妊活中のカフェイン、東洋医学から見た「飲む」or「やめる」?

妊活中のカフェイン|東洋医学の視点

カフェインと妊活・写真1

当院には不妊治療中の女性が多くいらっしゃいますが、とくによくご質問いただくのが、「カフェインって妊活にどう影響するんですか?」というお悩みです。

コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、現代人の生活に欠かせない存在になっています。
けれど、妊活中においては、その摂取量や体への影響について、少し見直してみる必要があります。

東洋医学の視点からは、カフェインは「ある体質」や「ある症状」を持つ方にとって、思いのほか大きな影響を及ぼすことがあります。

今回は、東洋医学の観点から、妊活中のカフェイン摂取(主にコーヒー)について掘り下げていきます
あなたの体質に合わせたカフェインとの向き合い方を知ることで、妊活をよりスムーズに進めるヒントが見つかるはずです。

最初に結論
コーヒーが好きな人で、妊活中もコーヒー生活を継続したい人は「1日1杯は大丈夫」と考えます

なんでもそうですが、〇〇は絶対ダメ!とか〇〇をしなきゃダメ!などという頑なな硬直した思考は、東洋医学的にも気血の巡りを悪くさせ、結果的に体に悪影響になり得ます。

あくまでバランスが重要です。中庸ということです。

楽しんで、味わって、豊かな時間を過ごしていただければ、気血の巡りも整います。

現代医学から考えるコーヒーの量

カフェインの代表例はコーヒーですので、コーヒー量について説明します。
現代医学から見たコーヒーの量です。

現代医学において、カフェインの推奨摂取量は、国際機関や各国の保健機関によって設定されており、健康な成人と妊婦、授乳婦などで目安が異なります。

日本では明確な基準は設定されていませんが、海外の情報を参考に、農林水産省や食品安全委員会などが情報発信を行っています。

■健康な成人
1日あたり 400 mg までであれば、健康に悪影響は生じにくいとされています。
これは、コーヒーに換算すると、237 mLカップで約3~4杯に相当します。

■妊婦、授乳婦、妊娠を計画している女性
1日あたり200~300 mg 以下で、コーヒーでは約2杯に相当します。

※注意点
・カフェインに対する感受性には大きな個人差があります。
同じ量を摂取しても、効果の現れ方や副作用の出やすさは人それぞれです。
敏感な人は、上記の推奨量よりも少ない量でも副作用を感じることがあります。

・コーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラ、チョコレート、一部の医薬品などにもカフェインは含まれています。1日の総カフェイン摂取量に注意し、これらを考慮に入れる必要があります。

・就寝前のカフェイン摂取は睡眠に影響を与えるため、避けるべきです。

・高血圧、不整脈、胃腸疾患、不安障害などの持病がある人は、カフェイン摂取について医師に相談することをおすすめします。

妊活とカフェインのデメリット:東洋医学の視点から

カフェインと妊活・写真2

次に、東洋医学の視点です。

東洋医学では、体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のバランスで成り立っていると考えます。
これらのバランスが崩れると、様々な不調が現れ、妊活にも影響を及ぼす可能性があります。

東洋医学では、カフェインの多く含まれるコーヒーや緑茶は「涼性」の性質を持ち、身体を冷やす方向に働くとされています。
冷えは「腎(じん)」の機能を弱らせ、生命エネルギーの源である「精(せい)」が不足しやすくなります。

妊活においては、この「腎精(じんせい)」が非常に大切で、精がしっかりしているほど、卵子の質や着床の力、ホルモンバランスが安定しやすくなるのです。

では、カフェインのもつ「気・血・水」へのデメリット作用をもう少し詳しく解説します。

■「気」の消耗と滞り
カフェインには覚醒作用があり、一時的に体をシャキッとさせる効果がありますよね。
これは、「気」を急激に消耗させている状態だと考えられます。
過度な「気」の消耗は、巡りを悪くし、全身の機能低下につながることがあります。

■「血」の滞りと「瘀血(おけつ)」
カフェインには血管を収縮させる作用があると言われています。
とくに冷えやすい方は、血流が悪くなり、「血」が滞りやすくなる可能性があります。

東洋医学では、血の滞りを「瘀血」と呼び、婦人科系のトラブル(生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症など)や不妊の原因になると考えます。

