採卵で空胞が続く時に効くツボ
不妊治療での空胞に効くツボ
体外受精において、採卵は非常に重要なステップです。
排卵誘発剤を使用し卵子を育てる過程で、私たちは卵子を包む袋である「卵胞」の発育を観察します。
卵胞は卵胞液という液体で満たされており、その中で卵子が守られています。
しかし、採卵時に卵胞を吸引しても卵子が採取できない状態、これが「空胞」です。
「卵胞=卵子」とは限らないことを知っておくことは大切です。
卵胞が育っているにもかかわらず、中に卵子が存在しないという事実は、大きなショックをもたらすことがあります。
時間や身体的な負担、そして精神的な痛みを伴う採卵に臨んだにもかかわらず、結果が伴わないというのは、非常につらい経験です。
今回は、東洋医学の視点から空胞の原因と対策、そして体質改善(生活習慣やツボ刺激)について詳しく解説いたします。
西洋医学での空胞の原因
西洋医学では、空胞の明確な原因は特定されていませんが、いくつかの要因が考えられています。
遺残卵胞など、正常な生理周期からのずれ:
これは最も一般的な原因の一つです。
ある周期で使われずに残った卵胞は通常、その周期内で消滅しますが、何らかの理由で消滅せずに残ってしまうことがあります。
これが「遺残卵胞」です。
遺残卵胞は次の周期の排卵誘発剤に反応しやすく、本来育つべき卵胞の成長を阻害し、結果として空胞につながることが多いようです。
年齢を重ねるにつれて、遺残卵胞の発生頻度も高まる傾向にあります。
排卵誘発の不足:
排卵誘発剤の投与量が不足している場合、卵子が十分に成熟しないことがあります。
適切な刺激がなければ、卵胞は成長しても卵子を放出する準備が整わないため、空胞となる可能性があります。
本人の排卵と薬の使用のタイミングのずれ:
個人の排卵周期と排卵誘発剤の使用タイミングが合わない場合、卵子の成熟が妨げられることがあります。
薬との相性も影響する場合があります。
加齢による卵子の質の低下:
加齢に伴い、卵子の質は低下します。
卵胞は正常に成熟しても、内部の卵子が成熟できない、または正常な受精能力を持たない場合があります。
東洋医学での空胞の原因
西洋医学的な原因を見ると、薬の使用タイミング以外は「卵子の発育環境の悪化」が根本的な原因であることが分かります。
東洋医学ではこれを「体質の問題」と捉え、体質改善の必要性を重視します。
当院では、長年の臨床経験に基づき、以下の3つの要因が空胞に関与していると考えています。
腎のチカラの不足による婦人科機能の低下(腎虚):
東洋医学でいう「腎」は、西洋医学的な腎臓の機能だけでなく、成長、発育、生殖、老化など生命の根源的なエネルギーを司ると考えられています。
「腎虚」とは、この腎のエネルギーが不足した状態を指し、生殖機能の低下に直結します。
加齢とともに腎のエネルギーは徐々に低下するため、加齢による空胞に深く関わっています。
痰湿(余計な水分)による卵子の発育障害:
「痰湿」とは、体内の水分代謝が滞り、余分な水分が蓄積した状態を指します。
これが婦人科系に影響を与えると、卵巣周辺に水分が滞留し、卵胞液は増えるものの、卵子の発育を阻害すると考えられます。
むくみやすい、体が重だるい、胃腸が弱いといった症状がある方に多く見られます。
瘀血(滞った血流)による婦人科系の機能不良:
「瘀血」とは、血流が滞り、血液の循環が悪くなった状態を指します。
血流は、卵巣を含む婦人科系組織に栄養や酸素を供給する重要な役割を担っています。
血流が滞ると、栄養不足や老廃物の蓄積が起こり、卵子の発育に必要な環境が整わなくなります。
生理不順、生理痛、子宮内膜症など、血行不良に関連する症状を持つ方に多く見られます。
空胞が続く時の生活習慣の見直し
空胞の原因となる体質を改善するためには、日々の生活習慣の見直しとツボ刺激が有効です。
当院では、体質改善こそが根本的な解決につながると考えています。
質の高い睡眠:
