鍼灸の効果が科学的に証明【最新研究】|慢性腰痛から不妊まで有効

鍼治療の効果の科学的な証明|最新研究レビューを紹介

鍼灸の効果・論文・写真1

「鍼灸って本当に効くの?」

鍼灸に興味はあるものの、科学的な根拠があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

そんな疑問に答えるため、最新の研究論文をもとに、鍼治療のエビデンス(科学的根拠)を解説します。

近年、鍼治療に関する研究が急増しており、2017年から2022年にかけて実施されたシステマティックレビュー(過去の研究を総合的に分析する手法)とメタアナリシス(統計的にデータを統合する手法)が発表されました。

The state of evidence in acupuncture: A review of metaanalyses and systematic reviews of acupuncture evidence (update 2017–2022)
『鍼におけるエビデンスの現状:2017年から2022年の鍼のシステマティックレビューとメタアナリシスのレビュー』
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S096522992500024X

この研究では、鍼灸がどのような疾患に対して効果があるのかを検証し、その結果をまとめています。

科学が認めた!鍼治療の明確な効果がある疾患

今回の研究では、862のシステマティックレビューとメタアナリシスが分析され、184の疾患に対する鍼治療の効果が評価されました。

鍼灸の効果が明確に証明されている10疾患

特に科学的根拠がしっかりしている疾患として、以下の10種類が挙げられています

■慢性疼痛(長引く痛み)

■腰痛

■変形性膝関節症

■術後の悪心・嘔吐(手術後の吐き気)

■片頭痛

■緊張型頭痛

■がん関連疲労(抗がん剤治療中の疲れ)

■更年期症状(ホットフラッシュ・不眠など)

■女性の不妊症(病院の不妊治療との併用で効果向上)

■男性の慢性前立腺炎

これらの疾患に関しては、「鍼治療の効果が明確に証明されている」という結果が得られました。

「効くかもしれない」と期待できる疾患は82種類

さらに、この研究では82の疾患について「鍼治療に潜在的な有効性がある」とされています

つまり、今後さらなる研究が進めば、より確かなエビデンスが得られる可能性があるということです。

例えば、

■アレルギー性鼻炎

■消化器系の不調(便秘や胃痛)

■不安症・うつ症状

■不眠症

…などが含まれます。

「完全に科学的に証明された!」とは言い切れませんが、すでに一定の効果が示唆されているものです。

「まだ証拠が不十分」「効果なし」とされた疾患も

86の疾患については「エビデンスが不十分または不明確」、6つの疾患については「効果なし」と結論付けられたという結果も出ています。

つまり、「鍼治療はどんな病気にも効く万能の治療法」というわけではなく、科学的な研究によって、その有効性が証明された疾患もあれば、そうでないものもあるということです。

今後の課題と研究の方向性

この研究では、鍼治療のエビデンスが2017年以降、飛躍的に向上したことが明らかになりました。

しかし、一方で「臨床試験の質をさらに向上させる必要がある」という指摘もあります。

今後、STRICTA(鍼灸研究のためのガイドライン)やCONSORT(臨床試験の国際的な報告基準)を遵守した質の高い研究が増えれば、より多くの疾患に対する効果が明確になるでしょう。

なぜ鍼灸は効果があるの?

鍼灸の効果・論文・写真2

ここで「鍼灸って、どうしてそんなに色々な症状に効くの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

東洋医学では、私たちの体には「気・血・水」という3つの要素が流れており、これらのバランスが崩れると不調が現れると考えます。

鍼灸は、ツボ(経穴)を刺激することで、これらの流れを整え、自然治癒力を高める効果があるのです

例えるなら、私たちの体は、まるで精密に作られた時計のようなもの。
それぞれの歯車(臓器や神経)が正しくかみ合い、スムーズに動くことで、健康という正確な時を刻みます。

しかし、ストレスや不規則な生活によって、一つの歯車がズレてしまうと、全体の動きが悪くなり、不調が現れます。

鍼灸は、そんなズレた歯車を元の位置に戻し、時計が再び正確に時を刻めるように調整する役割を果たします。

まとめ:鍼治療は科学的に検証されている!

鍼灸の効果・論文・写真3

今回の研究から、

●鍼治療の科学的根拠は年々増加している。

●10の疾患では明確な有効性が証明されている。

●82の疾患では「効果があるかもしれない」と期待されている。

●研究の質を向上させることで、さらに多くのエビデンスが得られる可能性がある。

…ということが分かりました。

「鍼灸ってなんとなく効く気がするけど、科学的にはどうなの?」と疑問に思っていた方も、最新の研究結果を知ることで、少し安心できたのではないでしょうか。

もし、慢性の痛みや更年期の不調、不妊症などでお悩みの方は、科学的なエビデンスも参考にしながら、ぜひ鍼灸を試してみてはいかがでしょうか?

当院では、東洋医学の知識を生かし、あなたの体質や症状に合わせた施術を提供しております。
お気軽にご相談ください!

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