■「水」の代謝異常と「痰湿(たんしつ)」
カフェインには利尿作用があります。
一時的に水分が排出されることでむくみが取れるように感じても、過度な排出は体の必要な潤いを奪い、結果的に「水」のバランスを崩すことがあります。

また、体を冷やす作用もあるため、体内に余分な水分が溜まりやすくなり、「痰湿」という状態を引き起こすこともあります。
これは、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の方にも見られる体質の一つです。

東洋医学では、「腎(じん)」は生殖機能と深く関わると考えられています。
カフェインによる「気・血・水」の乱れは、「腎」の働きにも影響を与え、結果として妊娠しにくい体質につながる可能性があるのです。

カフェインが妊活に与える影響をタイプ別に解説

東洋医学では、人それぞれ体質が異なると考えます。
あなたの体質を知ることで、カフェインとの付き合い方が明確になります。

冷え性タイプ(陽虚・腎陽虚)

特徴:
手足が冷たい、お腹が冷えやすい、顔色が青白い、疲れやすい、生理痛がひどい、月経周期が長くなりがち。

カフェインの影響:
カフェインには体を冷やす作用があるため、冷えをさらに悪化させます。
血流が悪くなり、子宮や卵巣への血流も滞りやすくなるため、妊娠しにくい状態を招きやすくなります。

妊活アドバイス:
カフェインはできるだけ控え、体を温める食材(生姜、シナモンなど)を積極的に摂りましょう。
温かい飲み物や食事を心がけ、腹巻きなどで下腹部を温めることも大切です。

ストレス・イライラタイプ(肝鬱気滞)

特徴:
イライラしやすい、気分が落ち込みやすい、胸や脇が張る、ため息が多い、生理前に胸が張る、頭痛やめまいがある。

カフェインの影響:
カフェインは交感神経を刺激し、さらに興奮状態を高めるため、ストレスやイライラを悪化させます。
気の巡りが滞り、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

妊活アドバイス:
カフェインの摂取を控え、リラックスできる時間を作りましょう。
アロマテラピーや軽いストレッチ、深呼吸なども効果的です。
気の巡りを良くするセロリや春菊などの香味野菜もおすすめです。

むくみ・だるさタイプ(痰湿・水滞)

特徴:
体が重だるい、むくみやすい、舌に苔が多い、おりものが多い、食欲不振、下痢をしやすい。

カフェインの影響:
カフェインの利尿作用で一時的にむくみが取れるように感じても、長期的に見ると体の水分代謝を乱し、余分な水分を溜め込みやすくなります。
とくに冷えと結びつくと、さらに「痰湿」が形成されやすくなります。

妊活アドバイス:
カフェインは控えめにし、水分の排出を促す利水作用のある食材(冬瓜、キュウリ、ハトムギなど)を摂りましょう。
適度な運動で発汗を促すことも大切です。

貧血タイプ(血虚)

特徴:
顔色が白い・めまい・動悸・月経量が少ない

カフェインの影響:
鉄分の吸収を妨げるため、貧血傾向が強い方は要注意。

妊活アドバイス:
温かい黒豆茶やなつめ茶など、血を補うお茶を取り入れると良いでしょう。

以上いくつかのタイプがあり、ご自身の体質を判断するのは難しいかもしれませんが、一番はっきり現れているタイプを意識してみてください。。
鍼灸院では、脈やお腹、舌などを丁寧に診て、お一人おひとりの体質を詳しく判別しています。

鍼灸院長が教えるカフェインと上手に付き合う方法

「完全にやめるのは無理…」という声もよく聞きます。

東洋医学では“バランス”が大切

ですから、以下のような工夫で、カフェインと上手に付き合うことは可能です。

■まずは「減らす」ことから始める
いきなりゼロにするのではなく、少しずつ量を減らしてみましょう。
例えば、1日3杯飲んでいるなら2杯に、2杯なら1杯に減らすといった具合です。
午後の摂取は午後以降はノンカフェインに切り替えましょう。
とくに夜遅い時間は避けるようにしましょう。

■ノンカフェイン飲料への置き換え
コーヒーや紅茶の代わりに、ほうじ茶、麦茶、ルイボスティーなどのノンカフェイン飲料を取り入れてみましょう。
これらは体を冷やしにくいものが多く、安心して飲めます。
冷えが気になる方は、生姜紅茶もおすすめです。
体を温める効果が期待できます。

