気象病
西洋医学からみた気象病
気象病とは、正式な病名ではありませんが、多くの人がこれらの症状に悩まされています。
天気や気圧・湿度・気温などの変化により体調を崩す症状の総称です。
代表的なものに「低気圧性頭痛」「気圧性めまい」「古傷の痛み」「関節痛」「倦怠感」「気分の落ち込み」などがあります。
気圧の変化が関与していると考えられており、低気圧が接近する際に症状が悪化しやすい傾向があります。
耳の奥にある内耳が気圧の変化を感知し、その情報が脳に伝わることで自律神経（交感神経と副交感神経）のバランスが乱れ、様々な症状が引き起こされるというメカニズムが提唱されています。
気象病に対しては、症状に応じた薬物療法が用いられます。
頭痛に対しては鎮痛剤、めまいには吐き気止めやめまいを抑える薬、自律神経の乱れには自律神経調整薬や抗不安薬などが処方されます。
症状が重い場合には、漢方薬が併用されることもあります。
また、生活習慣の改善も推奨され、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などが挙げられます。
しかし、これらの治療法は症状を一時的に和らげるものであり、根本的な原因にアプローチするものではないため、気象の変化があるたびに症状が再発するという課題があります。
気象病を放置するとダメな理由
気象病を放置すると、症状が慢性化し、日常生活や仕事に支障が出ます。
とくに慢性的な頭痛やめまい、不眠が続くと、ストレスやうつ状態を引き起こす可能性もあります。
さらに、自律神経の乱れが積み重なることで、胃腸の不調や免疫力の低下にもつながり、全身の体調不良へと悪循環を生みます。
症状を我慢し続けることで、生活の質（QOL）が著しく低下し、悪循環に陥る危険性があるため、早期の対処が重要となります。
まずは、病院(西洋医学)で適切な治療を受けてください。
さらに「病院以外にも何かできることがないか？」と考えた際に、鍼灸(東洋医学)を併用することでより効果も高まります。
とくに自律神経失調症やストレスからくる症状に鍼灸は力を発揮します。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
気象病と鍼灸
東洋医学では気象病という特定の病名はありません。
ただし、その症状は「水滞（すいたい）」「気滞（きたい）」「瘀血（おけつ）」といった病態として捉えられます。
以下にそれぞれのタイプの説明をします。
水滞（すいたい）
「水滞」は、体内の水分代謝がうまくいかず、余分な水分（痰湿）が体内に停滞している状態を指します。
気圧や湿度の変化により水分代謝がさらに悪くなりやすく、体に余分な「湿気」がたまることで不調が起こりやすくなります。
■よく出る症状
・頭が重い・ぼーっとする（湿気が上にこもるため）
・めまい、立ちくらみ
・むくみ（特に顔や足）
・関節の重だるさ、痛み（雨の日に悪化しやすい）
・胃もたれ、吐き気、下痢
・舌がぽってり腫れている・舌苔がべったり白い
気滞（きたい）
「気滞」は、ストレスや気候の変化などの影響で「気（エネルギー）」の流れがスムーズでなくなり、体のあちこちで渋滞を起こしている状態です。
気象病の際には気圧の変化によって自律神経が乱れやすく、気滞の状態が悪化することがあります。
■よく出る症状
・頭痛（特に側頭部、締め付けられるような感じ）
・胸やお腹の張り、ガスがたまりやすい
・気分の落ち込み、イライラ
・喉の詰まり感（「梅核気」と呼ばれる）
・月経不順や月経前症候群（PMS）
・ため息が多くなる
瘀血（おけつ）
「瘀血」は、体の中の血の流れが滞り、ドロドロになっている状態です。
気圧の変化が血管の収縮・拡張に影響を与えることで、瘀血が悪化し、気象病の症状が強く出やすくなります。
■よく出る症状
・慢性的な頭痛（刺すような痛み、場所がはっきりしている）
・肩こり・首こり（特に凝り固まった感じ）
・手足の冷え・しびれ
・皮膚にあざができやすい
・生理痛が強い、血の塊が混じる
・顔色が暗い、くすんで見える
・舌の色が暗く、紫色の斑点がある
これらのタイプは単独で現れることもありますが、複数が重なっていることも多く見られます。
例えば「気滞」が続くと「瘀血」に発展したり、「水滞」があると「気滞」も起こりやすくなります。
気象病がなかなか治らない、毎年つらいという方は、こうした体質を見極めての鍼灸治療が効果的です。
脈診、舌診、腹診を通じて、患者さんの「体質＝タイプ」を正確に把握し、根本原因にアプローチすることで、気象の変化に左右されない体質へと導くことを目指します。
気象病に効く代表的なツボ（経穴）3選
気象病に効果の高いツボ(経穴)を3つ挙げます。
■百会（ひゃくえ）
頭のてっぺんにあり、気の巡りを整えるツボ。
めまいや頭痛、自律神経の乱れに効果的です。
精神的な安定にも寄与するため、気象病によるイライラや不安感の緩和にも役立ちます。
■内関（ないかん）
手首の内側にあるツボ。
自律神経のバランスを整え、吐き気やめまい、動悸、不眠などに効果があります。
気の巡りを改善し、ストレスによる症状の緩和にも期待できます。
■豊隆（ほうりゅう）
膝と足首の中間にあるツボ。
体内の余分な水分（湿邪）を取り除く効果があります。
気象病による頭重感、めまい、吐き気などの「水滞」の症状に有効です。
もちろんこれだけでなく、その人の体質や症状に合わせて全身より最適なツボを選んで施術していきます。
気象病の鍼灸のよくある質問と回答
Q: 気象病って本当に鍼灸で治りますか？
A:はい、鍼灸治療は気象病の改善に効果があります。
もちろん、「絶対あなたの症状が改善します」などと「絶対」を言うことはできませんが、不快緩和のために最善を尽くします。
鍼やお灸を用いて、自律神経の乱れを緩和し、血流を良くし、気圧の変化に強いカラダに整えます。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の程度によりますが、通常は数回から3ヶ月の継続的な治療が目安となります。
個別には初回施術後にお伝えします。
治療の効果や経過に応じて、治療の間隔や内容を調整していきます。
Q: どのくらいの頻度で通う必要がありますか？
A: 症状の程度によりますが、通常は週1回が目安になります。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
Q: 鍼灸が慢性疲労にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的で、様々な不快感や痛みを改善するのに役立ちます。
Q: 鍼灸治療の効果は一時的なものですか、それとも長期的なものですか？
A: 鍼灸治療の効果は個人によって異なりますが、一時的な効果だけでなく、長期的な効果も期待されます。
定期的な治療を受けることで持続的な改善につながります。
Q: 気象病以外にも鍼灸で治療できる症状はありますか？
A: はい、肩こり、腰痛、神経痛、不妊、胃腸症状、ストレスなど多くの症状に対応しています。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。
完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は自費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療は病院の治療と併用できますか？
A: はい、鍼灸治療は病院の治療と併用できます。病院で出来ることは積極的になさってください。
気象病にお悩みのあなたへ
当院では、気象病の根本原因を東洋医学の視点からしっかり見極め、脈・舌・腹などの所見を元に全身のバランスを整える鍼灸施術を行います。
天候によって乱されやすい「気」「血」「水」の巡りを整え、自律神経の乱れをやさしくリセットします。
鍼は極細で痛みが少なく、お灸も心地よい温かさでリラックス効果があります。
施術歴25年の院長が、丁寧に話を聞き、不安を解消しながら一人ひとりに合った施術を提供します。
長年、気圧や天候に左右されるお悩みがありましたら、東洋医学のチカラも頼ってみてください。
