【不眠の鍼灸症例】妊活中に情緒不安定となった40代女性の改善経過
体外受精への不安から不眠に|40代女性の自律神経失調症の鍼灸症例

※本記事は国家資格(はり師・きゅう師)を保有する院長が執筆しています。
※当院の実際の症例に基づきますが、患者様のプライバシー保護のため、個人が特定されないよう一部情報を変更して記載しております。
※効果には個人差があります。
今回ご紹介するのは、体外受精に向けて妊活を続けていた40代女性の症例です。
移植への不安や身内の不幸が重なったことで、不眠や情緒不安定、食欲不振、全身の倦怠感などの症状が現れ、心身ともに大きく消耗した状態で来院されました。
東洋医学では、このような不調を単なる精神的ストレスとして捉えるのではなく、身体全体のバランスの乱れとして考えます。
この記事では、患者さまの来院までの経緯、東洋医学的な見立て、施術内容、そして実際の経過について詳しくご紹介します。
妊活中のストレスや不眠、自律神経の乱れによる不調でお悩みの方の参考になれば幸いです。
患者さまの情報と経緯
年齢・性別・お住まい:
40代女性・鎌ケ谷市在住
鍼灸院に来るまでの経緯:
患者様は妊活中で、体外受精を数回試みていましたが、なかなかうまくいかず、精神的にも肉体的にも疲弊していました。
しばらく妊活を休んでいましたが、凍結卵があるため、体調を万全にして移植に臨みたいと考えていました。
しかし、3~4ヶ月前から情緒が不安定になり、2ヶ月前には身内の不幸が重なり、移植への焦りも加わって、不眠の症状が現れ始めました。
眠りについても、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒のタイプでした。
不眠以外にも、首筋が冷える、肩から背中にかけての凝り、食欲不振、全身の倦怠感など、様々な不調を抱えていました。
生理周期も22日から27日と不安定になっていました。
メンタル系の薬を服用することには抵抗があり、心療内科などの病院には通院していませんでした。
鍼灸治療で体調を整え、体外受精の移植に繋げたいという強い希望を持って当院を受診されました。
初診時の患者様は、声も小さく、全体的に元気がなく、以前の記憶も曖昧な部分があるなど、心身ともに著しく消耗している様子が伺えました。
この人を東洋医学ではどうみるか?
東洋医学では、心身の不調は「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスの乱れによって引き起こされると考えます。
今回の患者様の場合、問診や脈診、舌診などから、「気血両虚(きけつりょうきょ)」、つまり、体を動かすエネルギーである「気」と、全身に栄養を運ぶ「血」の両方が不足している状態が顕著でした。
「気血両虚」は、倦怠感、疲労感、不眠、食欲不振、顔色不良などの症状を引き起こします。
また、精神的なストレスや悲しみなどの感情は、肝の気の流れを滞らせる「肝うつ(かんうつ)」を引き起こし、情緒不安定、イライラ、抑うつなどの症状を招きます。
今回の患者様の場合、「気血両虚」をベースに、「虚(きょ)」からくる「肝うつ」の状態も併発していると考えられました。
さらに、東洋医学では、心(しん)、肝(かん)、脾(ひ)、腎(じん)、肺(はい)という五臓が互いに影響し合い、心身の健康を維持していると考えます。
今回の患者様は、ほぼすべての臓腑に「虚」が見られ、心身全体のバランスが大きく崩れている状態でした。
治療方針
上記の東洋医学的な考察を踏まえ、以下の治療方針を立てました。
「気血」を補い、心身のエネルギーを高める。
「肝」の気の流れを整え、精神的な安定を促す。
五臓全体のバランスを調整し、心身の調和を取り戻す。
患者様の体力が著しく低下していたため、お灸を多用し、全体的な刺激量を抑えた優しい治療を心がけました。
補気補血作用の高いツボと、リラックス効果の高いツボを中心に、軽めの刺激を行うようにしました。
治療内容と実際の経過
1回目:
仰向けで、「太衝(たいしょう)」「内関(ないかん)」にお灸と円皮鍼をしました。「期門(きもん)」「三陰交(さんいんこう)」に浅く置鍼を行いました。足にはホットパックで温めました。
うつ伏せで、肩の凝りに散鍼を施し、頭部と背部には浅く置鍼を行いました。
2~4回目までは、当初は週1回のペースでの来院を勧めましたが、実際には2週間に1回のペースでの来院となりました。
治療を重ねるごとに、患者様の気分は徐々に上向きになり、眠りの状態も少しずつ改善が見られました。
症状は「疲れ」「肩こり」「足の冷え」に集約されていきました。
数回後の治療は以下の通り。
仰向けで、「曲池(きょくち)」「太衝」「足三里(あしさんり)」「天枢(てんすう)」に浅く置鍼、「関元(かんげん)」に棒温灸をしたのちに「おへそ周り」にお灸をしました。足のホットパックは継続します。
うつ伏せで、「肩凝りの局所」への単刺をして、「背部兪穴」への置鍼と棒温灸などを行いました。
現在も治療は継続中です。
鍼灸師としての感想とまとめ
今回ご紹介した患者さまは、体外受精に向けた妊活中に、不眠や情緒不安定、食欲不振、全身の倦怠感などの症状が現れ、心身ともに大きく疲弊していました。
東洋医学的には、気血の不足を中心に、ストレスによる気の滞りが重なり、心身全体のバランスが崩れている状態と考えました。
そのため施術では、強い刺激を避けながら気血を補い、リラックスしやすい身体づくりを目的として治療を進めました。
施術を重ねるにつれて気分の落ち込みや不眠は徐々に軽減し、症状も疲労感や冷えなどに集約されていきました。
今回の症例を通して改めて感じたのは、心身の不調が続いている時ほど、身体の状態を整えることの大切さです。
特に妊活中は精神的な負担も大きくなりやすく、自律神経のバランスが乱れやすい時期でもあります。
当院では、お身体の状態だけでなく生活背景や精神的な負担にも配慮しながら施術方針を組み立てています。
「眠りが浅い」
「気持ちが落ち込みやすい」
「妊活中のストレスで体調が優れない」
このようなお悩みがありましたら、一度ご相談ください。
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