■温かい飲み物を心がける
冷たい飲み物は体を冷やし、血流を悪くします。できるだけ温かい飲み物を選ぶようにしましょう。

■カフェイン以外のリラックス法を見つける
カフェインに頼らずにリラックスできる方法を見つけることが大切です。
温かいお風呂に入る、アロマを焚く、軽いストレッチをする、瞑想をするなど、自分に合った方法を見つけてみましょう。

■鍼灸で体質改善
東洋医学の鍼灸施術は、全身のツボ(経穴)を使って「気・血・水」のバランスを整え、体質を根本から改善していきます。

当院では、脈・舌・お腹を丁寧に診て、お一人おひとりに合わせたオーダーメイドの本格的な東洋医学鍼灸を行っています。
鍼は髪の毛よりも細い0.16mmの鍼を使用し、痛みはほとんどありません。
お灸も熱すぎず心地よい温かさで、初めての方でも安心して受けていただけます。

体を温め、血流を促進し、自律神経のバランスを整えることで、カフェインに頼らない体作りをサポートします。

カフェイン以外で気をつけたい日常生活のこと

カフェイン以外にも、妊活中に気をつけていただきたい東洋医学的な視点があります。

■「冷え」対策は最重要課題
東洋医学では、「冷えは万病の元」と考えます。
とくに女性は、子宮や卵巣の冷えが妊活に大きく影響します。

夏でも冷たい飲み物や食べ物は控えめにし、体を温める食材を積極的に摂りましょう。

服装にも気を配り、首、手首、足首の「三首」を温め、お腹や腰周りも冷やさないように心がけてください。

■「ストレス」を溜め込まない工夫
仕事や家事、育児で忙しい毎日を送る中で、ストレスは避けられないものかもしれません。
しかし、東洋医学では「肝」の働きがストレスと深く関係し、気の巡りを悪くすると考えます。

自分の好きなことやリラックスできる時間を見つけ、意識的にストレスを解消する習慣を作りましょう。

■「質の良い睡眠」を確保する
睡眠は、体の回復や修復、ホルモンバランスの調整に非常に重要です。
夜更かしは避け、できるだけ決まった時間に就寝・起床するリズムを整えましょう。

寝る前にスマートフォンやパソコンを見るのは控え、リラックスできる環境を整えてください。

■「規則正しい食生活」と「バランスの取れた食事」
三食規則正しく、旬の食材や地元の食材を取り入れたバランスの良い食事を心がけましょう。

とくに「血」を補う食材(レバー、ほうれん草、プルーンなど)や、「腎」を補う食材(黒豆、山芋、海藻類など)を意識して摂ると良いでしょう。

さいごに:あなたの妊活を鍼灸院での本格鍼灸でサポート

カフェインと妊活・写真3

妊活中のカフェイン(主にコーヒー)については、おおらかに少しの量を楽しむ気持ちを失わないでください。
もちろんノンカフェイン(ほうじ茶など)だけで豊かな生活を送れるなら何ら問題ありませんが、コーヒーを飲む時間やチョコを耐える時間に豊かさを家事ていらっしゃるようであれば、1日1杯程度の中庸を心がけていただければ妊活に影響しないと考えます。

また妊活は、精神的にも肉体的にも負担の大きい道のりです。
一人で抱え込まず、頼れる専門家と一緒に乗り越えていくことが大切です。

当院では、25年の臨床経験と延べ5万人以上の施術実績を持つ院長である私が、お一人おひとりの話を丁寧に伺い、東洋医学的な体質診断に基づいて最適な鍼灸施術を提供しています。

「最初は鍼が怖かったけど、全く痛くなくて驚いた」「長年の生理不順が整って妊娠できた」といった嬉しいお声も多数いただいています。

鍼灸は、部分的な症状だけでなく、全身のバランスを整えることで、自然治癒力を高め、妊娠しやすい体質へと導きます。病院での治療と併用することで、より効果が期待できます。

「なかなか妊娠できない」「生理不順や婦人科疾患に悩んでいる」「体質改善をして妊活を成功させたい」
もしあなたがそんなお悩みをお持ちなら、ぜひ一度当院にご相談ください。

あなたの妊活を、東洋医学の力で全力でサポートさせていただきます。

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