鍼灸事故について

鍼灸事故のなかでも鍼灸院内で解決したものではなく、賠償責任保険に関係したようなケースについての話をシェアします。

気胸

どのくらいの頻度で起きるか?
鍼灸師400人のうち1人くらいの確率で毎年起こるようです。

まず気胸は、軽度だとそのまま日常生活をしながら様子見ということになります。
もう少しひどいと入院して肺の空気を調節します。それに1週間くらいの入院期間が要るようです。
問題になるケースの基本は「入院での治療」になります。
これは表に出るのが賠償問題になるような程度の気胸だからからかもしれませんので、なんとなく解決してしまった気胸はもっと多く起こっているのかもしれませんね。

「気胸は鍼を深く刺すことで起こる」というのが鍼灸業界の定説ですが、それ以外にも『肺に刺さるような深刺しをしなくても刺鍼のショック(響きや刺激感のようなものでしょうか?)でも気胸が起こり得る』らしいです
浅く斜めに差しているから大丈夫、ではないということです。
これ結構おっかない話ですよね。

 

美容鍼灸

美容鍼灸は賠償問題になる件数が多い気がしますが、意外に問題になることは少ないようです
勝手な推測ですが、これは施術前の施術リスクの説明と同意がわりとしっかりされているからではないかと思います。
事故が少ないというより問題になる事故は少ないのか、と。分かりませんがね…。

また仮に内出血などの事故が起きたとしても、賠償という面からすると非常に金額は少なくなるそうです。
慰謝料などの算定には通院日数などが関係するようですが、内出血の場合は医療機関にかかったから早く改善するわけではなく自然治癒的な要素が多いので、通院日数は少なくなり、結果として賠償金額は低い傾向のようです。

このように、事故のインパクト(例:目の周囲がパンダ状態)と賠償の程度が釣り合わず、感情的な行き違いを生みそうです。

 

熱傷(ヤケド)

お灸の小さな痕もまた美容鍼灸と似た要素があるようで、賠償との釣り合いが悪いもののようです。
ただ逆にこじれると大変のようです。

 

その他

最近の傾向として、弁護士が医療訴訟に積極介入してくる時代になってきたようです
今までは参入してこなかった分野にも入ってきて、訴訟を起こすようです。
弁護士業界も競争が大変です。
そういう医療を取り巻く外部環境の変化も知っておいた方がよいですね。

 

事故は起きる可能性は非常に低いし、通常起きません。
…が、ゼロではなく、いつ起きてもおかしくもありません。

そこで感じたこと。

●鍼灸事故を限りなく起こさない努力
●施術に関する事前の説明と同意
●患者さんとの信頼関係構築
●もしもの時の対応シュミレーション

とくに、最後のシュミレーションは難しいことです。
そういう想定をしてどう対処するか考えることは感情的に避けたくなりますから…。

まずは、賠償責任保険に入ることは必須でしょうね。
相談もできるでしょうから。

鍼灸師として 勉強しなきゃいけないことは多いです。

なお、
上記の話は『MEDIX TV』からいただきました。
http://www.mdx-center.com/medixtv_ustream/