排卵障害に効くツボ

排卵障害に効くツボ

排卵障害に効くツボ・写真1

この記事では、排卵障害について西洋医学と東洋医学の両面から解説し、ご自宅でできるケア方法、そして当院の鍼灸施術についてご紹介します
この記事を通して、排卵障害でお悩みの方が少しでも希望を持ち、健やかな毎日を送るためのお手伝いができれば幸いです。

排卵障害と西洋医学

無排卵のお灸
「排卵障害(=無排卵)」とは、卵子が正常に発育しない、または発育しても適切に排卵されない状態を指します。
排卵が起こらないと、妊娠が成立しないため、不妊の原因の一つとなります。

排卵障害の有無は、基礎体温を測定することで大まかに判断できます。

通常、排卵後にはプロゲステロンというホルモンの影響で体温が上昇し、高温期と呼ばれる期間が訪れます。
基礎体温が低温期と高温期の二相に分かれない場合、排卵が起こっていない可能性が考えられます。

また、生理不順(生理周期の乱れや生理期間の変動)が続く場合も、排卵障害を疑う必要があります。

病院では、より詳細な検査が行われます。
血液検査でホルモン(卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロンなど)の数値を測定し、排卵に関わるホルモンのバランスを確認します。
また、超音波検査(経膣超音波検査)で卵巣の状態を観察し、卵胞の発育状況や卵巣の形態などを評価します。

排卵障害の原因

排卵は、脳の視床下部や下垂体といった中枢からのホルモン指令によって卵巣が刺激され、卵胞が発育し、最終的に卵子が放出されるという複雑なプロセスを経て起こります。
そのため、排卵障害の原因は多岐に渡ります。

中枢性排卵障害:
脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌の異常によって起こる排卵障害です。
ストレス、過度なダイエット、体重の急激な増減などが原因となることがあります。

卵巣機能低下:
卵巣の機能が低下し、卵胞の発育や排卵が正常に行われなくなる状態です。
加齢による卵巣機能の低下(早発卵巣不全を含む)や、抗がん剤治療などの影響で起こることがあります。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):
卵巣内に多数の小さな卵胞が形成され、排卵が起こりにくくなる疾患です。
インスリン抵抗性や男性ホルモンの過剰などが関与していると考えられています。

黄体機能不全:
排卵後に形成される黄体からのプロゲステロン分泌が不十分な状態です。
子宮内膜の着床環境が悪化し、妊娠の維持が難しくなることがあります。

黄体化非破裂卵胞(LUF):
卵胞が成熟しても排卵が起こらず、黄体化してしまう状態です。

高プロラクチン血症:
プロラクチンというホルモンの過剰分泌によって排卵が抑制される状態です。

西洋医学における排卵障害の治療は、原因に応じて異なりますが、ホルモン剤(排卵誘発剤、黄体ホルモン剤など)を用いた薬物療法が一般的です。

排卵障害と東洋医学

東洋医学では、病名にとらわれず、「その人の体質」を重視します。

東洋医学では、人体は「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素で構成されていると考えます。
「気」は生命エネルギー、「血」は血液とその栄養作用、「水」は血液以外の体液を指し、これらのバランスが保たれている状態が健康であると考えます。

排卵障害は、これらの要素の過不足や流れの滞りによって引き起こされると考えます。

当院では、東洋医学の診察法である問診、脈診、舌診、腹診などを用いて、患者様の体質を丁寧に把握します。例えば、冷えが強い方、ストレスを抱えている方、胃腸の働きが弱い方など、体質は人それぞれ異なります。その上で、それぞれの体質に合わせた最適なツボ(経穴)を選び、鍼灸施術を行います。

東洋医学では、排卵障害は主に「腎(じん)」の機能低下と関連が深いと考えます。
「腎」は成長、発育、生殖を司る臓腑であり、西洋医学でいう内分泌系や泌尿生殖器系の機能と関連すると考えられます。

