整体より鍼灸をおススメする理由

整体と鍼灸|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

前記事『整体院と鍼灸院のどちらを選ぶ?』に続き、整体と鍼灸の違いを書いてみます。

最初に前記時の結論を繰り返します。
整体院や鍼灸院を選ぶときに大事になる最終的な答えは「施術者次第」です。
正直、凄い整体師もいれば、しょぼい鍼灸師もいます。
ですので、何をするかよりも施術者の腕がどうか、が一番重要です。

患者さんからすれば、現実問題として「自分の悩みが解決するのか?」が大事なわけですから、整体だろうが鍼灸だろうがどうでもいい事です。
とにかく治ればいい(できれば、早く・安く・気持ち良く治ればより良い)。

それを分かったうえで「でも鍼灸の方がおススメですよ」という話を、鍼灸師目線で書きます(笑)

鍼灸には歴史がある

鍼灸の歴史と経験|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

鍼灸の歴史を簡単に記します。

今から二千年以上前に、古代の中国で誕生したと考えられます。
それは二千年以上前の古代中国の王侯貴族のお墓の副葬品に「鍼灸の医書」があったからです。
その時代にすでに鍼灸が行われていたことはわかります。
しかもその内容は、ツボや気のルート(経脈)に関する記述など、今と同じ原型がすでにできていました。

日本へは6世紀頃に中国より渡ってきました。
日本の中でも鍼灸は「正統医学」として定着していきます。
平安時代の貴族の日記にお灸治療のことが書かれていたり、戦国時代の武将たちもお灸をすえていたことが書かれています。
また江戸時代の『奥の細道』(松尾芭蕉)でもお灸が紹介されているように、庶民の医療としても普及しました。

ただし、明治時代に西洋医学が導入されると、漢方・鍼灸など伝統医学は存続危機を迎えます。
このような鍼灸「冬の時代」にもかかわらず、お灸治療は民間療法として広く普及・実践され、昭和初期には医師の中で鍼灸の研究をする人も現れました。
鍼灸を西洋医学的に研究して、その仕組みを解明しようという流れです。

太平洋戦争が終わると、日本を統治したGHQは「非科学的な野蛮な医療である」とし鍼灸を禁止しようとしました。
再び存続危機です。
このときに志ある医師や全国の鍼灸師が鍼灸存続運動を起こしました。
その趣旨は、「1940年代の基礎科学の現状では、鍼灸の完全な解明など不可能であり、解明されていないことをもって鍼灸が科学的でないとする指摘は当たらないこと」「大日本帝国においては、国家の方針として伝統医学(鍼灸)の研究を国家の機関で行ってきており、これらの成果を推し進めることで、現代医学の発達に寄与すること甚大であること」の2点を挙げたと言われています。
結果、GHQもを鍼灸を認めるに至りました。

この後も戦後日本の鍼灸業界は、鍼灸を科学的に裏付ける研究を進めています。

鍼灸には経験の蓄積がある

鍼灸の歴史と経験|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

長い歴史があるもの全てが優れている、とは言いません。
ただし廃れずに存続してきたことには意味があるとも言えます。

鍼灸は中国で2000年・日本でも1500年の歴史があります。
日中だけでなく韓国やベトナムなど周辺国でも鍼灸は根づいています。
やはり鍼灸には頼れる事実があるから、治療法として生き続けているのだと考えます。

そして歴史がある分、経験が蓄積されています。
2000年分の医学的蓄積があるのが鍼灸です。

すべてが正確に残っているわけではないですが、文章(書籍)というカタチで伝承されています。
日本では少なくとも江戸時代くらいの文献からは残っており、それらの量は膨大です。
現在も多くの鍼灸師が自分たちの技術を書籍や動画などで公開していて、それらを日々学ぶことで鍼灸業界全体の底上げができていると考えられます。

鍼灸が確固とした土台の上に存在する治療法だということです。

科学的な解明も進む

鍼灸の科学的研究|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

鍼灸の「効く仕組み」や「体に与える影響」は以前より明らかになりつつあります。
それは現代医学的な検査機械が進歩したためでもあります。
MRIや超音波やカメラの類が発展し、より生きた人体の内部が分かるようになっています。
鍼灸を施した場合の変化を調べる研究も進んでいます。

とくに海外で注目され、世界的な研究が進んでいます。
最近はもっぱら欧米などで鍼灸が活用されるケースが増えている印象です。
西洋医学では改善が乏しい病気や悩みを鍼灸が解決することも少なくないからです。

世界規模で鍼灸の有用性(もしくは信ぴょう性)を確かめようという動きが活発化しています。
「本当に鍼灸という治療は有用なのか?」という世界的な疑問への研究です。
それらの研究を踏まえ、今現在のところどこかの国で正式な発言として「鍼灸は効果がなく不要な治療法である」と言われたとは聞きません。
逆に、アメリカの国立衛生研究所(NIH)やイギリスには国立医療技術評価機構(NICE)など公的な機関からも「鍼灸の有用性」が支持されています。

まとめ

整体と鍼灸の大きな違いを一言で言えば「層の厚さの違い」でしょうか。
整体が定義不明確なまま多様な状態で存在しているのに対し、鍼灸は時間的にも地域的にも根を張っています。
これらからみても、体の悩みに鍼灸を選ぶという選択はなんら違和感のないものだし、「ぜひ推奨!」なのです(笑)

ちなみですが、以前『鍼灸の適応症』の記事で書きましたが、鍼灸が勧められる症状・勧められない症状を挙げておきます。
参考にしてください。

【鍼灸が適している病気】
●虚弱体質による体の不調や体力低下
●「年のせい」などと言われてしまう症状
●アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息など)
●心身症
●病院では原因の見つからない不定愁訴
●自覚症状を主とする痛みやコリ
●自律神経失調症(冷え、のぼせなど)
●生活習慣病(慢性高血圧や糖尿病など)のような長期管理の必要な病気
●現代医薬品の副作用の軽減

鍼灸は一般に適さない病気
●西洋医学で安全に確実に治せると思われる病気
●緊急処置の必要性がある病気(脳梗塞、急性心筋梗塞など)
●ただちに手術を必要とする病気
●日常的に経験したことのない症状の場合はまずは西洋医学的な検査が必須