冷え症と不妊症と鍼灸治療の関連

冷え症と血管運動神経障害

冷えと不妊と鍼灸・写真1
「冷え症」は血行が悪くなることで血液が毛細血管に流れなくなってしまうのが原因です。
血管が収縮することによって、手足が冷えてしまいます。
体は、重要な臓器のある体幹や脳へ血量を確保しようと働くので、どうしても手足が後回しにされやすく冷えやすい場所になります。

「血管運動神経」とは、血管を拡張させたり収縮させたりする自律神経(交感神経・副交感神経)のことです。
おもに交感神経が働く時に血管を収縮させ、休む時に血管は緩みます。
その自律神経に異常があることを血管運動神経障害と言い、症状には「のぼせ」「ほてり」「発汗」「冷え」など様々なものがあります。

冷えと不妊の関連とは

冷えと不妊と鍼灸・写真2
冷えと不妊には関連性があるのかを調べた研究があります。

『女性の冷え症と不妊症の関係について』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/66/3/66_180/_pdf/-char/ja

【結果】
冷え症で不妊症者50%と冷え症で不妊症でない者52%では比率に差がなかった。
血管運動神経障害の項目に当てはまっている者と不妊症の有無に関連性があった。

【考察】
不妊症は、冷えがあるか否かではなく、冷えの強さが関与していることが示唆された。

不妊症には血流促進の鍼灸が良い

冷えと不妊と鍼灸・写真3
この研究結果では、
単に冷えを自覚するだけでなく、冬は足が冷たくて眠れないとか夏でも厚手の靴下を履くとかのより強い症状や対策を取りたくなるような冷えがある人は不妊になりやすいということでした。

西洋医学で言う「血管運動神経障害」がある人が不妊になりやすいということです。

この血管運動神経障害は自律神経系の働きの乱れですので、東洋医学(鍼灸)では「気の滞り(=気滞)」とみます。

しかし冷えがあり不妊妊で悩む人の場合は、気滞よりもっと重要なのは「血の滞り(=血瘀(けつお))」でしょう。

血瘀は、血の巡りが悪く滞り、体に栄養が行きわたらない状態です。
しみ・くま・肌あれなど皮膚に出たり、コリや痛みなども招きやすくなります。

とくに婦人科系は、生理周期からも分かるように血液の巡りが重要な臓器です。
逆に言えば、血が滞りやすい臓器とも言えます。

ですので、冷えが血流の悪さを生む(=寒凝血瘀かんぎょうけつお)タイプの人は、婦人科系の働きが不調になりやすいのも分かります。

鍼灸では「血流をよくするツボ」を多く用いることで、血管運動神経障害の冷えに対処できます
つまりは不妊症にも同じように対処するわけです。

冷えに鍼灸が有効という研究

冷え症に鍼灸を用いて効果があったという研究をいくつか挙げます。

研究のなかで「三陰交(さんいんこう)」のツボを使っていますが、これは血流をよくするツボの代表的なツボです。

ここからも冷えには血流促進が効果的だということがわかります。

冷えで不妊症で悩まれているようでしたら、やはり冷え対策は重要です。
冷え対策として「血流促進」があります。

鍼灸は血流促進が得意な治療方法です。
冷え対策=血流対策=妊活対策をしたいと思った時には、鍼灸をうまく活用ください。

『若年女性の冷え症に対する下肢への低周波鍼通電療法の効果—SF-8の下位尺度‘体の痛み’得点を指標とした比較検討—』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki/75/4/75_248/_article/-char/ja

『冷え症に対する鍼灸治療の効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1981/53/1/53_1_49/_pdf/-char/ja

『冷え症(血管運動神経障害)に対する下肢への低周波鍼通電療法の効果』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki/73/4/73_231/_pdf/-char/ja