がん関連疲労に「お灸」が効く|科学的根拠|研究論文

がん治療後の倦怠感(ダルさ)へのお灸の効果

ガンの倦怠感にお灸_論文・写真1

がんの治療を終えられた後や、抗がん剤治療中の方にとって、休養だけでは回復しない「がん関連疲労(CRF)」は、生活の質を大きく下げる深刻な悩みです。

「もうこの疲れとは一生付き合っていくしかないのだろうか?」

そう思われる前に、ぜひ知っていただきたい研究結果があります。

今回は、古来より伝わる「お灸」が、がん関連疲労に対して科学的にも有効である可能性を示した最新の研究論文をご紹介します

臨床歴25年、東洋医学の可能性を信じて鍼とお灸の専門院を営む鍼灸師の視点から解説していきます。

論文の内容を紹介

ガンの倦怠感にお灸_論文・写真2

今回ご紹介するのは、2021年に学術誌『Cancer Medicine』に掲載された論文です 。

論文タイトル:
Moxibustion for treating cancer-related fatigue: A multicenter, assessor-blinded, randomized controlled clinical trial(がん関連疲労の治療に対する灸)

著者:
Kyungsun Han ほか(韓国・韓国東洋医学研究院ほか)

出典:
Cancer Medicine, 2021 Jul;10(14):4721-4733.

URL:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cam4.4020

研究の内容と結果

対象:
がん関連疲労(CRF)のある患者96名(乳がんなど各種がん)

患者さんを以下の3つのグループに分け、8週間にわたり比較検証しています 。

1.本物のお灸を行うグループ(週2回×8週間、1回30分)

2.ツボではない場所(非経穴)に、熱が伝わらないニセのお灸を行うグループ

3.特別なお灸の治療はせず、通常のケアのみを行うグループ

■研究の結果

治療開始から9週目(治療終了直後)と13週目(治療終了から4週間後)に疲労度(BFIスコア)を測定した結果、次のようなことが分かりました。

・「本物のお灸を行ったグループ」は、「通常のケアのみのグループ」と比較して、統計的に有意に疲労スコアが低下(改善)しました 。

・「偽のお灸を行ったグループ」も治療期間中は疲労の改善が見られましたが、治療終了から4週間後の追跡調査(13週目)においても継続して疲労改善効果が確認できたのは「本物のお灸を行ったグループ」だけでした 。

・生活の質(QOL)では、「お灸群」で疲労・息切れ・食欲低下・下痢が有意改善

・深刻な副作用(有害事象)は報告されず、お灸が安全な治療法であることが確認されました 。

がん関連疲労は、睡眠や休息をとっても容易に回復しないという特徴があります。
この論文は、お灸がガン関連の頑固な倦怠感・疲れを取り除き、さらに効果を持続させる力があることを科学的なアプローチで証明した非常に意義深いものです

東洋医学的な解釈

ガンの倦怠感にお灸_論文・写真3

東洋医学では、がん関連疲労を「虚労(きょろう)」や「気血両虚」と捉えます。

抗がん剤や手術で気(き)が消耗し、脾胃(消化・エネルギー産生)が弱り、腎精(根本的な活力)が不足した状態です。
これにより「気虚(エネルギー不足)」と「血虚(栄養不足)」が重なり、疲労・だるさ・息切れ・食欲低下が現れます。

この論文で興味深いのは、単にお灸をしただけでなく、東洋医学の「証(体質や症状のパターン)」に基づいて分析を行っている点です。

研究では、対象者を東洋医学の基準である「寒・熱(体が冷えているか、熱を持っているか)」や「虚・実(エネルギーが不足しているか、余分なものが滞っているか)」というパターンに分類しました 。

その結果、お灸は「寒証(冷え)」や「虚証(エネルギー不足)」の患者さんに対して特に有効であることが確認されました 。

これは、東洋医学の基本理論と完全に一致します。
お灸は古くから、身体を温め(温経散寒)、足りないエネルギーを補う(補気)働きに優れているとされてきました 。

また、この研究で使用されたツボは、お腹の「神闕(しんけつ:CV8)」「中脘(ちゅうかん:CV12)」、手足の「合谷(ごうこく:LI4)」「足三里(あしさんり:ST36)」です 。

