あなたの不調、東洋医学ではこう読み解きます|鍼灸院での「問診」
鍼灸院での「問診」
「最近、なんだか調子が悪い。でも病院の検査では異常なし。」
そんな経験はありませんか?
東洋医学では、数値に表れにくい“なんとなく不調”も、しっかりと身体の声として受け取ります。
その第一歩が「問診」です。
今回は、鍼灸院での「問診」について、東洋医学の視点からお話しさせていただきます。
東洋医学の問診と西洋医学の問診の違い
西洋医学の問診は、病名や症状を特定し、それに対してピンポイントでアプローチすることを目指します。
例えば、頭痛があれば頭痛薬、胃痛があれば胃薬というように、症状に対応した治療法が中心です。
一方、東洋医学の問診は、お一人おひとりの体質や病気の原因を深く読み解くことを重視します。
東洋医学では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がバランスを取りながら巡っていると考えます。
このバランスが崩れることで、様々な不調が現れると捉えるのです。
そのため、東洋医学の問診では、単に「どこが痛いですか?」「いつからですか?」といった症状の確認だけでなく、日頃の生活習慣、食生活、睡眠の状態、精神的なストレス、さらには過去の病歴や体質的な傾向まで、あなたの「全体像」をじっくりと時間をかけてお伺いします。
問診で実際に聞く内容
「じゃあ、具体的にどんなことを聞かれるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
当院の問診では、以下のような内容を丁寧にお伺いしていきます。
・現在の主な症状がいつから、どんな時に、どんな風に症状が出ますか?
・症状が悪化するときどんな時?軽減するのはどんな時?
・他に気になる症状はありませんか?
・既往歴、ご家族の病歴
・月経の状態(女性の場合)
・病院で治療中の方には、これまでの治療経過や状況など。
・睡眠の状態(寝つきは良いか?途中で目が覚めるか?寝不足か?など)
・食欲・消化吸収の状態(食欲はあるか?消化不良や胃もたれ、便秘、下痢などないか?)
・排泄の状態(尿の回数、色、便の状態など)。
・寒熱の傾向(冷え性か?暑がりか?手足の冷えがないか?など)
・精神的な状態(ストレスを感じやすいか?イライラしやすいか?不安を感じやすいか?など)
・その他、汗のかき方、喉の渇き、体質的な傾向など、多岐にわたる質問をさせていただきます。
これらの質問を通して、あなたの体の「偏り」や「滞り」を見つけ出していきます。
具体的な問診の様子
当院では、問診に十分な時間を確保しています。
初診の方には、まず問診票にご記入いただいた後、それをもとに私からさらに詳しく質問をさせていただきます。
実際のやりとりを簡単にご紹介しましょう。
患者さん(40代・女性):「最近、夜になると動悸がして眠れません。更年期でしょうか?」
院長:「他に体の変化はありますか?汗をかきやすくなったとか、喉が渇くとか。」
患者さん:「そういえば、寝汗がすごいです。あと、手足がほてる感じがします。」
院長:「食欲や便通はどうですか?」
患者さん:「食欲はありますが、便秘気味ですね。」
院長:「月経は順調ですか?周期や量は変わっていませんか?」
患者さん:「周期は少し短くなってきました。量も減ってきたかも。」
こうした会話を通して、体の中の液体である「血(けつ)や水(すい)」が不足している状態を推測します。
さらに、それが婦人科系に症状として出でていることからも「腎(じん)」の不調とみて、「腎陰虚(じんいんきょ)」といった体の状態だろうと推察します。
問診から何を判断するのか
東洋医学では、問診で得た情報から身体のバランスを分析します。
当院では、以下のような視点で状態を読み解きます:
■五臓の状態(肝・心・脾・肺・腎)
どの臓が弱っているか、または過剰に働いているか。
■気・血・水のバランス
気が足りない(気虚)、血の巡りが悪い(瘀血)、水が滞っている(水滞)など。
■寒熱(冷えと熱のバランス)
冷えているのか、熱がこもっているのか。
■虚実(エネルギーの不足か過剰か)
全体的に弱っている(虚)か、どこかに過剰な反応がある(実)か。
これらを組み合わせて、たとえば「腎陰虚による虚熱」や「肝気鬱結による気滞」といった「体質=タイプ=証(しょう)」を立てていきます。
この「証」が、鍼灸の方針を決める基盤になります。
その後どのような鍼灸をするか
例えば、先ほどの「動悸・寝汗・手足のほてり」がある方は「腎陰虚」の状態と判断されます。
■この場合の治療方針
腎が持つ陰分(血や水)を補うことが重要です。
■使う主なツボ
関元(かんげん)、復溜(ふくりゅう)、三陰交(さんいんこう)、腎兪(じんゆ)など腎を補うツボに鍼やお灸を行います。
これにより、不要な熱を冷まし、自律神経系の症状(動悸やほてり)の改善を目指します。
問診によって導き出されたあなたの体質と不調の根本原因に基づいて、オーダーメイドの鍼灸施術を行います。
当院は鍼とお灸の専門院として、お一人おひとりの状態に最適なツボ(経穴)を選び、全身からアプローチしていきます。
部分的な症状だけでなく、全身のつながりを意識し、その方の体の状態に合わせて、背中やお腹、手足など、様々なツボを組み合わせて使用します。
まとめ
あなたの不調は、決して原因不明なものではありません。
東洋医学の視点から丁寧に読み解くことで、体からのメッセージを受け取り、根本的な改善へと導くことができます。
当院は、患者様とのコミュニケーションを最も大切にしています。
どんな些細なことでも、不安なくご相談いただけるよう、時間をかけてお話をお伺いし、分かりやすく説明することを徹底しています。
病院での治療を受けながら他にもできることを探している方、長年の不調を根本から改善したいと考えている方。
ぜひ一度、当院の鍼灸をお試しください。
皆様の健康と笑顔のために、全力でサポートさせていただきます。