男性不妊
そもそも男性不妊とは
男性不妊は、男性が生殖能力に問題を抱える状態です。
これは、精子の形態や数、運動能力などに問題があり、正常な受精能力を持たない状態を指します。
また、精管機能異常や精巣機能低下などが原因のこともあります。
男性不妊になる原因はさまざまです。
生活習慣、遺伝的要因、環境的要因、感染症、自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れなどが含まれます。
男性不妊は妊娠を望むカップルにとって深刻な問題であり、病院での検査と診断と(必要に応じて)治療が必要となる場合があります。
WHO（世界保健機関）の不妊症に関する調査では、
男性のみに原因があるケース・男女双方に原因があるケースはともに24％ずつで、男性が不妊症例の約半数に上ります。
機能的な問題
男性側の原因として「造精機能障害（精子を作る機能の問題）」「精管通過障害（精子の通過経路の問題）」とされていますが、「造精機能障害」が90％を占めるといわれています。
造精機能障害は精子をうまくつくれない状態のことです。
この障害によって正常な動きをする精子の数が減ると、精子が卵管内の卵子にたどり着けなくなったり、たどり着けたとしても卵管内で受精できなかったりという問題が起こります。
造精機能障害は、大まかに分けると以下の通りです。
●無精子症：精液中に精子が1匹も存在しない。
●乏精子症：精子の数が少ない（濃度1500万未満/ml）。
●精子無力症：数は正常でも精子の運動率が低い（前進する精子が40％未満）。
●奇形精子症：形に異常がある（正常精子が40％未満）。
そして、
この約60％は、病院で検査してもなぜ精子に異常が発生しているのか、原因がわかりません。
精子の「老化」の問題
まだ女性の「卵子の老化」よりも認知されていませんが、男性の「精子の老化」もあります。
精子の数や運動率だけでは測れないのがこの「精子の老化」です。
原因は、一番単純に言えば「加齢」の影響です。
35歳を超えてくると精子の老化を意識する必要もあります。
ただし、実年齢がイコール体の年齢ではないように、30代ですでに老化が進んでしまっているケースもありますし、40代でも大丈夫なケースもあります。
それは、大きくは元々その人の持っている「生命力」（東洋医学では「腎」のチカラと言います）の差であったり、生活習慣でどこまで体に配慮してきたかの差になります。
心・気持ちの問題
気持ちの問題で性交渉自体が持てなくなるＥＤなどのことです。
原因は「ストレス」です。
ストレスといっても仕事だけではありません。
男性に話してみると色々な思いがあります。
奥様に対してはなにも言わなくても「子作りに対して指図されるのが嫌」「種馬と思っているのか」「排卵日だけＳＥＸを求められる」などの思いを抱え、そんな雰囲気を察したのか奥様は「私はこんなに頑張っているのにやる気が無い！」と、お互い険悪になり、性交渉自体が嫌になってしまいます。
また、このようにいかにも気持ちの問題だとわかるものから、ストレスは体にも影響しています。
ストレスは健康レベルを落とす、ということです。
先ほどの「精子を作る機能」にしても「精子の老化」にしても健康な体には起こりづらいことです。
男性不妊の改善を考えた時、体だけでなく気持ちや心の健康にも気を配る必要があります。
男性不妊を放っておいてはダメな理由
男性不妊を放置すると、妊娠の成功率が低下します。
カップルの妊娠への希望が減少する可能性があります。
男性不妊の原因次第では、精巣機能の低下も進行します。
不妊治療の成功には病院での早期の診断と治療が大切です。
男性不妊を放置すればするほど、女性側の負担も増え、費用や時間の浪費となることが考えられます。
また、
男性不妊はストレスや過労など他の健康問題とも関連しています。
これらの問題を未然に防ぐためにも適切な対処が必要です。
男性不妊と鍼灸
鍼灸(東洋医学)では、
男性不妊は体内の気血水のバランスの崩れと関連づけます。
男性不妊ととくに関係が深いのが「腎虚(じんきょ)」「肝気欝(かんきうつ)」「脾虚」などが考えられます。
これらの要因が男性の生殖機能に影響を及ぼすとされています。
腎虚
「腎(じん)」は、東洋医学で生殖器と関連付けられており、腎の虚弱は男性不妊の一般的な原因とされます。
腎の虚弱は、性欲の低下、精子の質の低下、勃起障害などの症状を引き起こすことがあります。
男性の生殖機能を調整するために腎のチカラを補います。
