顔面神経麻痺
顔面神経麻痺とは
顔面神経は「顔の動きをコントロールする神経」ですので、それがマヒすると「顔を半分動かせなく」なります。
障害を受けた半分だけダラリと下がってしまいます。
顔面神経麻痺は、
朝起きたら顔が動かない、鏡を見たら顔が曲がっていたというように急に生じる場合が多いのが特徴です。
最も多いのは【ベル麻痺】で70%を占めています。
ほうれい線の溝が無くなり，口角が下がってしまうため、食物（特に液体）が口から漏れるという訴えが多く聞かれます。
単純ヘルペスウイルスが原因といわれており、発症して1～2日で片側の顔面神経麻痺の症状がでる傾向があります。
次に頻度が多いのは【ハント症候群】で約20％を占めます。
耳の痛みや突然顔が動かしづらくなる症状が多く出ます。
水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症で顔面神経麻痺を引き起こすます。
疲れやストレスで免疫が落ちると、おとなしくしていたウイルスが暴れだし神経を障害します。
いずれも、適切な初期治療を早期に行うことにより、8割の方がほぼ元の状態に戻る病気です。
顔に麻痺を感じたらすぐに耳鼻科の病院を受診して適切な治療を受けてください。
顔面神経麻痺は早期の診断と治療が重要です。
ベル麻痺やハント症候群のような末梢性顔面神経麻痺の西洋医学的な治療には、神経炎を抑制する為のステロイド薬と、ウイルス量を減らす為の坑ウイルス薬、神経に栄養を送る為のビタミン剤、末梢循環改善薬などを併用します。
発症1ヶ月程度で、西洋医学のみの治療で、すっかり良くなってしまえばそれに越したことはありません。
症状の程度が重かったり薬の効きがいまいちであったり…と、西洋医学的治療が停滞するようでしたら、並行して東洋医学(鍼灸)も使われるとより効果的です。
鍼灸院では、
顔面神経麻痺の患者さんに対して、全身の経絡や経穴(ツボ)を使った鍼とお灸で、神経の活性化や血液循環の改善を促し、機能回復をサポートします。
顔面神経麻痺と鍼灸
鍼灸(東洋医学)では、「気・血・水」の量と巡りが健康にとって重要と考えます。
気血水が過不足なくしっかり巡っていれば健康だし、何かがどこかでうまく巡らないと病気になると考えます。
発症部位の経絡からアプローチ
顔面神経麻痺（ベル麻痺やハント症候群のような末梢性のもの）では、それら気血水が巡るルートである「経絡」を重視します。
主として三陽経（陽明経(ようめいけい)・少陽経(しょうようけい)・太陽経(たいようけい)）の障害として捉えます。
とくに多いのは陽明経で、そのルートの気血の運行が阻滞したために発症すると考えます。
陽明経でよく使う代表的なツボは、
曲池、手三里、合谷、足三里、地倉、頬車、下関などのツボです。
※顔だけでなく手足にも大事なツボがあります。
全身の状態からアプローチ
経絡だけにとどまらず、同時に体全体からのアプローチも必要になります。
体がウイルスにやられたのが顔面神経麻痺だとすれば、全身の改善も必要です
免疫力の低下は「過労」と「ストレス」が遠因などと言われます。
たとえば「ストレス過多」が遠因で発症したとすると、体全体が「肝気鬱結」状態にあると考えます。
ストレスにより気の巡りが滞りやすい体になっているということです。
イライラ、憂うつ、胸脇部の張り、肩こり、ため息などの症状も出やすいです。
女性では、生理時に乳房が張って痛む、生理痛、生理周期が変動しやすいなどの症状もみられる。
この場合、
先ほどの麻痺の部位を通る経絡のツボに合わせて、気の巡りを活性化するツボを選びます。
代表的には、太衝、陽陵泉、内関、風池、肝兪などです。
また「慢性疲労」の場合は、体全体が「気血両虚」の状態が考えられます。
体に必要なエネルギーや潤すもとである気血が足りない状態です。
貧血、風邪をひきやすい、疲れやすい、倦怠感、ふらつく、眠りが浅いなどの症状が出やすいです。
この場合、
先ほどの麻痺の部位を通る経絡のツボに合わせて、気血を補うツボを選びます。