これらはすべて、東洋医学において「胃腸の働きを整え、全身の気(エネルギー)を生み出す」ための代表的なツボです。

がんの治療や長引くストレスによって弱った胃腸の働きをお灸で回復させることで、身体の底から元気を作り出し、疲労を根本から改善していったのだと解釈できます

この論文の感想

ガンにお灸_論文・写真

「治療を終えて4週間後も、本物のお灸をしたグループだけは効果が持続していた」というのは、とても心強い結果でした。

当院では、「東洋医学に基づく本格的な鍼灸での体質改善」を目的に施術をしています。

論文の「追跡4週間後も効果持続」という結果は、私が長年実感してきた「お灸の温め効果は即効性だけでなく持続性がある」という経験と完全に一致します。
当院では熱くなく心地よい温度で調整し、台座灸や間接灸をメインに使っているので、火傷の心配がほとんどありません。

体質が改善することで、自らの治癒力が高い状態を維持でき、治療後も効果が長続きするのです。
この持続性こそが、私が「鍼とお灸」にこだわっている最大の理由です。

ただし、お灸がなぜこれほどまでに疲労回復や自律神経の調整に長期間寄与するのか、その細胞レベルでの正確なメカニズムは完全には解明されていません。

「細胞レベルでの完全なメカニズムは分かりません」と正直に申し上げます。

しかし、局所への温熱刺激が副交感神経の働きを高め、自律神経のバランスを整えることに関与しているというのは、論文内でも言及されている有力な推測です。

また、私自身の臨床経験における患者さんの脈やお腹の変化からも、この推測は的を射ていると考えています。

まとめと当院の鍼灸のススメ

ガンの倦怠感にお灸_論文・写真4

最新論文が証明したのは、お灸治療はがん関連疲労に対して有意に効果があり、4週間の追跡でも効果が持続し、安全性が高いという明確な事実です
これは東洋医学の「陽気を補い気血を巡らせる」と完全に一致し、当院の25年間の実感とも重なります。

当院の患者さんにも、病院での治療(緑内障や不妊治療、婦人科疾患など)と並行して鍼灸を受けに来られる方が多くいらっしゃいます。

西洋医学のアプローチを否定するのではなく、東洋医学の「全身からアプローチし、体質を改善する」という視点を組み合わせることで、より良い状態に達することができると私は考えています。

当院では、マッサージや整体は一切行わず、鍼とお灸の専門施術に特化しています。
お灸も、棒灸や台座灸など多様な種類を使い分け、熱すぎない心地よい刺激でしっかりと効かせていきます。

毎日を慌ただしく過ごし、ご自身の不調を後回しにしてしまっている方。
病院の治療だけでは取り切れない倦怠感や自律神経の乱れ、冷えにお悩みの方。

あなたの心と身体を整えるお手伝いをさせてください。

当院の鍼灸のご案内

鍼灸治療院ほっと・ばらんす・写真

千葉県鎌ケ谷市周辺には多くの整体院やマッサージ店がありますが、「鍼とお灸の専門院」は当院のみです。
当院が患者さんに選ばれ、そして結果を出せるのには明確な理由があります。

■最適な刺激点を見つけ出します
当院では、25年の経験を持つ院長が、手で体に触れ、脈やツボの反応を的確に読み取ります。
機械には見つけられない「あなたの本当の痛みの原因」を見つけ出し、最適な刺激を行います。

■痛くない鍼と、心地よいお灸
当院で使用する鍼は太さ0.16mmと、一般的な鍼灸院よりもさらに細いものです。
そのため痛みはほとんどありません。
また、お灸も熱すぎることはなく、皮膚レベルへの浅く心地よい刺激(八分灸など)を用います。

■時間をかけた問診と丁寧な説明
初めての鍼灸は不安がつきものです。
当院では施術前にしっかりと時間を確保し、患者さんの話を丁寧に聞きます。
完全予約制のため待ち時間もなく、他の方を気にせず何でも質問していただけます。

【関連記事】

がん

抗がん剤の副作用

慢性疲労症候群