妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)と鍼灸

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは

妊娠高血圧と鍼灸・写真1
妊娠中に何かしらの原因によって血圧があがり、それにより様々な症状が起きることを「妊娠高血圧症候群」と呼びます。
以前は「妊娠中毒症」と呼んでいましたが、今は高血圧によって悪影響が出ているケースのみを言うので名称も改められました。

症状

妊婦さんで、高血圧とともに、尿タンパクが通常よりも多くなることが特徴です。
自覚症状がないこともありますが、吐き気や目のちらつきが出てきた場合は他の合併症を起こしている可能性があります。
医師の診断を受けるようにしましょう。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)は、母子ともによくないので、早期発見と治療が大切です。
よくあるケースとしては、妊娠20週以降から高血圧になり、産後正常に戻る、というものです。

原因

現在、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の原因はハッキリとは分かりません
ただ一つの説として、胎盤での異常が原因ではないかといわれています。

かかりやすい人

原因は分かっていませんが妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)になりやすい傾向は分かっています。
・高血圧や糖尿病、腎臓の病気になったことのある人
・肥満ぎみの人
・40歳以上の人
・双子を妊娠している人
・初めて妊娠した人
…です。
だいたい妊婦さん20人に1人くらいの割合で発症するとも言われています。

西洋医学での治療

治療は安静と食事療法が基本です。
なるべく日常生活では横になり、食事は減塩・高たんぱく・低カロリーを意識します。
軽症の場合はこれで治ることが多いですが、重症の場合では入院が必要となります。
また、症状によっては薬を使う場合もあります。

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)で大事なこと なんと言っても「予防」です。
なってしまってからの治療より、ならないような身体づくりがいちばんベスト。

日常生活での食事・心の安静と体の休養をとることが大切です。
過労や余計なストレスを避け、十分な睡眠時間をとるということです。
また、当たり前ですが、定期的な妊婦検診を受けることで早期発見が大切になります。

妊娠高血圧症候群と鍼灸

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このような症状に鍼灸でできることはなんでしょう。

理由は不明でも「高血圧」ですから、東洋医学では「陰虚(いんきょ)」か「痰湿(たんしつ)」が予想され、臓腑で言えば「肝(かん)」「腎(じん)」「心(しん)」「脾(ひ)」のどれかが弱いケースが考えられます。
この辺は詳しくは書きませんが、その他の体の体質・状態(むくみが強いか、疲れが強いか、だるさが強いか、眠りが悪いか、食事はどうか)等から、総合的に体の状態を見極めて、対策を立てます。

このように鍼灸には出ている症状や体質から施術を組み立てられます。
病院で指導を受けた食事や生活習慣改善を基礎にして、さらに鍼灸を併用していただくことは勧められます。

ただ、
一番は「鍼灸は予防のために使ってほしい」です。

症状が出る前に「元気なままで過ごせる体づくり」が一番良いです。
妊娠は日々カラダに負担がかかっています。
鍼灸には「安産の治療」があります。
この場合の「安産」とは、妊娠期間~安産(良い分娩)~産後の肥立ちまでをトータルして言います。

鍼灸の本質は「病気予防」「健康増進」ですから、妊娠高血圧症候群の予防にこそ使ってほしいです。
ご活用ください。