代表的には、気海、中脘、太白、足三里、膈兪、脾兪などです。
以上のように、
東洋医学的な体の判別に基づいた丁寧なアプローチにより、患者さんの症状や状態に合わせた施術をします。
治りが悪い…と放置せずに早めの鍼灸治療を受けることで、顔面神経麻痺の症状の改善や機能回復の可能性が高まります。
鍼灸院での施術は、痛みのない鍼と心地よいお灸による効果的な治療方法であり、顔面神経麻痺の患者さんにとってお役に立てると考えます。
顔面神経麻痺鍼灸のよくある質問と回答
Q: 顔面神経麻痺って本当に鍼灸で治りますか？
A: はい、軽いもの・早いものであればしっかり癒えます。
1年以上たつ慢性の麻痺は完全な治癒には至りにくいですが、症状の緩和や改善を目指すことができます。
「あなたの麻痺が“絶対”に治ります」と確定的なことは申し上げられませんが、鍼灸院では多くの患者さんの症状改善に成功しています。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の重さによりますが、通常は数週間から3ヶ月の継続的な治療が必要です。
Q: 鍼灸が顔面神経麻痺改善にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的ですので、自律神経機能を整えて、顔の麻痺部分の血流改善に役立ちます。
Q: 施術の頻度はどのくらいですか？
A: 施術の頻度は個別の状態によりますが、通常は週に1回が一般的です。
Q: 施術はいつ始めたらよいですか？
A: 発症時には西洋医学(病院)の治療を優先していただき、それと同時並行で始めるのが一番です。
ただし最初は西洋医学のみで進めるなら、病院の治療で治りが悪いようなら1ヶ月ほどたった時点で施術を開始してみてはいかがでしょうか。
東洋医学(鍼灸)も早めのスタートがおススメであることは、西洋医学同様です。
Q: 薬と鍼灸治療は併用できますか？
A: はい、薬と鍼灸治療は併用することができます。
ご不安な場合は医師の指示を仰いでください。鍼灸は西洋医学と互いに補完しあう療法として相乗効果が期待できます。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。
完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 料金はどのくらいですか？
A: 初回はお試し部分鍼灸ですと2200円。2回目以降は全身鍼灸になり7700円です。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
安全性が高く、副作用の心配はほとんどありませんが、個人によっては軽度の赤みや内出血が現れることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
初回の施術後から体調の変化を感じる方もいらっしゃいますが、持続的な改善のためには継続的な治療が必要です。
Q: 顔面神経麻痺以外の症状も同時に治療できますか？
A: はい、他の症状や不調も同時に治療できます。
肩こり・頭痛・不眠・慢性疲労・ストレス・冷えなど、複数の不調に同時並行して治療します。
顔面神経麻痺でお悩みの方へ院長より
顔や表情の症状ですので、続く顔面神経麻痺はご不安・ご不快ですよね。
当院の鍼灸治療は痛みをガマンしてもらう治療ではないので、逆に気持ちがいい感じがすると思います。
ご不安ないように進めていきます。
当院では今まで書いてきたようなことを、初回にいろいろとご説明をしてから治療をしていきたいと考えています。
すでに長期間固定した麻痺は改善が難しいこともありますが、軽度から中程度の顔面神経麻痺には試す価値があると考えます。
心身のリラックス効果や疲れ軽減(体力増強)など、体全体からの鍼灸で“治る力”を高める鍼灸は有用でしょう。
少しでも顔面神経麻痺の程度が軽くなるお手伝いをしたいです。
