排卵障害
排卵障害とは
排卵障害とは、卵巣から卵子が正常に排出されない状態を指します。
通常、女性の体は月に一度排卵を行い、受精可能な状態を整えます。
しかし、排卵障害があると、排卵が不規則になったり、まったく起こらなかったりするため、妊娠が難しくなります。
排卵障害は、軽度なものから重度なものまでさまざまな種類があり、一時的なものもあれば、治療が必要なものもあります。
生理が極端に遅れたり、無月経の状態が続いたりする場合は、排卵が正常に行われていない可能性があります。
排卵障害の西洋医学的な原因
排卵障害の原因はさまざまですが、西洋医学では主に以下の要因が関係すると考えられています。
ホルモンバランスの乱れ
排卵は、脳の視床下部、下垂体、卵巣が連携して起こるものですが、このバランスが崩れると、排卵がうまくいかなくなります。特に、
■多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）
卵巣に多数の未成熟な卵胞がたまり、排卵が起こりにくくなる。
■高プロラクチン血症
乳汁分泌を促すホルモン（プロラクチン）の分泌が過剰になり、排卵が抑制される。
■甲状腺機能異常
甲状腺ホルモンの異常が、女性ホルモンの分泌に影響を与え、排卵障害を引き起こす。
過度なストレスや生活習慣の乱れ
「慢性的なストレス」があると、視床下部が影響を受け、排卵を促すホルモンの分泌が減少します。
また、「過度なダイエット」や「栄養不足」「睡眠不足や過労」「激しい運動のしすぎ」なども、排卵障害の原因となります。
加齢による影響
年齢とともに卵巣の機能は低下し、卵子の質や数が減少します。
とくに35歳を過ぎると、排卵の回数が減り、不妊のリスクが高まります。
その他の疾患
■子宮や卵巣の病気（子宮内膜症、卵巣嚢腫など）
■糖尿病や肥満
これらの要因が複合的に影響し、排卵障害が引き起こされることがあります。
排卵障害を放っておいてはいけない理由
排卵障害を放置すると、さまざまな健康リスクが生じる可能性があります。
妊娠しにくくなる
排卵が起こらなければ、当然ながら自然妊娠の可能性は低くなります。
無排卵が続くと、生理周期も乱れやすくなり、妊娠を望む方にとっては大きな障害となります。
ホルモンバランスの乱れが悪化
排卵障害が続くと女性ホルモンの分泌が乱れ、「月経不順」「更年期症状の早期発現」「肌荒れや抜け毛」…などの症状が現れることがあります。
生活習慣病のリスクが上がる
とくに多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）の場合、糖尿病や高血圧、脂質異常症のリスクが高まることが知られています。
これはホルモンの影響によるインスリン抵抗性の上昇が関係しています。
心身の不調を引き起こす
ホルモンバランスの乱れは、イライラや不安感、うつ症状の原因になることがあります。
また、慢性的な疲労感や冷え性、むくみなどの体調不良を感じる方も多いです。
将来的な健康リスク
長期間の排卵障害を放置すると、骨粗しょう症や子宮内膜増殖症、さらには子宮体がんのリスクが高まる可能性があります。
これは、女性ホルモンの分泌が不安定になることによる影響です。
以上、
排卵障害は、「ただの生理不順」と軽く考えず、早めの対応が大切です。
西洋医学の治療だけでなく、東洋医学（鍼灸）を併用することで、体の根本的なバランスを整え、自然な排卵を促すことも可能です。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
排卵障害と鍼灸
東洋医学では、排卵障害は「気・血・水」のバランスが崩れることで起こると考えられています。
排卵に関わる子宮や卵巣の機能は、全身の気血の巡りや内臓の働きと密接に関係しており、体質ごとに原因を分類することができます。
気滞（ストレス・自律神経の乱れ型）
特徴：
気（エネルギー）の流れが滞ることで、ホルモンバランスが崩れ、排卵がスムーズに行われなくなるタイプです。
特にストレスや緊張が強い人に多く見られ、精神的な負担が体に影響を与えます。
主な症状：
月経前のイライラや憂うつ感
胸の張りや乳房の痛み
下腹部の張りや痛み
ため息が多く、気分の浮き沈みが激しい
東洋医学的な考え方：
気は体全体を巡るエネルギーであり、特に肝の働きが深く関与しています。
ストレスがかかると「肝気鬱結（かんきうっけつ）」と呼ばれる状態になり、気が滞ってしまいます。この滞りが排卵を妨げる原因となります。
効果のある代表的なツボ：
■太衝（たいしょう）
足の甲にあり、気の巡りを良くしストレスを和らげる。
■合谷（ごうこく）
手の甲にあり、自律神経を整え、気の滞りを解消する。
血虚（血不足・栄養不足型）
特徴：
血が不足することで、子宮や卵巣に十分な栄養が届かず、排卵がスムーズに行われないタイプです。
貧血気味の方や、過度なダイエット・栄養不足の方に多く見られます。
主な症状：
月経の量が少ない、または無月経
顔色が青白く、唇の色が薄い
