なコリでした。
その症状は、20年前に社会人となり、デスクワーク（パソコン作業や電話応対）を始めてから始まったとのことでした。
数年前からは、美容室でめまいを感じたり、疲れると意識が遠のくような感覚を覚えることもあったそうです。
病院では「ストレートネック」と診断され、半年前からは動悸も感じるようになり、病院で「更年期障害」と診断され漢方薬を処方されていました。
その他、低血圧、のぼせ、倦怠感といった症状も抱えていました。
まさに、心身ともに疲弊している状態でした。
東洋医学的考察
東洋医学では、肩こりは「気血の巡り」の滞りによって引き起こされると考えます。
気血とは、身体を構成し、生命活動を維持するための基本的なエネルギーと体液のことです。
長時間のデスクワークやストレス、不規則な生活習慣などは、気血の巡りを滞らせ、筋肉の緊張や血行不良を引き起こし、肩こりなどの症状につながります。
この患者様の場合、長年のデスクワークによる姿勢の悪さや精神的なストレスに加え、更年期によるホルモンバランスの乱れも気血の巡りを悪くする要因となっていたと考えられます。
また、低血圧、のぼせ、倦怠感といった症状は、気血の不足や偏在を示しており、身体全体のバランスが崩れている状態と言えます。
上半身に熱がこもる「上熱下寒」の状態も見受けられました。
治療方針
上記の東洋医学的な考察を踏まえ、当院では以下の治療方針を立てました。
・気血の巡りの改善：
気血の巡りをスムーズにし、肩や首の筋肉への栄養供給を促す。
・体のエネルギー（気）の向上：
全身の機能を高め、自然治癒力を引き出す。
・上半身の熱を鎮め、下半身を温める：
上熱下寒の状態を改善し、身体全体のバランスを整える。
・首肩のコリの解消：
直接的に首や肩の筋肉の緊張を緩和する。
これらの目標を達成するために、経絡（けいらく）と経穴（けいけつ：いわゆるツボ）を用いた鍼灸治療を行いました。
治療経過
1回目：
仰向けで、「期門（きもん）」「上脘（じょうかん）」「三陰交（さんいんこう）」「陽陵泉（ようりょうせん）」に浅い鍼。「合谷（ごうこく）」「太衝（たいしょう）」に鍼に台座灸を加えました。
うつ伏せで、「隔兪（かくゆ）～腎兪（じんゆ）の間の反応穴に弱い刺激の鍼をし、「首肩コリの局所穴」に響かせる鍼を行いました。
2回目（2週間後）：
治療後、首肩のこりが楽になったとのことでした。前回と同様の治療を行いました。
3～10回目（2～3週間に1回ペース）：
ストレスや仕事が忙しいと首肩の凝りを感じるものの、以前のようにひどくなることはなく経過しました。
動悸やめまいも起こらなくなりました。
肩こりはまだ残っていたため、肩こり対策として2～3週間に1回のペースで継続通院していただきました。
治療を重ねるごとに、患者様の症状は着実に改善していきました。
とくに、長年悩まされていた肩こりだけでなく、更年期障害の症状も軽減されたことは、彼女にとって大きな喜びでした。
使用した主なツボとその代表的な効果
期門（きもん）：
気の巡りを整え、イライラや精神的なストレスを緩和する効果があります。
上脘（じょうかん）：
消化器系の機能を整え、全身の栄養状態を改善する効果があります。
三陰交（さんいんこう）：
女性特有の症状（月経不順、更年期障害など）に効果があります。
陽陵泉（ようりょうせん）：
筋肉の緊張を緩和し、肩こりや腰痛などの症状に効果があります。
合谷（ごうこく）：
鎮痛作用があり、肩こりや頭痛などの症状に効果があります。
太衝（たいしょう）：
気の巡りを整え、精神的なストレスを緩和する効果があります。
隔兪（かくゆ）・腎兪（じんゆ）：
背部にあるツボで、それぞれ横隔膜と腎臓に関連し、内臓の機能を整え、全身の血行を促進する効果があります。
首肩コリの局所穴：
首や肩の凝っている部分にあるツボで、直接的に筋肉の緊張を緩和する効果があります。
これらのツボを組み合わせることで、患者様の症状に合わせた最適な治療を行うことができました。
まとめ
今回の症例を通して、鍼灸治療が長年の肩こりや更年期障害といった慢性的な症状に有効であることが改めて示されました。
この患者様は、20年来の肩こりだけでなく、更年期障害のつらい症状からも解放され、以前よりも快適な日常生活を送れるようになりました。
当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた丁寧なカウンセリングと東洋医学に基づいた的確な診断を行い、最適な治療を提供しています。
「長年の肩こりがなかなか改善しない」「更年期障害の症状で悩んでいる」という方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
当院の鍼灸治療が、皆様の健康と快適な生活のお役に立てることを心より願っております。
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