十分な睡眠は、ホルモンバランスを整え、卵巣機能を正常に保つために不可欠です。
バランスの取れた食事(腹八分):
栄養バランスの良い食事は、体全体の機能をサポートし、卵子の質を高めます。食べ過ぎは体に負担をかけ、代謝を悪くする原因となります。
適度な運動:
適度な運動は血行を促進し、新陳代謝を高めます。無理のない範囲で、ウォーキングやヨガなどの軽い運動を習慣にしましょう。
休息:
疲れた時にはしっかりと休息を取り、心身のリラックスを心がけましょう。ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因となります。
冷え対策:
冷えは血行不良を招き、婦人科系の機能低下につながります。体を温める服装や食事を心がけ、冷えを予防しましょう。
笑顔とストレス発散:
笑うことは心身のリラックスにつながり、ストレスを軽減する効果があります。趣味を楽しんだり、友人との交流を深めたりするなど、自分なりのストレス発散方法を見つけましょう。
以上のことに注意塩ながら生活で見直せるものは見直してみてください。
※ただし、あまり神経質にならないように…。
空胞改善におススメのツボ
上記の生活習慣に加え、自宅でのお灸は体質改善に更なる効果を発揮します。
以下に、タイプ別におススメのツボをご紹介します。
基本のツボ
三陰交(さんいんこう)
足の内くるぶしから指4本分くらい上。
婦人科疾患全般に効果的なツボ。
気海(きかい)
おへそから指2本分くらい下。
気を補い、血行を促進するツボ。
腎兪(じんゆ)
背中、ウエストの一番くびれた高さで背骨から指2本外側。
腎の機能を高め、水分代謝を整えるツボ。
冷えが強い人に追加のツボ
気端
5本すべての足指の先端。
(ここはお灸ではなく)足の指の先端をつまんでマッサージを行うこと。
足湯や湯たんぽなどで、足先を温めても良いです。
血海(けっかい)
ももの内側、ひざのお皿から指4本分くらい上。
血行を促進し、冷えを改善するツボ。
照海(しょうかい)
内くるぶしのすぐ下。
冷えによる婦人科系の不調に効果的。
ストレスが強い人に追加のツボ
合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
ストレスによる緊張を緩和。
太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の間。
気の流れを整え、イライラを鎮める。
胃腸が弱い人に追加のツボ
陰陵泉(いんりょうせn)
膝の内側、脛骨の内側のくぼみ。水分代謝を改善し、身体の重だるさを解消。
足三里(あしさんり)
すねの外側、膝のお皿の下から指4本分下。
胃腸の働きを整え、水分代謝を促進するツボ。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
鍼灸院での本格的な不妊鍼灸
セルフケアも大切ですが、鍼灸院での本格的な施術は、体質改善をより深く、効果的に進めることができます。
当院では、丁寧な問診で患者様のお身体の状態を詳しく把握し、脈診、舌診、腹診などの東洋医学的な診断法を用いて、お一人おひとりに合わせたオーダーメイドの施術を行います。
使用する鍼は髪の毛ほどの細さで、痛みはほとんどありません。
お灸も心地よい温かさで、リラックスして施術を受けていただけます。
当院の鍼灸治療では、全身のツボ(経穴)を刺激することで、気血水の流れを整え、卵巣や子宮への血流を促進し、卵子の質を高めることを目指します。
また、自律神経のバランスを整え、ストレスによる影響を緩和することで、心身ともに健康な状態へと導きます。
もしあなたが、不妊でお悩みで、空胞の不安を解消したい、体質改善を通して妊娠力を高めたい…とお考えでしたら、ぜひ一度、当院の鍼灸治療をお試しください。
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