また、「肝(かん)」の疏泄(そせつ)作用、つまり気の巡りをスムーズにする働きも排卵には重要です。

さらに、「脾(ひ)」の働き、つまり飲食物から栄養を吸収し、全身に運搬する働きも、卵巣機能を維持するために欠かせません。

これらの考え方に基づき、当院では以下の点を重視して鍼灸施術を行います。

腎の機能を補う:
生殖機能を高め、卵巣機能を活性化します。

肝の気を巡らせる:
ストレスや精神的な緊張を和らげ、気の流れをスムーズにします。

脾の働きを高める:
栄養状態を改善し、卵巣に十分な栄養を供給します。

排卵障害で悩む人におススメのツボ

基本のツボに、タイプ別のツボにお灸をすることで、体質改善を促すことができます。

基本のツボ

三陰交(さんいんこう)


足の内くるぶしから指4本分くらい上。
婦人科疾患全般に効果的なツボ。

気海(きかい)


おへそから指2本分くらい下。
気を補い、血行を促進するツボ。

腎兪(じんゆ)


背中、ウエストの一番くびれた高さで背骨から指2本外側。
腎の機能を高め、水分代謝を整えるツボ。タイプ別のツボ

足三里(あしさんり)


すねの外側、膝のお皿の下から指4本分下。
胃腸の働きを整え、水分代謝を促進するツボ。

タイプ別の追加のツボ

以下のツボも追加してみてください。

加齢や月経血量減少などが気になるタイプ

とくに腎のエネルギー不足が強い方向け。

照海(しょうかい)

ストレスが強いタイプ

ストレスが強く、肩こりなどコリ痛みが強い、PMSでのイライラが強い人は以下のツボも追加してみてください。

合谷(ごうこく)

手の甲で親指と人さし指の間。

太衝(たいしょう)

足の甲で親指と人さし指の間。

血海(けっかい)

ももの内側、ひざのお皿から指4本分くらい上。

カラダがダル重いタイプ

水分代謝が悪い人は以下のツボも追加してみてください。

陰陵泉(いんりょうせn)

膝の内側の下、すねの骨の内側が大きく曲がってくぼみになったところ。

ツボを自分で探す時のコツ

より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。

ツボの基本位置を確認

鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。

押して探す

だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。

体の反応をみる

ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。

ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。

せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点

ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。

「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。

せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。

せんねん灸の使い方

種類を選ぶ

「せんねん灸」には様々な種類があります。
せんねん灸

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
せんねん灸種類
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。

ツボの場所を決める

どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。

準備

お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。

台座の裏紙を剥がす

「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。

もぐさに点火

巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。

皮膚に据える

火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。

取り外す

使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。

お灸をする上での注意事項

・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。

・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。

・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。

・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。

・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。

・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。

・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。

上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

セルフケアのツボ押しの方法と注意点

ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。

ツボ押しの方法

リラックスできる環境を整える

静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。

ツボの位置を確認

書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。

指の腹で押す

親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。

適度な力で押す

「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。

時間をかけて押す

1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。

呼吸を意識する

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。

温めてから行うと効果的

入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。

ツボ押しをする上での注意事項

・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。

・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。

・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。

・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。

・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。

・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。

・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。

上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

鍼灸院での本格的な鍼灸のススメ

セルフケアのお灸やツボ押しだけだと、どうしてもおツラい症状を取りきることは難しいかもしれません。
鍼灸院での本格的な鍼灸との併用をお勧めいたします。

当院では、鍼灸治療によって気血水の巡りを改善し、内臓機能を高めることで、症状緩和を目指します。
また、体質改善を同時に行うことで、妊娠しやすい体づくりをサポートすることも可能です。

鍼灸治療は痛みの緩和にも効果を発揮するため、現在抱えているつらい症状の軽減も期待できます。
西洋医学的な治療との併用も可能ですので、ご安心ください。

無排卵・排卵障害鍼灸の詳しくはこちら

排卵障害