不妊症への鍼灸論文の分析

不妊症と鍼灸は多くの論文・研究がある

不妊症と鍼灸の論文・写真1
不妊症(妊活)に鍼灸は役立つのか?という疑問へのお答えのひとつとして、ある研究があります。
論文データベース(PubMed,EMBASE,NDSL,OASIS,KISS)上で、10年間(2010年1月から2021年8月まで)に発表された研究を調査。
不妊症に対する鍼灸治療の効果と使用された経穴について分析した結果を報告している研究論文を紹介します。

『不妊症に対する鍼治療のレビュー』
A Review of Acupuncture Treatment for Infertility

分析に用いられた研究は18件。
11件が多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に関する研究。
2件が早発卵巣不全(POF)。
2件が精巣静脈瘤
残り3件はその他の不妊症に関する研究でした。
計534人分のデータです。

【結果】
対照群や西洋医学単独の群と比較して、鍼灸治療を用いた群で不妊症の治療効果が有意に改善
いくつかの研究では、鍼灸治療を行ったグループには副作用がみられなかった。

鍼灸治療の結果改善した項目

各論文で鍼灸を受けることで有意に改善したとする項目を挙げます。
・妊娠率
・排卵率
・子宮内膜の厚さ
・BMI
・早発卵巣不全に対する奏効率
・精子の正常形態率、精子の運動性、精子濃度など

使用された経穴(ツボ)

不妊症と鍼灸の論文・写真2
各論文で、どの経穴(ツボ)を使ったかもまとめてありますので紹介します。

◆全研究で最も多く使われた経穴(ツボ)
関元CV4、中極CV3、気海CV6、三陰交SP6、腎兪BL23

◆不妊症の原因別
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の研究
三陰交SP6、関元CV4、中極CV3、気海CV6、足三里ST36、子宮EX-CA1、帰来ST29、血海SP10、腎兪BL23、中脘CV12

早発卵巣不全(POF)の研究
三陰交SP6、脾兪BL20、腎兪BL23、次髎BL32、子宮EX-CA1

精巣静脈瘤の研究
足三里ST29、腎兪BL23、次髎BL32、中極CV3、関元CV4、気海VC6

当院の考察

不妊症と鍼灸の論文・写真3
不妊鍼灸にまつわる複数の論文をまとめたらどういうことが言えるのか?という研究でした。

結果、
論文をまとめると「鍼灸には不妊症を改善するチカラがある」ということでした

鍼灸は施術方法(鍼の太さ長さや手技方法)が鍼灸師によって大きく異なります。
流派が多様にあり、他人の施術事例を聞いてもそれを別の人が再現するのは難しかったりします。
それでも、
様々な論文で用いられた使用経穴(使ったツボ)をリスト化していて興味深かったです。
掲載されたツボ自体は、婦人科系の施術に際には「頻出」と呼べるツボばかりでした。
場所も下腹部・腰・足です。

そこからも、奇をてらった方法でなくオーソドックスな施術スタイルでも十分に妊活に対応できると想像されます。
(もちろん、各個人が自分のスタイルで誠心誠意施術するのは当たり前として。)

当院では、
生殖器に一番関わる「腎虚(腎のエネルギー不足)」を補うこと中心にします。
気血精を補う意味でもあるので脾胃もしっかり補います。

同時に、気の巡り(行気)と血の巡り(活血)を促進する事に力を入れます。
これは全身のコリや硬さを取っていくことでもあります。

◆当院で重視する要素
不妊症と鍼灸の論文・写真4
・治療方針で言えば、補腎・疏肝・補脾胃・活血
・内臓(五臓六腑)で言えば、脾・腎・肝。
・経絡で言えば、腎経・脾経・膀胱経・胃経・督脈・任脈。
・体の部位で言えば、下腹部、背中~腰、足(膝より下)、首肩。

全身のツボを駆使して施術にあたっています。

病院での治療やセルフケアだけでなく、何か他にもできることがないかと感じられていたら鍼灸(東洋医学)も試す価値があります。

妊活鍼灸は以下のページに詳しく書いています。
https://hot-acu.com/shojo/funin/