バセドウ病・橋本病と不妊

バセドウ病・橋本病

甲状腺機能

「甲状腺」は喉仏の部分にありホルモンを出しています。
「甲状腺ホルモン」です。

甲状腺ホルモンとは、成長や神経発達、エネルギー産生、糖タンパク・脂質代謝、循環器などへ作用し、生命を維持するのに欠かせないホルモンのことです。
生命活動全般に影響を及ぼすホルモンである、というのがポイントだと思います。

このホルモンが多く出過ぎてしまう病気が「バセドウ病」で、減ってしまう病気が「橋本病」と呼ばれます。
甲状腺異常の原因は、遺伝的なものとストレスなどの環境要因が関係して、甲状腺に悪影響を与えるからと考えられています(自己免疫疾患が考えられています)。

バセドウ病の症状

心臓がドキドキする(動悸)
たくさん汗をかく(多汗)
体重が減る
目が出る
疲れやすい
イライラする
暑がり
下痢
月経不順
たくさん食べても太らない
不妊

橋本病の症状

首が腫れる
寒がり
食欲がないのに太る
肌が乾燥する
からだがかゆい
からだがむくむ
便秘
昼間も眠い
よく居眠りをする
やる気がでない
月経の量が多くなる
月経の期間が長くなる
からだが重い
不妊
流産

バセドウ病・橋本病と不妊

甲状腺機能
以上のように甲状腺ホルモンの異常は全身に影響が出ます。
もちろんこれは程度問題です。

症状が強く出れば病気として治療対象になるでしょうし、ちょっとあるかな(“むくみやすい”とか“暑がり”とか)程度では「そんなものだ」で病気とは感じられないでしょうし、甲状腺ホルモンの問題でないことも多々あります。

これら症状があって甲状腺機能の異常が病的な場合はすでに薬でコントロールがなされていると考えられますので、不妊との関連では逆に、普段の生活ではさほど感知されないようなレベルでの甲状腺ホルモンの過不足が問題になるように感じられます。

まず、甲状腺ホルモンの過不足が不妊に関係するのはなぜでしょうか。

甲状腺ホルモンは全身に影響することから、甲状腺に異常が起こると、「全身の健康度が低くなる」と考えるのがイメージしやすいかと思います。
当然、全身のホルモンのバランスが崩れます。
排卵や月経といった妊娠にとって重要な働きも、ホルモンによって調節されています。
月経周期などのホルモンバランスの異常が不妊の原因となってしまうのです。
「健康度が低い身体」だと、なかなか妊娠しづらかったり、妊娠しても流産しやすかったりしてしまう、ということです。

ただ、ここで1つご注意頂きたいことがあります。
それは、甲状腺機能の異常があったとしても、必ずしも不妊になるというわけではありません。
しっかり妊娠され、無事に出産される方もいらっしゃいます。
不妊の原因の一つになりうるので対策するのも良い、ということです。
妊娠する力を高めるために色々トライするのは悪いことではないはずです。

西洋医学的には、専門病院でしっかり検査をして、適切に薬を飲むことでホルモン値の改善を目指します。

バセドウ病・橋本病と鍼灸

鍼灸
東洋医学(鍼灸)的には、身体に表れている状態から「体質を改善させる」ようにしていきます。
・冷え体質には温める治療
・のぼせ体質にはクールダウンする治療
・疲れ体質には滋養の治療
・むくみ体質には水分代謝を良くする治療

これらの体質改善がなされていくことで、結果としてホルモン値も改善していくと考えています。
そして、言いかえればそれは「健康度が高い身体になっている」ということであります。

病院での治療以外にも何かできることをしたいと考えたら、東洋医学という違った視点での治療も検討してみてください。
お役立てることも少なくないですよ。