運動と緑内障
眼圧の低下には運動が良い
生活習慣が目の病気に影響を及ぼすなどと考えてこられなかった中、様々な切り口で研究が進んでいます。
今回は運動と眼圧の関係についての話です。
2017年、「運動習慣が眼圧に与える影響」と題した九州大学の研究チームの発表。
40歳以上の1871人を対象に、1週間当たりの運動回数・運動時間と、5年間の眼圧変化との関連を調べたものです。
結果「運動の回数の増加、運動習慣の延長にともない、眼圧は有意に低下」した。
広島大学からの発表でも、「被験者が有酸素運動を3カ月続けると、眼圧が下がった。その下がり方は運動の強度に比例していた。ただし、運動をやめると3週間ほどで眼圧はもとのレベルに戻った」という内容が発表されています。
運動は、毎日一日13,000歩ほどのウォーキングがおススメらしいです。
運動することのメリット
「運動すること」のメリットは多岐にわたるので、運動の何が幸いして眼圧が下がるのかはわかりません。
ここでは一般的に運動することのメリットを挙げてみます。
筋力がつく
日常生活がしやすくなります。
例えば、買い物で重い袋を持ったり、掃除や洗濯で忙しく動きまわったり、通勤で階段を駆け上ったりすることがラクにできます。
血流が良くなる
現代人は生活習慣的に動かないことが多いので血行が悪いことが多いです。
運動不足からくる冷え性、などもよく聞きます。
運動をすることで血行は良くなり冷え性が改善したり、体温が上がることで免疫力もアップします。
ストレス発散になる
汗をかいて身体を動かすことで、気分もスッキリします。
運動後の爽快感の理由は、脳内で快楽物質であるドーパミンやエンドルフィンが分泌されているためです。
やる気が出る
ストレス発散して良い気分になるのは、脳内にも良い影響を与えます。
そのため仕事や趣味などにも積極的に取り組むことができやすくなります。
運動をすることで脳を活性化し、普段の仕事や遊びを充実したものにできるということです。
ダイエット効果
運動しないと筋肉量が減るため、太りやすくなります。
筋肉量がある人は、寝てる間ですら脂肪が燃焼し続けますので、太りにくい身体になります。
また当然、運動すること自体がエネルギー消費になりますから太りづらくなります。
当院の考察
眼圧が下がるのは、東洋医学(鍼灸)で考えれば、ストレス発散・血流改善・元気アップあたりが理由になりそうです。
鍼灸では、目を管理している臓腑は「肝」と言われています。
肝はストレスを受けると異常をきたしやすいので、リラックスが大事です。
また、肝は血流とも関係しているので、肝の働きが良くなれば目に向かう血流(栄養や酸素を送り込み、不要なものを取り去る効果)も促進されます。
運動習慣がつくことで健康的な快眠・快食・快便になれば、全身的な健康レベルが高まるので目も当然良い影響が出ます。
肝以外の臓腑の働きが総合的に高まるということです。
このように、鍼灸では全身のコンディションを高めることで、局所の病気も治っていくのだと考えています。
運動はまさにその大きなきっかけになると考えます。
生活習慣を変えていく大きな柱になります。
もちろん、ウォーキングさえしていればすべて解決なわけではありません。
そんなに単純なものでもありません。
病院で症状の経過を追いつつ点眼薬治療をしたり、運動だけでない生活習慣の改善に取り組んだりも大事な事。
そして鍼灸もお役に立てる大きな柱になりえます。
先ほどのから出ている「目を管理している肝」の働きを高めたり、血流促進などに良いツボを駆使していきます。
病院・鍼灸院・自宅と、緑内障改善に資する柱を多く持っていただきたいです。
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