腎の経絡を調整することで、腎気不足を改善し、男性の不妊症状に対処できます。
■使用経穴例
気海・腎兪・太谿
肝気欝
「肝(かん)」は、東洋医学ではストレスや情緒的な問題に関連しています。
とくに気の巡りがストレスなどで悪くなる時に生殖器系に影響が大きいです。
情緒的なストレスや怒りが長期間続くと、肝の気をコントロールする能力が低下し、心身の過緊張を引き起こすことがあります。
これは精子の運動能力を低下させる可能性があります。
肝の調整により、ストレスの軽減が可能です。
■使用経穴例
太衝・肝兪・合谷
脾虚
「脾(ひ)」は、東洋医学ではエネルギーを作っているところ(＝気血の生成)で、生殖器のエネルギー不足を補うのに役立ちます。
体内のエネルギーや栄養物質の供給が不十分であると、精子の生成や運動能力が影響を受ける可能性があります。
脾の調整により、エネルギーを補う(気を補う)ことが可能です。
■使用経穴例
足三里・脾兪・中脘
以上、
当院の鍼灸では、個々の患者さまに合わせてカラダを評価し、その人の体質や症状に応じたツボや刺激法を提供します。
例として出した経穴はあくまで代表であり、他の経穴が選ばれることもあります。
鍼灸師は患者さまの詳細な状態に基づいて、最適な鍼灸治療プランを立案し、適切な経穴を選択します。
男性不妊鍼灸へのよくある質問と回答
Q: 鍼灸が男性不妊治療にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸は体内のエネルギーのバランスを整え、精子の質や生殖器の機能を改善するのに役立ちます。
Q: 効果はどの程度あるの？
A: 生活改善などと鍼灸をあわせることで、精子検査値の向上や妊娠成功率を上げる助けになります（但し必ず良くなるという確証はお伝えできません）。
Q: 鍼灸の治療期間はどのくらいですか？
A: 状態によりますが、通常は数週間から数ヶ月かかります。個別の治療プランが必要です。平均で3～6ヶ月程度を目安としています。
Q: 鍼灸は痛いですか？
A: 鍼は痛みの度合いは個人差がありますが、痛みよりはピリッとする感覚が主体です。ガマンが必要なものではありません。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 料金はどのくらいですか？
A: 初回はお試し部分鍼灸ですと2200円。2回目以降は全身鍼灸になり7700円です。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 成功率は高いのでしょうか？
A: 成功率は個人によって異なりますが、多くの男性が鍼灸治療を受けて改善を実感しています。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療はストレス軽減にも役立ちますか？
A: はい、鍼灸はストレスの軽減にも役立ち、それが男性不妊にも良い影響を与えることがあります。
Q: 鍼灸治療は病院の治療と併用できますか？
A: はい、鍼灸治療は病院の治療と併用できます。病院で出来ることは積極的になさってください。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
Q: 妻と一緒に受けられますか？
A: 是非とも一緒に受けていただきたいのですが、時間の調整が合わない場合は別々に受けていただいても構いません。
不妊への鍼灸の論文・研究
国内外の研究でも男性不妊の鍼灸は有効性を確かめられています。
精索静脈瘤を有する30人の男性を、「静脈瘤切除術する群」と「鍼治療する群」（週2回の鍼治療を2ヶ月間）に分けた結果、精子の濃度および運動性は、両方の群において有意に改善したが、精液濃度の増加は「鍼治療群」で高かった。
原発性不妊性精索静脈瘤患者の鍼治療は効果的であると思われ、静脈瘤切除術の治療と同等の結果を示す、とされた。
（『不妊静脈瘤患者の精子パラメーターに対する鍼治療と静脈瘤切除術の効果を比較するランダム化臨床試験』Randomised clinical trial of comparing effects of acupuncture and varicocelectomy on sperm parameters in infertile varicocele patients.）
当鍼灸院でも、あなたの男性不妊体質の改善のため最大限の施術をさせていただきます。