目の疲れやめまい、動悸が起こりやすい
爪が割れやすく、髪が抜けやすい
東洋医学的な考え方：
血は全身に栄養を運ぶ重要な要素であり、特に「肝」「脾」「腎」の働きと関係しています。
血が不足すると、子宮や卵巣が十分に働くことができず、排卵が正常に行われなくなります。
効果のある代表的なツボ：
■三陰交（さんいんこう）
内くるぶしの上にあり、血を補いホルモンバランスを整える。
■血海（けっかい）
太ももの内側にあり、血の巡りを改善し子宮の働きを高める。
瘀血（血の滞り・冷え型）
特徴：
血の巡りが悪く、子宮や卵巣に十分な血流が届かないことで排卵がスムーズに行われないタイプです。
特に冷え性の方や、月経痛が強い方に多く見られます。
主な症状：
生理痛が強く、経血に塊が混じる
手足が冷えやすい、特に下半身が冷える
くすんだ顔色や、目の下のクマが目立つ
生理不順や無排卵月経になりやすい
東洋医学的な考え方：
血が滞る「瘀血（おけつ）」の状態は、特に「肝」と「腎」の働きの低下によって引き起こされます。
血の巡りが悪くなると、排卵がスムーズに行われず、生理痛や不妊の原因になります。
効果のある代表的なツボ：
■関元（かんげん）
おへそから指4本分下にあり、子宮の血流を促進する。
■帰来（きらい）
下腹部にあり、瘀血を解消し排卵を促す。
湿熱（ホルモンバランス乱れ・炎症型）
特徴：
体の中に余分な湿気や熱がこもることで、ホルモンバランスが乱れ、排卵が正常に行われないタイプです。
特に、胃腸の働きが弱く、脂っこいものや甘いものを好む人に多く見られます。
主な症状：
おりものの量が多く、色が黄色っぽい
生理周期が短く、出血量が多い
肌荒れやニキビができやすい
体が重だるく、むくみやすい
東洋医学的な考え方：
湿熱の状態は、「脾」「胃」「肝」の機能低下によって引き起こされます。
体内の余分な湿気や熱が滞ることで、子宮や卵巣の働きが悪くなり、排卵障害を引き起こします。
効果のある代表的なツボ：
■陰陵泉（いんりょうせん）
すねの内側にあり、余分な湿気を取り除く。
■中極（ちゅうきょく）
下腹部にあり、ホルモンバランスを整える。
以上、
東洋医学では、排卵障害を単なる「卵巣の問題」とは捉えず、全身の気・血・水のバランスの乱れが関与していると考えます。
そのため、体質ごとに適切なケアを行うことが重要です。
早めの鍼灸治療を受けることで、排卵障害改善の可能性が高まります。
鍼灸院での施術は、痛みのない鍼と心地よいお灸による効果的な治療方法であり、排卵障害でお悩みの患者さんにとってお役に立てると考えます。
排卵障害鍼灸のよくある質問と回答
Q: 排卵障害は鍼灸で良くなりますか？
A: はい、機能的な排卵障害でしたら状態改善を目指すことができます。
「“絶対”に良くなります」と確定的なことは申し上げられませんが、鍼灸院では多くの患者さんの症状改善に成功しています。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: 排卵障害での不妊治療にも効果がありますか？
はい、卵を育ててうまく排卵させることで妊娠の可能性を高めます。
不妊治療において、鍼灸は血行改善やホルモンバランスの調整などの効果が期待されています。
多くの患者さんが鍼灸を併用することで成果を得ています。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 個人差はありますが、通常は数週間から数ヶ月の継続的な治療が必要です。
Q: 鍼灸が排卵改善にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的で、婦人科系の機能を改善するのに役立ちます。
Q: 施術後にどのような効果や変化が期待できますか？
A: 施術後、多くの患者さんが生理痛の軽減や周期の安定、採卵数の増加などを報告しています。
Q: 施術の頻度はどのくらいですか？
A: 施術の頻度は個別の状態によりますが、通常は週に1回が一般的です。
Q: 生理の時も治療を受ける必要がありますか?
A: 生理痛が強い場合はできるだけ生理前～生理中に治療することをおすすめします。
基本的には、生理周期のいつでも通じての継続治療が大切です。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。
完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療は病院の治療と併用できますか？
A: はい、鍼灸治療は病院の治療と併用できます。病院で出来ることは積極的になさってください。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
Q: 排卵障害以外の症状も同時に治療できますか？
A: はい、他の症状や不調も同時に治療できます。
肩こり・頭痛・腰痛・自律神経失調症・冷え・ストレスなど、複数の不調に同時並行して治療します。
