鍼はプラセボか?
鍼はプラセボか?
『鍼はプラセボか?』
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-22390147/
【要約】
鍼治療の適応として最もよく知られる肩こりに対し、鍼治療は本当に効果があるのかを証明するために、治療者と患者に治療の真偽を知らせずに治療する「ダブルブラインド法(二重盲検法)」を用いた無作為化プラセボ対照臨床研究を実施した。
その結果、治療しない場合よりも、鍼治療を施した方が肩こり感は改善したが、鍼が刺さっても刺さらなくても一定の肩こり改善効果が認められた。
また肩こりの部位に鍼を刺して治療した場合にのみ、皮下血流に変化が認められた。
これらのことは、「鍼治療を受ける」ことによって肩こり感は和らぎ、特に鍼を刺す治療であれば血流改善の効果も期待できることを示唆する。
当院の考察
「鍼治療って結局はプラセボなんでしょ!?」という意見は、国内外の鍼灸懐疑派からよく聞かれます。
たしかに鍼灸は物理療法(皮膚に鍼を刺すという行為)なので、なかなか盲検化しづらいです。
それでも工夫して色々試験されています。
その結果からも、鍼治療そのものに有効性がある、のは分かってきています。
とくに局所(刺した場所)に鎮痛効果や血流促進が認められるというのは、科学的な仕組みも分かってきつつあります。
上の試験では、鍼は刺しても刺さなくても肩こりに効果が出せる(ただし局所にしっかり刺すとその場所の血流が良くなる)というものでした。
鍼治療は、そのもので効果を持っているのです。
しかしまぁ、日々鍼灸院で鍼灸する我々や患者さんとしては「だから何?」です。
鍼そのもののチカラが分かったから何?と。
ようは、「私の肩こりは良くなるの?」もしくは「あなたの肩こりを良くできるの?」が一番重要なことです。
そこにはやはりプラセボのエネルギーも活用したいです。
鍼灸単独の治癒力にプラセボが乗っかればさらに効果は増すでしょう。
「あなたの肩こりを治すために、あなたに相応しい鍼灸をします。」
「それは凝った筋肉に流れ込む血流を活発化させて、筋肉細胞から不要なものを取り去り、新鮮な酸素と栄養を運び込みます。」
「こり固まった筋肉は柔らかくしなやかになり、ガチガチだったコリから解放されます。」
「結果、日々のパソコン仕事も楽にできるようになります。」
鍼灸そのものの持つ治癒力に、鍼灸師の技術を加味し、さらにこんな風に伝えたらもっと効果出ますよね。
そしてこれは嘘ではないです。
当院ではとにかく改善して欲しいので、できることは複合的に行っていきたいと考えています。