頭にも鍼灸しますよ!
頭の鍼
ツボ(経穴)は体中にあります。
手足や背中にもありますし、当然、顔にも頭にもツボがたくさんあります。
たとえばこんな感じ。
顔の鍼は、病気の治療の際は「局所治療」として使われることが多いです。
顔面神経麻痺でマヒしている顔のツボに刺激を与えたり、耳の聞こえが悪い際に耳のそばにあるツボを使ったり。
ただ、最近では「美容鍼灸」の一環として、しわ・たるみ・しみなどのために顔のツボがよく使われます。
よくSNSで見かけるフォトジェニックなやつです。
一方、頭のツボは、頭痛など局所的な意味合いで使うこともありますが、少し活用方法が違います。
頭には体の中での意味合いがあり、それに沿った使い方をすることが多いです。
頭は陽気がのぼる場所
鍼灸(東洋医学)では、体には血液と同様に気や水というものもめぐっていると考えています。
気の中には温める力があり、温かい気(=熱)は上(頭)に上りやすいと考えられています。
追い炊きのお風呂で、かき回さないと上が熱くて下が冷たくなるのと一緒です。
体の中の熱もうまく巡らないと、熱は自然と上へ上へ行ってしまうと考えられています。
そうなると、頭(もしくは首より上)に熱がたまり、そこで悪さをするようになります。
たとえば、めまい、頭痛、目赤、不眠、耳鳴り…などです。
頭のツボにはこのような上にのぼった熱を冷ます作用を有します。
頭は精神とも関係深い
現代医学的にも脳と精神は関連深いですが、東洋医学でも「脳=頭」と精神には関連性があるとみています。
怒り、イライラなども頭に関係があります。
これらの症状は先ほどの熱症状でも起きますが、それだけでなく不安や夢をよく見るなどは気血の巡りが足りない状態で起きます。
精神症状すべてが頭に関係するとは言いませんが、多くが関係しますので、精神安定の作用が頭のツボにはあります。
体の端っこである
血流にしても体の先端まで行くと、今度は逆転してまた胴体に戻っていきます。
手足の指先がわかりやすいです。末端と呼ばれる場所です。
じつは頭も末端です。
末端まで来た気血は今度は折り返して戻っていくのですが、そこはやはり滞りができやすい場所です。
そういうわけで、頭にも滞りができやすいです。
気血の巡りが悪くなると、そこに痛みが出やすくなります。
それが頭痛に代表される症状です。
また、末端の巡りを改善すると、全身にも良い影響が出ます。
一番弱い折り返しの部分がすっきりすれば、全身の巡りだって円滑です。
頭のツボにはそういった巡りを整える作用もあります。
反応点として
「足つぼ」は聞いたことがあるかもしれません。
こういうやつです。
足には体全体を表すツボがある、という考えのものですが、手にも耳にも同じようにあります。
それと同様のものが頭にもあります。
頭は体全体を反映している、という考え方です。
この反射区的な考え方は、厳密には伝統的な鍼灸医学の経絡・経穴とは異なるのですが、今では鍼灸施術の一環として取り入れられ、また効果も見られるので、これも頭のツボの効果ととらえてよいと思います。
独特の全身の反映が頭にはあります。
まとめ
頭のツボは結構使えるツボが多くそろっています。
●熱を取る
●精神安定
●全身の血流をよくする
●全身を頭が反映する
意外に思えるかもしれませんが、じつは頭の鍼はあまり痛みません。
手足の鍼が敏感な人でも頭の鍼は平気で受けていくことが多いです。
(もちろん「ツボが反応を出している=鍼を刺す意味がある」場合にはです)
無痛で施術を受けられることがほとんどですし、お灸などをすれば気持ちよさを感じていただける事が多いです。
頭の施術が必要な人が、頭に鍼灸を受けると、かなり気持ちいいですよ(笑)