20代の不妊、体外受精を控えた鍼灸症例

20代の不妊、体外受精を控えての鍼灸

婦人科症例7:一人目不妊

患者さま

20代 女性

初来院

2017年1月14日

お悩みの症状

一人目不妊

初来院までの経過

7~8年前よりひどいと吐いてしまうくらい生理痛がつらく、婦人科を受診すると「子宮内膜症」と診断されピルを処方された。
2年半前より妊活を開始し、以前の婦人科疾患もあったことからすぐに婦人科に行く(近所の婦人科クリニック)。
年齢が20代後半と若かったため、「排卵誘発剤を使ってのタイミング療法」から治療がスタートする。
1年ほど経ち結果がでなかったので不妊専門病院へ転院。
その病院で「高プロラクチン血症」「多のう胞性卵巣症候群(PCOS)」「AMH値が低い」などを指摘される。
人工授精(AIH)を2回ほどした時点で、引越しがあり、別の不妊専門病院へ転院。
そこではすぐにステップアップして体外受精することにする。
採卵の結果、5個の卵子を胚盤胞にて凍結できる。
1回目の移植は上手くいかず、2ヶ月ほど時間をおいて次の移植をする予定。
この間に体を整える必要性を感じ、鍼灸を受けてみようと当院に来院。
他の身体の状態としては、生理痛は以前ほどではないがある。
肩こり・腰痛。
下半身の冷え。
基礎体温が低温期に35度台(35.3度など)である。
胃もたれ(胃痛しやすい)。
疲れ感。

治療方針

脈状が「沈」であり、冷えと疲れ感を強く感じさせるので、温かくするエネルギーの不足とみる。
滋養作用を意識して治療することにする。
お灸やホットパックなどを多く使うようにする。

治療と経過

1回目。
「関元」「中カン」に温灸+お灸。「肓兪」「足三里」「三陰交」「太渓」に鍼。「心兪」「肝兪」「脾兪」「次リョウ」に鍼。とくに腰部分にお灸追加。
2回目~5回目(1週間に1回ペース)。
三陰交にお灸を追加するようにしたこと以外は基本1回目に準じて継続。
5回終わった時点で移植が行われる。
6回目・7回目は、鍼の響きは出さず浅く置鍼・温灸を長く当てる、など刺激量を落として継続治療。
8日目の際に、判定の結果「陽性反応」が出たことを聞く。
8回目も6・7回目の準じた治療。
妊娠初期の鍼灸も効果がある旨を伝えたが、ご本人の希望でここで鍼灸は一旦終了とした。

同時に治療した症状

・慢性的な肩こり・腰痛。
・下半身の冷え。
・疲れ感。
・胃もたれ。

まとめ

わりと短いスパン(「次の移植までの鍼灸」)を希望されていたようだ。
結果、陽性反応が出てすぐに治療を終了されたのでその後の経過は不明であるが、体調を整えてから病院の不妊治療に臨むことで結果は出やすいと感じる症例であった。
脾腎の虚のようなものがあったが、年齢が20代と若かったために、補う作用も発現しやすかったのではないかと推察している。
「虚を補う」効果は、年齢に比例しやすいのは事実である。
虚タイプの人は生活習慣との連動も大きいので、生活習慣での疲れ対策や冷え対策が今後の体の体調を決める要素になるだろう。