体外受精の採卵前におススメのツボ
採卵前に効果的なツボ
採卵を控えていらっしゃるあなたへ。
まずは、ここまで頑張ってこられたこと、本当にお疲れ様です。
採卵に向けた準備や自己注射、通院など、体力的にも精神的にも大きな負担がかかるものです。
緊張や不安、期待など、様々な気持ちが入り混じることと思います。
どうぞ、ご無理なさらず、心身ともにリラックスして当日をお迎えください。
採卵とは、排卵前に成熟した卵子を体外に取り出す過程です。
排卵誘発剤を使用し、複数の卵細胞を育てた後、経腟超音波ガイド下で卵巣から採否を採取します。
採卵に向けて、自分で何かできることはないか?とお考えのことと思います。
東洋医学では、採卵前に適切なツボ刺激を行うことで、卵子の質や卵巣の機能を高めることができると考えられています。
以下に、体質別に効果的なツボとその理由、刺激するタイミング、そしておすすめの漢方薬をご紹介します。
ぜひ、ご自身の体質に合わせて、セルフケアに取り入れてみてください。
東洋医学的にみた採卵前
東洋医学では、採卵を成功させるために以下の3つのポイントを重視します。
気血の巡りを良くする:
卵巣や子宮への血流を促し、卵子の成長をサポートします。
「腎(じん)・肝(かん)・脾(ひ)」のバランスを整える:
「腎」は生殖機能と関係が深く、卵巣の働きを支えます。「肝」は血の巡りをよくし、ストレスを緩和します。「脾」は栄養の吸収やエネルギー産生を助け、ホルモンバランスを整えます。
精神を安定させる:
ストレスや不安は、卵子の成長を妨げる原因となります。精神を安定させることで、卵巣の機能を正常に保ちます。
これらのポイントを踏まえ、体質別に効果的なツボをご紹介します。
採卵前に効果的なツボ
採卵しては、卵巣や子宮の血流を意識、ホルモンバランスを整え、ストレスを軽減するツボを選ぶことが重要です。
体質ごとに適したツボを紹介します。
気血不足タイプ
よくある症状:
疲れやすい、顔色が青白い、食欲不振ぎみ
おススメのツボ:
関元(かんげん)
へそから指4本分下の正中線上に位置しています。
気を補い、血行を促進するツボ。子宮を温める。
足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
消化機能の改善や、全身の倦怠感の緩和にも役立ちます。全身の気を補う。
三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
肝・脾・腎の三つの経絡が交わるツボで、女性にとって特に重要なツボで、3つの経絡が交わる場所にあります。
妊娠力アップに効果が期待できます。
瘀血(おけつ)タイプ
よくある症状:
血行不良、冷え、肩こり、月経痛が強い
おすすめのツボ:
血海(けっかい)
膝の内側、膝のお皿より指3本分上にあります。
血流を良くする効果が高いツボです。
合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
ストレスによる緊張を緩和。
太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
肝経のツボで、気の巡りを整え、イライラや精神的な緊張を和らげる効果があります。
陽虚(ようきょ)タイプ
よくある症状:
手足が冷えやすい、むくみやすい
おすすめのツボ:
命門(めいもん)
まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さの背骨にあるのが命門です。
腎の陽気を補い、子宮を温める。
関元(かんげん)
腎陽を高め、温かいエネルギーを補充。
湧泉(ゆうせん)
足でグーをした時、足裏でいちばんへこんでいるところが湧泉です。足裏を3等分して約3分の1のところです。
腎を補い、全身のエネルギーを巡らせる。
肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
よくある症状:
ストレスが多く、イライラしやすい
おすすめのツボ:
太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
肝経のツボで、気の巡りを整え、イライラや精神的な緊張を和らげる効果があります。
内関(ないかん)
手首の曲がりジワに薬指をおき指幅3本そろえて人さし指があたっているところ、腕の幅の真ん中が内関です。
精神的な安定をもたらす効果があります。
自律神経を整え、リラックスを促す。
合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
ストレスによる緊張を緩和。
ツボ刺激はいつするのが良いか?
採卵前の1~2週間前から、1日1~2回(朝・夜)
具体的なせんねん灸の使い方などは以下に詳細を書きます。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
おまけ:採卵前におすすめの漢方薬
漢方薬は、体質や症状に合わせて選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な漢方薬をいくつかご紹介します。
① 気血不足タイプ
四物湯(しもつとう)、帰脾湯(き補う)
→ 血を養い、エネルギーを高める
② 瘀血タイプ
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
→ 血流を改善し、滞りを解消する
③ 陽虚タイプ
八味地黄丸(はちみじおうがん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
→ 体を温め、腎を補う
④ 肝気鬱結タイプ
加味逍遙散(かみしょうようさん)、柴胡疎肝散(さいこそかんさん)
→ 気の巡りを良くし、ストレスを緩和する
漢方薬は、医師や薬剤師に相談して、ご自身の体質に合ったものを服用するようにしてください。
鍼灸院での施術
セルフケアのお灸やツボ押しもお勧めしますが、相乗効果を狙う意味では鍼灸院での施術もお勧めいたします。
鍼灸院では、あなたの体質や状態に合わせて、適切なツボを選び、鍼灸施術を行います。
鍼灸施術を受けることで、心身がリラックスし、採卵に向けてより良い状態を整えることができます。
当院の妊活鍼灸の詳しくはこちら
最大限の良いコンディションで採卵の日を迎えられるように、生活も整えることをお勧めします。
アドバイスは極めて当たり前のことになりますが、この「当たり前」というのが実はとても重要だったりします。
食事:
バランスの取れた食事を心がけ、身体を温める食材を積極的に摂りましょう。
睡眠:
十分な睡眠時間を確保し、心身を休ませましょう。
運動:
軽い運動を取り入れ、血行を促進しましょう。
リラックス:
音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
体外受精のプロセスはどれも大きな出来事です。
どうぞご自身を大切に、リラックスして当日をお迎えください。
応援しています。
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