舌診を学ぶ

舌診|鎌ヶ谷市(新鎌ヶ谷)の鍼灸院

舌診について

舌診の使用頻度は、日本の鍼灸院ではまだ少ないのかなという印象です。
おもに中医学を行っている鍼灸院で使われているのでしょうか。
当院も舌診は取り入れています。
舌診は、一瞬見るだけで結構有益な情報を与えてくれるので、使わない手はないと考えます。

普段の臨床に活かすための基本的な考え方は「自分レベルの舌診」です。
アカデミックに通用する考え方ではなく、あくまで自分オリジナルです(^^;)

舌診でわかること

舌と並ぶ診断法である脈診(脈状診)では「6祖脈」が基本。
これはその3つの切り口(虚実・寒熱・表裏)が病状把握で重要だからですし、脈診でそれが判断できると考えているからです。

舌も同じです。
「虚実・寒熱」を診ます。
逆に「表裏」はなかなか舌には出づらいです。
これは舌状は、気血水の少し遅れた反映、もしくは慢性的な状態の反映だからと考えます。

違った言い方をすると舌診は、ゆっくりしたモノ(津液や血)の把握に強く、急なモノ(気)の把握に弱いと言えるでしょう。
舌は気の状態を知るのに弱い印象があります。
気の量はある程度分かるものの、滞りなどはわかりづらい。
同時に、舌でよくわかるのは「津液の状態」でしょうか。
津液の量・質が反映されやすいのは、舌が口(脾胃)の一部だからかもしれません。

ですので、舌診は「虚実・寒熱」を「津液の状態から推測する」のに優れていると考えます。
(舌で気が分からない・血が分からない訳ではありませんが強くはない、という意味です)

…とまぁ「私の舌診イメージ」はこんな風です。

舌診の学び方

舌診の良いところは、視覚情報なので書籍で学べるということです。
舌診のカラー書籍をいろいろ見ることからスタートです。
中医書だと写真のクオリティが低いものもあります(ありました?)が、それでも何となくは分かります。
大事なのはこの「何となく分かる」ことですので、数多くの写真を見れるといいですね。

これらで基本をおさえつつ、『自分なりの舌の定義』をつくります。
脈診と同様、舌診とは舌をそれぞれの意味付けにカテゴライズ(分類)する作業ですが、それは自分の中に物差しがあって初めてできることです。
物差しがないのに測れませんよね。
もちろん、普遍的な物差しが存在していればそれをマスターすることから始めればいいのですが、いかんせん感性や感覚の世界(主観の世界)ですので、100人が100人、ピッタリ納得するような「物差し」はないと考える方が自然です。
ようするに、カテゴライズするために「マイ物差し」を持たねばならない、ということです。

自分の舌の定義をつくるために

これまた脈診同様、一番手っ取り早いのは「問診」です。
問診から患者さんを弁証します。
その弁証と舌を当てはめていくのです。

たとえば問診で「脾虚証」だと判断したとします。
すると舌は「歯痕」「ドン(老ドンのドン)」「胖大」などが予想されます。
実際には「胖大」のようでしたので、この舌をそれらの自分の見立てにカテゴライズします。

この段階では1例しかないので、まだまだ数が足りません。
同じような弁証(症例)の方を10/30/50例と診ていくうちに、「これを虚の舌」というふうに固まっていくと思います。

まとめ

天神合一ですから、舌も脈も同じく全身の縮図です。
だからこそ脈診と舌診は並んで語られることも多いし、実際に共通項もあります。
…が、やはり違います。
強みと弱みが違うので、脈と舌が完全に同じものを表しているとは考えない方が現実的です。
違った角度でカラダを確認しているくらいの感覚です。
チェック機能は多い方がいいですからね。

また、カラダの今の状態とのタイムラグを舌に感じることもあります。
「現状」を表していないように感じられる時がある、ってことです。
そういう時は舌診は優先順位を下げて、脈診や問診などを優先します。

飲食などの影響を簡単に受けますので高感度な指標とはいいがたいですが、舌は簡単に見ることのできる方法ですので、ぜひ活用したいものです。
お互いに頑張りましょう(^^)/