眼底の血流が鍼治療で改善するか
眼底の血流が鍼治療で改善するか
眼底に位置する「脈絡膜」は血管にとみ、眼球の栄養をつかさどっています。
つまり、目に栄養をしっかり送れているかどうかは脈絡膜の血流状態を調べればわかるということです。
その脈絡膜の血流状態が鍼治療で変化するのかを調べて研究がありますので紹介します。
『低周波鍼通電刺激のヒト眼底血流への影響』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki1962/67/4/67_4_225/_article/-char/ja
【概要】
鍼通電刺激がヒト眼底組織循環へ及ぼす影響について検討した。
対象者は、無刺激対照実験と鍼通電刺激実験の二通りの実験を日を変えて行った。
脈絡膜の血液循環と、その関連指標として眼圧、血圧、心拍数を計測した。
鍼通電刺激は、天柱と風池、肩井と曲垣を結び、1Hzで軽度の筋収縮が生ずる程度の強度で15分間行った。
その結果、眼底血流は鍼通電刺激群の刺激側 (右眼) で対照群に比して有意な増加がみられたが、非刺激側では有意な変化はみられなかった。
なお、眼圧、眼灌流圧、血圧には有意な変化はみられなかった。
今回の結果は、鍼通電刺激が刺激側の脈絡膜血流量を増加させることを示唆するものである。
当院の考察
眼底の血流状態が鍼治療をすることで改善するのが分かったという結果でした。
使ったツボは首と肩にあり、古来より目に効くツボと言われており、その結果も納得ではあります。
首や肩への鍼灸は、首肩のコリをほぐすことで首より上の部位(目・耳・鼻など)の血流を良くすることが考えられます。
ただ併せて測った「眼圧」などには変化がなかったとのことですが、これは「眼に異常のない成人ボランティア」を被検者にしたせいかもしれません。
鍼灸の働きは「双方向性」で「相対的」なものです。
例えば血圧に異常がある人がいたとします。
薬であれば、血圧を下がる薬は下げる方向にしか効きませんし、逆も同じです。
一方鍼灸は、同じ施術をしても、高血圧の人には血圧が低くなるように働き、低血圧の人には高くなるように働きます。
また薬のように施術を重ねると血圧がドンドン高くなったり低くなったりするわけではなく、その人にとっての健全な値になればそれ以上の変化は出さない、という働きもあります。
その人のベスト(もしくは中庸)に向けて作用するのが鍼灸です。
当院での眼の異常に対しての鍼灸は、通常「目の近辺や首肩だけ」の施術ではありません。
手や足にも「目に良いツボ」はあります。
また、同じ眼病でも患者さんの体質的な違いもありますので、体質へのアプローチも重要と考えています。
冷え体質の人には冷えに応じたツボ、疲れ体質の人には元気を出すツボ、という具合です。
全身的な健康度の向上が、目の健康度の向上にも比例すると考えています。
現代医学的な装置や知見から、鍼灸の効果効能もいろいろと分かってきています。
これはとても興味深く今後もウォッチしていかねばならないことではあります。
しかし同時に、東洋医学的なアプローチが鍼灸のチカラを最大限発揮するという意識も常も持ち続けたいです。
東洋医学的に身体をみて、判断し、施術する流れです。
当院は、現代医学の知見も参考にしつつ、伝統的な東洋医学的な視点で鍼灸施術を行っていきます。
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