3人目不妊の鍼灸治療例

3人目不妊への鍼灸治療

30代不妊鍼灸

近年、不妊に悩むご夫婦が増加傾向にあります。
不妊の原因は様々ですが、その背景には加齢による卵子の質の低下や、ストレス、生活習慣の乱れなどが複合的に影響していると考えられます。

当院では、東洋医学の観点から心身のバランスを整え、自然な妊娠力を高める鍼灸治療を提供しています。

今回は、30代後半で3人目の不妊に悩まれていた女性のケースです
血流の悪さを自覚されておりましたが、当院の鍼灸治療を通して自然妊娠に至り、その後も安定した妊娠期間を過ごされた事例です

この記事を通して、鍼灸治療が不妊でお悩みの方々にとって、一つの選択肢となり得ることをお伝えできれば幸いです。

患者さまについて

年齢・性別:
30代後半女性。

鍼灸院に来るまでの経緯:
8年前に第一子、6年前に第二子をご出産されています。
お二人のお子さんの妊娠・出産は比較的スムーズだったとのことです。

しかし、8ヶ月前から3人目を希望し妊活を開始したところ、3ヶ月後に一度妊娠されたものの、9週で流産を経験されました。

その後、3ヶ月間の期間を空けて妊活を再開されましたが、なかなか妊娠に至らず、年齢的なことやご自身で血流の悪さを感じていたことから、体質改善を目的として当院を受診されました。

婦人科の病院には通院されておらず、ご自分たちでのタイミングを継続されていました。

患者様は、疲れやすさ、足のむくみ、冷え、生理痛(PMSを含む)などの症状も抱えており、心身ともに不安を抱えながらの妊活となっていたことが伺えます。

東洋医学的考察

東洋医学では、妊娠は「気血」の充実と巡りが重要であると考えます。
「気」は生命エネルギー、「血」は血液とそれを介して運ばれる栄養物質を指し、これらが体内をスムーズに巡ることで、各臓器や組織が正常に機能し、妊娠しやすい体へと導かれます。

今回の患者様の場合、疲れ、足のむくみ、冷え、生理痛といった症状から、「血瘀(けつお)」と呼ばれる血の巡りが滞った状態が推測されました。

また、30代後半という年齢を考慮すると、生殖機能と深く関わる「肝(かん)」と「腎(じん)」の機能低下も考慮する必要がありました。
「肝」は血を貯蔵し、全身に巡らせる働きを持ち、精神的な安定にも関与します。
「腎」は成長、発育、生殖を司り、生命の根源的なエネルギーを蓄えています。

これらの機能低下は、卵子の質の低下や子宮内膜の状態に影響を与え、不妊につながる可能性があります。

東洋医学では、これらの状態を改善することで、自然な妊娠力を高めることができると考えます。

治療方針

上記の東洋医学的考察に基づき、今回の患者様に対しては、以下の治療方針を立てました。

気血の補益と巡りの改善:
「血瘀」を改善するために、血を補い、血流を促進する治療を行います。

肝腎機能の活性化:
生殖機能に関わる「肝」と「腎」の機能を高めることで、卵子の質や子宮内膜の状態を改善します。

全身状態の調整:
全身のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、妊娠しやすい体質へと導きます。

患者様の体質は比較的丈夫であったため、その時の体調に合わせて柔軟に治療内容を調整していくことを意識しました。

治療経過

1回目:
生理周期7日目に行いました。
仰向けで、「大巨(だいこ)」に置鍼、「関元(かんげん)」に棒温灸と点灸、「合谷(ごうこ)」「三陰交(さんいんこう)」「足三里(あしさんり)」「太衝(たいしょう)」への置鍼、足先へはホットパックをして温めました。
うつ伏せで、肩こりの局所への単刺、「風池(ふうち)」「心兪(しんゆ)」「隔兪(かくゆ)」「肝兪(かんゆ)」「志室(ししつ)」への鍼と円皮鍼を行いました。

2~4回目(週に1回ペース):
基本的には初回と同様の施術を行いました。

5回目の来院時、患者様から「昨日病院で妊娠判定をもらった」との嬉しい報告がありました。

初回来院時の生理周期から変わることなくご懐妊されたことは、鍼灸治療の効果を示す一つの結果と言えるでしょう。

しかし、過去に流産の経験があったため、引き続き鍼灸治療を継続したいとのご希望があり、その後も治療を継続することになりました。

妊娠後の治療は、より軽めの刺激で行い、「関元」への棒温灸、「合谷」「三陰交」「足三里」「太渓(たいけい)」への浅い置鍼、足へのホットパック、「風池」「心兪」「隔兪」「肝兪」「志室」への浅い置鍼を行いました。

妊娠6週目頃からつわりの症状が出始めたため、つわりの症状がある時期は週1回のペースで施術を行い、上記の施術に加え、「内関(ないかん)」「太白(たいはく)」「足三里」周辺を丁寧に鍼、点灸、円皮鍼などを用いて治療しました。

つわりが軽くなってきた妊娠12週目以降は2週に1回のペースに変更し、妊娠16週になり、気持ちも安定してきたことから、鍼灸治療を終了することとなりました。

使用した主なツボとその代表的な効果

関元:
下腹部にあるツボで、気を補い、生殖機能を高める効果があります。

合谷:
手の甲にあるツボで、気血の巡りを促進し、痛みを和らげる効果があります。

三陰交:
足の内側にあるツボで、血を補い、婦人科系の疾患に効果があります。

足三里:
膝の下にあるツボで、胃腸の働きを整え、全身の機能を高める効果があります。

太衝:
足の甲にあるツボで、肝の機能を整え、精神的な安定に効果があります。

風池:
首の後ろにあるツボで、血行を促進し、肩こりや頭痛に効果があります。

心兪、隔兪、肝兪、志室:
背部にあるツボで、それぞれ心、横隔膜、肝、腎と関連し、各臓器の機能を調整する効果があります。

内関:
手首の内側にあるツボで、つわりや吐き気に効果があります。

太白:
足の内側にあるツボで、胃腸の働きを整え、消化不良などに効果があります。

太谿:
足の内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボで、腎の機能を高め、生殖器系のトラブルに効果を発揮します。

まとめ

鍼灸治療開始後1ヶ月で自然妊娠に至りました
過去の流産経験から、その後も継続して治療を行い、安定期に入るまでサポートさせていただきました

鍼灸治療は、妊娠初期の不安定な時期にも活用いただける施術です。

当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な施術で、妊娠を希望される方々を心身両面からサポートしております。

自然な妊娠力向上と、その後の健やかな妊娠期間維持を、東洋医学の力でサポートさせていただきます。

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