気分の落ち込み・軽いうつ症状に効くツボ
気分の落ち込み・軽いうつ症状に効くツボ

「何となく気分が晴れない」「やる気が出ない」「以前は楽しめていたことが楽しめない」。
そんな状態が続いていると、「自分が弱いからなのかな」と責めてしまう方も少なくありません。
ですが、
気分の落ち込みは心だけの問題ではなく、疲労やストレス、睡眠不足、更年期の変化、自律神経の乱れなど、体の不調が深く関係していることが多くあります。
頑張り屋さんほど、自分のことを後回しにしてしまいがちです。
仕事や家事、育児、介護に追われる毎日の中で、知らないうちに心と体が悲鳴を上げているのかもしれません。
東洋医学では、このような状態を「気・血・水」の乱れや五臓の不調として捉え、体全体のバランスを整えることを大切にします。
今回は、このツラい気分の落ち込みについて、西洋医学と東洋医学の両面から原因を紐解き、ご自宅でできるツボ押しケア、そして根本的な体質改善へと導く鍼灸の可能性について詳しく解説します。
ご参考にしてください。
西洋医学からみた気分の落ち込み(軽いうつ症状)

西洋医学では、気分の落ち込みや軽いうつ症状は、脳内の神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの働きの変化が関係していると考えられています。
また、強いストレスや慢性的な疲労、睡眠不足、人間関係の悩み、更年期のホルモン変化なども発症のきっかけになります。
症状としては、
気分の落ち込み
意欲低下
不安感
集中力低下
イライラ
不眠
食欲低下
倦怠感
…などがみられます。
体の症状として、頭痛、肩こり、めまい、動悸、胃腸の不調を伴うことも珍しくありません。
軽いうつ症状の場合、検査をしても明らかな異常が見つからないことも多く、「年齢のせい」「ストレスですね」と言われることもあります。
しかし、症状が長く続くと日常生活や仕事に支障をきたし、本格的なうつ病へ移行することもあるため注意が必要です。
特に40~60代の女性では、更年期症状と重なって現れることも多く、気分の落ち込みだけでなく、ほてり、不眠、疲労感、自律神経症状を伴うケースも少なくありません。
西洋医学的な治療法
西洋医学におけるアプローチの基本は「休養」「薬物療法」「精神療法(カウンセリング)」の3本柱です。
症状が続く場合には、精神科や心療内科で以下のような治療が行われます。
・環境調整・休養
・認知行動療法などの精神療法
・睡眠改善指導
・抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法
・更年期が関係する場合にはホルモン補充療法が検討されることもある
最近では運動療法やマインドフルネスなども、軽いうつ症状の改善に有効と考えられています。
東洋医学からみた気分の落ち込み(軽いうつ症状)

東洋医学では、心と体は切り離せないもの(心身一如)と考えます。
気分の落ち込みは、脳だけの問題ではなく、全身を流れる「気(生命エネルギー)」「血(栄養・潤い)」の異常と、内臓の働き(五臓六腑)のバランスが崩れた結果として現れると捉えます。
以下のような「体質」に基づいて気分の落ち込みの原因を判別します。
肝気鬱結(かんきうっけつ)
最も多いタイプです。
ストレスや我慢が続くと、「肝」の働きが低下して気の巡りが悪くなります。
・ため息が多い
・胸が苦しい
・イライラする
・生理前に悪化する
・のどに何か詰まった感じがする
仕事や家庭で頑張り過ぎる40~50代女性に非常に多い体質です。
心脾両虚(しんぴりょうきょ)
考え事や心配事が多く、気と血が不足した状態です。
・不安感が強い
・眠りが浅い
・動悸がある
・疲れやすい
・食欲がない
・忘れっぽい
長期間の介護や育児、仕事による疲労が背景にあることが多くみられます。
気血両虚(きけつりょうきょ)
体のエネルギーと栄養が不足した状態です。
・何もやる気が起きない
・顔色が悪い
・めまいがある
・疲れやすい
・声に力がない
病後や出産後、更年期にみられることがあります。
腎陽虚(じんようきょ)
加齢や慢性疲労により生命力の源である「腎」が弱った状態です。
・冷えが強い
・朝起きられない
・気力が出ない
・むくみやすい
・頻尿がある
更年期以降の女性によくみられます。
東洋医学では、同じ「気分の落ち込み」であっても原因となる体質が違えば治療法も変わります。
そのため、「ストレスを流す治療」が必要な方もいれば、「不足した気や血を補う治療」が必要な方もいます。
鍼灸では、脈や舌、お腹の状態を丁寧にみながら体質を見極め、その方に合った施術を行います。
心だけでなく、全身のバランスを整えることで、本来持っている回復力を引き出していくのが東洋医学の特徴です。
気分の落ち込みに効くツボ
東洋医学では、気分の落ち込みは「気が滞る」「気や血が不足する」「腎の力が低下する」ことによって起こると考えます。
そのため、単に頭や胸の症状だけをみるのではなく、全身の経絡の流れを整えることが大切になります。
気分の落ち込みに効く共通のツボ
■百会(ひゃくえ)
耳のいちばん高いとこりに親指をあて中指を頭のてっぺんにあててそこから前げ押しながら移動し、気持ちよく感じるところ。
頭頂部にあり、気を上に引き上げて精神を安定させる作用があります。
■内関(ないかん)
手首の曲がりジワに薬指をおき指幅3本そろえて人さし指があたっているところ、腕の幅の真ん中が内関です。
自律神経を整え、不安感や胸の苦しさを和らげる働きがあります。
気分の落ち込みに効果的な体質別のツボ
肝気鬱結タイプ
■太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
■膻中(だんちゅう)
左右の乳頭を結ぶ線と、体の中央を走る縦の線が交わる部分です。この場所は胸骨の真上にあり、押すと少し痛みがある場所です。
この二つのツボは、気の巡りを改善し、胸のつかえやイライラを和らげます。
心脾両虚タイプ
■神門(しんもん)
手首の曲がりジワを小指側へなでてゆき、骨の出っぱりの手前で指が止まるところが神門です。
■足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
この二つのツボは、心を養い、気血を補うことで不安感や不眠を改善します。
気血両虚タイプ
■三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
■気海(きかい)
中心線上でおへそから指幅2本下がったところです。
この二つのツボは、不足した気と血を補い、疲労感や無気力を改善します。
腎陽虚タイプ
■関元(かんげん)
指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、小指があたっているところ。
■命門(めいもん)
まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さの背骨にあるのが命門です。
この二つのツボは、体を温め、生命力を高め、冷えによる抑うつ感や意欲低下を改善します。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。

初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
まとめ

気分の落ち込みや軽いうつ症状は、決して気持ちの問題だけではありません。
ストレスや疲労、自律神経の乱れ、更年期の変化など、さまざまな要因が重なって起こります。
そして東洋医学では、それを「気・血・水」や五臓のバランスの乱れとして捉えます。
ご自宅でのツボ押しやお灸はセルフケアとして有効ですが、慢性的な不調を根本から変えるには、正確な体質判別と全身への的確なアプローチが必要です。
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