国際疾病分類の第11版(ICD-11)と鍼灸

国際疾病分類の第11版(ICD-11)と鍼灸

ICD-11 国際疾病分類(第11版)

世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類(ICD)」の第11版(ICD-11)への改訂作業が大詰めとのニュースが入ってきています。
国際疾病分類(英:International Classification of Diseases、ICD)とは、死因や疾病の世界共通の用語の定義・ルールのようなもので、統計を取る際の基準の分類です。
「日本人の死因のうち、がんが3割を占める」、「日本はアメリカより、肺炎の死因割合が高い」など比較ができるのは、世界で病気の名前が統一されているからなのです。

鍼灸業界でこの話題がホットなのは、今回の第11版(ICD-11)に『伝統医学』の章が載るからなのです。
日中韓の伝統医学の代表を中心にまとめてきました。
「西洋医学一辺倒からついに伝統医学が認められる!ICD100年の歴史で画期的な出来事!!」とフィーバーなわけです。

第11版(ICD-11)は、2018年5月の総会を経て、6月に公表を予定しているようです。
ですのでまた夏ころ、ホットな波が来るかもしれません(笑)

伝統医学が載ることの意味

メリットを一言で言えば「これを機に東洋医学が盛り上がるのではないか」ということです。

●患者に対して,西洋医学の診断と東アジア伝統医学(漢方/鍼灸・中医学・韓医学)の病態分類が併記可能となり,伝統医学(漢方・鍼灸)の認知に役立つ。
●鍼灸・漢方(東アジア伝統医学)が国際的なお墨付きを得る。
●日中韓でそれぞれ進化していった伝統医学の用語が,緩やかに標準化されたので、どんな症状・体質の方に、何を施し、どんな漢方薬を処方したのか、統計をとることができるようになる。
●統計を取ることができれば、データから効果効能を立証することができると期待されている。

一方で、懸念もあります。
デメリットをこれまた一言で言えば「流行ると漢方薬の材料が不足したり、用語の統一が地域ごとの多様性を喪失させるのではないか」ということです。

●漢方薬は、化学合成したものではなく、植物、動物、鉱物などの天然の材料(生薬)である。
●世界でも漢方の効果が注目されると、生薬の消費量が増え、価格高騰などを招く可能性がある。
●日本では、一部の生薬を国内で栽培しているが(国内消費量の13%)、大部分は中国からの輸入に依存しており(80%),将来的な涸渇や不足が課題となっている。
●鍼灸の場合、用語統一などで、中国式の鍼灸の考え方や施術方法がグローバルスタンダードになり、日本式鍼灸が埋没・衰退するのではないかという危惧がある。

まとめ

伝統医学以外にも、ICD-11では「ネットゲーム障害」を病気として盛り込んだり、「睡眠障害」が独立した章になったりするようです。
病気に関する考え方や流行りが変わってくる中で、伝統医学も西洋世界で認知度が高まってきた結果、今回登場したのでしょう。
もしくは、伝統医学実践国の意図(中国による中華思想の世界戦略のひとつ)かもしれません。
まぁ、両方の状況が合致してきた結果でしょう。

これは私見。
日本で鍼灸業界がザワザワしても、正直、世間的な鍼灸の認知が変わる気は…しません。
少なくとも急激に変わるとは思えません。
今まで通り、現代医学のメインストリームからは外れて、でも必要な人・求める人には威力を発揮する施術であり続けるでしょう。

それでいい。
地味に普段の治療を続けるのみ…( `ー´)ノ
小さなひとり鍼灸院の院長などはその程度が身の丈です(笑)

最新情報のウォッチは続けて潮流の変化は見落とさないように、でもあまり天下国家に思いを致さないで、身近な人たちに施術する日々こそを大事にしたい。

※参考URL
・『ICD-11改訂の動向』 http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000169197.pdf