鍼灸の研究
運動と緑内障
眼圧の低下には運動が良い
生活習慣が目の病気に影響を及ぼすなどと考えてこられなかった中、様々な切り口で研究が進んでいます。
今回は運動と眼圧の関係についての話です。
2017年、「運動習慣が眼圧に与える影響」と題した九州大学の研究チームの発表。
40歳以上の1871人を対象に、1週間当たりの運動回数・運動時間と、5年間の眼圧変化との関連を調べたものです。
結果「運動の回数の増加、運動習慣の延長にともない、眼圧は有意に低下」した。
広島大学からの発表でも、「被験者が有酸素運動を3カ月続けると、眼圧が下がった。その下がり方は運動の強度に比例していた。ただし、運動をやめると3週間ほどで眼圧はもとのレベルに戻った」という内容が発表されています。
運動は、毎日一日13,000歩ほどのウォーキングがおススメらしいです。… 全文を読む
カロリー制限は正常眼圧緑内障に有効
『カロリー制限は正常眼圧緑内障における神経変性を改善』
カロリー制限が正常眼圧緑内障に良い効果をもたらす可能性がある研究について書きます。
『カロリー制限は正常眼圧緑内障モデルマウスにおける神経変性を改善する』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27669894
【要旨】
正常眼圧緑内障マウスを、一日おきの絶食をさせることによって網膜の神経細胞のダメージが抑制できるかを検討した。
その結果、一日おきの絶食をしたマウスでは、神経細胞死が減り、視機能が保たれることが分かった。
カロリー制限は、生活習慣病対策だけでなく、緑内障進行の抑制にも有用である。… 全文を読む
未病と鍼灸
東洋医学と東洋哲学
東洋医学は、古代中国で発生した中国伝統医学(漢方、鍼灸、按摩、養生法、薬膳など)を指します。
「鍼灸」は東洋医学の大きな柱です。
東洋医学は「東洋思想」に裏打ちされています。
この哲学の大きな特徴は、『自然界のすべてのものはお互いが関係し影響しあっている。また自然界を形作っているものは皆その内部の仕組みに自然界と同じ仕組みを有している。つまり、人間も自然の一部分であり、人体の内部の仕組みも自然界の仕組みと同一である』という考えです。
一方、西洋医学では細胞の組織や器官などはそれぞれ独立しているという考えから、臓器別にそれぞれ独立した専門科があります。
それに対して東洋医学では、細胞や器官などは異なった機能を持ちながらも、全体としてつながり合っている一つの総合体としてみます。
東西どちらが正しいかではなく、東洋哲学=東洋医学的なカラダの見方にも優れた点が少なくありません。… 全文を読む
鍼を刺すとなぜ痛みが和らぐのか?
鍼治療の局所鎮痛の仕組み
鍼治療に鎮痛効果があることは長く言われてきました。
「EBM(証拠に基づく医療)」が重要と言われるなかで、鍼の局所の鎮痛が現代医学的にどのような仕組みで効果を発揮するのかは分かっていませんでした。
もちろん、仕組みは定かではない状況でも、世界中で鍼治療は行われていますので、我々鍼灸師は「経験的に効果が認められていることがイコール実践の根拠」としてきました。
私のような一介の鍼灸師にとっては「日々の実践で効果があることが大事」ですので、それ以上のうんちくはなくてもよいのですが、最近の知見で局所の鎮痛がなぜ起こるのかは分かってきているので、紹介します。
鍼の局所鎮痛に関する論文
『鍼刺激による局所鎮痛にアデノシンA1受容体が関与している… 全文を読む