不妊の漢方薬が効かない理由と対策

不妊漢方

漢方薬が効かないハナシ

不妊症に悩む人は漢方薬を一度は試したことがある人が少なくありません。
実際に、病院(クリニック)でも保険を使った漢方薬が処方されます。
もしくは、自分で漢方薬局などに行き、購入されることもあります。

しかし、漢方薬を試した人の中には、
・効果がわからなかったのでやめた
・長く飲まないと効かないからとダラダラ続けている
…などのケースもあります。

両方とも「漢方薬は効かない」と感じているのですが、それは漢方薬が本当に効果がないからではなく、多くは「漢方薬が自分に合っていない」「薬を消化吸収できていない」という理由が考えられます

漢方薬が合っていない

とくに病院で処方される保険適応の漢方薬でこのようなミスマッチが多い気がします。

それは、漢方薬と西洋薬(現代医学の薬)の処方の仕方が違うことがあります。
西洋医学の医師はやはり「西洋医学流の考え方」で人体を判別し、薬を処方します。
漢方薬でも同じ切り口で処方してしまいます。
結果、東洋医学の処方の仕方とは全く違った切り口で処方されるので、出された漢方薬が「合わない」ということになってしまいます

まず、漢方薬は西洋医学の薬のように「病気の名前」にあわせて使うわけではありません。
同じ病気の人が3人いたとして、3人とも異なった漢方薬になる、なんということはよくあります。

東洋医学で見ているのは「その人の体質」です。
不妊症で悩む人が複数人いた場合、それぞれの体質は全く異なります。
当然、飲む漢方薬が異なってきます。
十人十色ということですね。

ただここではあまり深入りせず、一般的に保険適応でよく使われる漢方薬3つを見ます。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
加味逍遙散(かみしょうようさん)
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
…です。

それぞれの漢方薬が向く人を一言で書くと以下の通り。

・当帰芍薬散
疲れやすさ・手足の冷えが強い人向け。

・加味逍遙散
イライラや精神不安などの精神神経症状が強い人向け。

・桂枝茯苓丸料
体格はしっかり・コリや痛みが強い・生理痛が強い人向け。

詳しくは別ページでも書いています。

【当帰芍薬散】不妊治療のその漢方薬はあなたに合っている?【桂枝茯苓丸】

体質に合っていないと効果が出にくくなります(=効かない)。

例えば、体力がない虚弱体質の人なのに体力ある人向けの「桂枝茯苓丸」を使い続けると逆効果です。
体力がますます弱ってくることがあります。
なので、自分の体質にあっているかどうかは非常に重要です。

漢方薬を消化吸収できない

漢方薬は飲んで、胃腸で消化吸収されて、初めて効果を発揮します
そのため胃腸が弱いと効きは落ちます。
当たり前な話なのですが、意外と盲点かもしれません。

とくに不妊症に悩まれている女性は、虚証体質(エネルギーや栄養が足りない)の人が少なくありません。
その場合、多くは胃腸の虚の人です。
(※ただし「胃腸の虚」とは、胃痛や下痢しやすいなどと自覚あることばかりを言うのではありません。)

せっかく不妊の漢方薬を飲んでいても、身になっていないために効果がでないということも多いのです。

中から漢方薬、外から鍼灸

「体質とのミスマッチ」や「胃腸の虚」のために漢方薬を活かしきれていない人には、鍼灸というもう一つの東洋医学の柱をお勧めします。
鍼灸と漢方薬の併用が一番ベストです。
お互いの長所を補い合いながら「体質改善」が最短で進むと考えます。

鍼灸はツボ(皮膚)への刺激です。
ツボには効能があり、胃腸の虚を強くするツボ・婦人科パワーアップのツボ・冷えをとるツボなどがあります。
そういった全身のツボを駆使して「体質改善」を果たします。
一方、漢方薬は生薬の効能で効かせます。
生薬の効能で気を補ったり血を巡らせたりするわけです。

結局は同じ作用になるのですがアプローチがずいぶん違うので、併用がベストマッチと考えます。

ただし、どちらかしか使えない(金銭的な事情など)ようでしたら、まずは気になる方を試してください。
1~3ヶ月試してみて「効いていない」ようでしたら、もう一つの方に乗り換えてみてはいかがでしょうか。