中高生のメンタルケア|心の悩みに東洋医学(鍼灸)

中高生のメンタルケアと鍼灸治療

中高生メンタル鍼灸・写真1

文部科学省の調査によると、小・中・高校生の不登校児童・生徒数は年々増加傾向にあります。
とくに中学校では約15人に1人が不登校という状況です。
また、厚生労働省の調査では、10代の自殺者数も増加傾向にあり、深刻な状況が続いています。

これらのデータからも、10代のメンタルヘルスを取り巻く状況は決して楽観視できるものではありません。

そしてこれらは誰にでも起こりうる悩みであり、決して「恥ずかしいこと」「情けないこと」ではありません。

最近、何となく気分が落ち込む、やる気が出ない、眠れない、イライラする……。そんな悩みを抱えていませんか?
もしかすると、「私だけがこんな気持ちなの?」と不安に思っているかもしれません。

思春期は、体も心も大きく変化する時期です。
学校の勉強や友人関係、家族との関係など、さまざまなストレスが重なることで、自分ではコントロールできないほど心が不安定になることがあります。

とくに最近は、スマートフォンやSNSの影響で、情報の洪水にさらされることもストレスの要因になっています。

「なんだかモヤモヤするけど、どうしたらいいのか分からない……。」
そんなとき、あなたの心と体は「助けて!」とSOSを出しているのかもしれません。

どうしていいか分からない…中高生の心と体のSOS

心と体は密接に関わっています。
メンタルが不安定になると、体にもさまざまな不調が現れることがあります。

例えば、

朝起きるのがつらい

頭が重い、ぼーっとする

お腹が痛くなりやすい

眠れない、または寝ても疲れが取れない

食欲がなくなる、または過食してしまう

こうした症状は、自律神経が乱れることで引き起こされることが多いです。

自律神経とは、体のバランスを整える大切な働きをしている神経のこと。
しかし、10代はホルモンの変化やストレスの影響を受けやすいため、自律神経が乱れやすいのです。

そんなときには東洋医学(鍼灸)も選択肢に入れてみてください。
鍼灸(しんきゅう)は、自律神経を整える効果・心のストレスや落ち込みを改善する効果を持っていますので、あなたのお悩みにも役立てる可能性があります。

東洋医学から見た10代のメンタル不調の原因

中高生メンタル鍼灸・写真3

東洋医学では、心と体は切り離せないものと考えられています。
「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方を用いて、体のバランスを整えることが重要だとされています。

■ 気(き)
エネルギーのようなもので、これが不足するとやる気が出なかったり、疲れやすくなります。

■ 血(けつ)
血液のことで、これが不足すると貧血や冷え、頭がぼーっとするなどの症状が出やすくなります。

■ 水(すい)
体内の水分バランスで、これが乱れるとむくみや頭痛、不眠などが起こります。

ストレスや悩みがあると、気の流れが滞り、血や水の巡りが悪くなり、結果として心身の不調が現れるのです。

10代の場合は、成長過程における心身の変化や、ストレス、不規則な生活習慣などにより、気・血・水の巡りが滞りやすいと東洋医学では考えます。

とくに、「気」は、エネルギーや活力を司ると考えられており、気の巡りが滞ると、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったり、イライラしたりすると考えられています。

鍼灸治療で心と体のバランスを取り戻す

「でも、どうやって気血の流れを整えればいいの?」

そこで役立つのが鍼灸治療です。
鍼(はり)やお灸(きゅう)を使い、体のツボを刺激することで、気血の巡りを整えます。

例えば、

百会(ひゃくえ):頭のてっぺんにあるツボで、気持ちを落ち着かせ、頭のモヤモヤをすっきりさせる効果があります。

内関(ないかん):手首にあるツボで、不安や緊張を和らげ、気持ちを穏やかにするのに役立ちます。

足三里(あしさんり):足にあるツボで、体のエネルギーを高め、元気を出すのを助けます。

鍼灸治療を受けることで、心と体がリラックスし、自律神経のバランスが整うことで、自然と気分が落ち着いていきます。

症例:中学生女子の不登校と気分の落ち込みへの鍼灸治療

■患者さんについて

年齢・性別:中学2年生 女子
主訴:不登校、気分の落ち込み、気力低下、将来への不安
鍼灸院に来るまで;
小学生の頃は活発な性格で友人関係も良好であったが、中学入学後に徐々に生きづらさを感じるようになった。
中学2年生から不登校となり、気分の落ち込み、気力低下、将来への不安などの精神症状が出現した。
体の不調は軽度で、睡眠・食事は問題なくとれている。

■東洋医学的考察
東洋医学的に考えると、この患者さんの症状は「気滞(きたい)」と「心気虚(しんききょ)」が考えられます。

気滞:
思春期の環境変化やストレスにより、気の巡りが滞り、気分の落ち込みや情緒不安定を引き起こしていると考えられます。

心気虚:
心(しん)は精神活動を司ると考えられており、心が虚すことで、気力低下や不安感が生じていると考えられます。

■治療方針
気滞を改善し、心気を補うことを目的として、以下のツボ(経穴)を選択しました。

■使用したツボ(経穴)
合谷(ごうこく):手の甲にあるツボで、気の巡りを改善し、ストレスを緩和する効果があります。
神門(しんもん):手首の小指側にあるツボで、精神安定作用があり、気分の落ち込みや不安感を軽減します。
心兪(しんゆ):背中にあるツボで、心を安定させ、精神的な疲労を回復する効果があります。
足三里(あしさんり):足にあるツボで、全身の気を補い、気力低下を改善します。
太衝(たいしょう):気の巡りを良くして、ストレス軽減に役立ちます。
精神的なストレスやイライラを軽減。
百会(ひゃくえ):頭のてっぺんにあるツボで、全身の気の流れを調整し、精神的な安定をもたらします。

これらのツボに鍼やお灸を組み合わせ、週1回の治療を10回行ったところ、気分の落ち込みが軽減し、徐々に学校へ行けるようになりました。

■考察
鍼灸治療は、思春期の心身の不調に効果が期待できることが示唆された症例でした。
とくに、精神的な症状に対しては、薬に頼らずに心身のバランスを整えることができるため、安心して治療を受けていただけるのではないでしょうか。

当院の10代のメンタルケアに対する想い

中高生メンタル鍼灸・写真2

「鍼灸治療を受けてみたいけど、ちょっと怖いな…」
「どんな先生がいるのか不安だな…」

そんな風に思っている方もいるかもしれません。

当院では、患者様とのコミュニケーションを大切にし、安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な説明と施術を心がけています。

あなたの心と体の健やかな成長を、一緒にサポートさせていただけたら幸いです。

しっかりとお話を聞き、不安や悩みに寄り添います。
鍼やお灸が初めての方にも、丁寧に説明しながら施術を行います。
痛くない鍼、熱くないお灸を使い、リラックスできる施術を心がけています。
施術だけでなく、日常生活でできるセルフケアや食事のアドバイスも行います。

「この何とも言えない不快な感覚を改善するため、病院ではない、何かほかの自然な方法はないだろうか?」そんなときに、鍼灸という選択肢があることを知ってほしいと思います。

鍼灸治療は、薬に頼らずに自然な方法で自律神経を整え、心と体のバランスを取り戻すお手伝いができます。

「なんだかつらい……。」そう感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

あなたの心と体が、健やかに成長していけるように、私たちは全力でサポートします。

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