妊活(1ヶ月で妊娠)の鍼灸症例|鎌ヶ谷市在住20代女性

不妊(1ヶ月で妊娠)の鍼灸症例

妊活鍼灸症例・写真1

今回は、実際に当院で妊活サポートを受けられ、無事に妊娠に至った20代女性の症例をご紹介します

この患者さまは、婦人科的な検査では特に問題が見つからなかったものの、長年の生理痛や冷えといったお悩みを抱えておられました。
当院での鍼灸治療が、どのように彼女の身体に変化をもたらし、妊娠へと繋がっていったのか。その経緯と、当院ならではの東洋医学的アプローチについて詳しくお伝えします。

患者さまについて

年齢・性別:
20代女性・鎌ヶ谷市在住

鍼灸院に来るまでの経緯:
10代の頃から生理痛が重く、日常生活にも支障が出るほどでした。
20代に入り婦人科を受診し、低用量ピルを服用することで、ツラい生理痛をコントロールされていました。

しかし、将来的に子供を授かりたいと考えるようになったため、ピルの服用を中止しました。
すると、抑えられていた生理痛が再び強く現れるようになりました。

約3ヶ月前からご夫婦で妊活を開始。
同時期に、簡易的なブライダルチェックを受けられました。
ご夫婦ともに特に異常は見当たらないとの診断でした。

そこで、まずは自然な形での妊娠を目指し、ご自身たちでタイミング法を試み始められましたが、3ヶ月間うまくいきませんでした。

「まずは身体の体質を改善しながら妊娠を目指したい」というお気持ちがあり、鍼灸治療に関心を持たれ、ご来院されました。

・重い生理痛
生理開始から1~2日目が酷く、市販の鎮痛薬を1日に3回ずつ服用しないと耐えられない状態。

・月経前症候群 (PMS)
生理が始まる3~4日前から下腹部痛が出現する。

・冷え性
足先の冷えが強く、冬場はもちろん夏場でも冷たく感じることが多い。

・首肩のコリ
慢性的な首や肩の重だるさを感じている。

東洋医学的考察

東洋医学では、私たちの身体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの要素がバランス良く巡ることで健康が保たれていると考えます。

「気」は生命活動のエネルギー、「血」は血液とその働き、「水」は血液以外の体液全般を指します。

これらのどれかが不足したり、滞ったり、偏ったりすることで、様々な不調が現れると捉えます。

今回の患者さまの状態を以下のように判断しました。

長年の重い生理痛は、子宮やその周辺の血行が悪くなっている「瘀血(おけつ)」の状態を示唆します。
瘀血があると、生理の際にスムーズに経血が排出されにくくなり、強い痛みを引き起こすことがあります。

足先の強い冷えは、「寒邪(かんじゃ)」の影響が考えられます。
冷えは血管を収縮させ、血行をさらに悪化させる要因となります。

これらの症状を総合的に判断し、患者さまの体質は「寒凝血瘀(かんぎょうけつお)」であると結論付けました。

これは、「寒さ(寒邪)によって血(けつ)の流れが凝り固まり、滞ってしまっている状態」を意味します。
身体が冷えることで血行が悪くなり、特に子宮や卵巣といった骨盤内の臓器への血流が滞りやすくなっています。この状態は、生理痛の悪化だけでなく、子宮内膜の環境や卵子の質にも影響を与え、妊娠しにくい要因の一つとなり得ます。

また、慢性的な首肩のコリは、ストレスや長時間の同じ姿勢による気の滞り「気滞(きたい)」も関与していると考えられました。

治療方針

東洋医学的考察で導き出された「寒凝血瘀」という診断に基づき、以下の点を目的とした治療方針を立てました。

■温経散寒(おんけいさんかん)
身体、特に下腹部や下肢を温め、冷え(寒邪)を取り除くこと。

■活血化瘀(かっけつかお)
血行を促進し、滞っている瘀血を解消すること。
これにより、生理痛の緩和と子宮・卵巣への血流改善を目指します。

■調和気血(ちょうわきけつ)
気と血の流れを整え、身体全体のバランスを改善すること。

■疎肝理気(そかんりき)
首肩こりやストレスに関連する気の滞り(気滞)を改善すること。

これらの目的を達成するために、鍼(はり)と灸(きゅう)を組み合わせた施術を行います。

治療経過

1回目(生理周期7日目):

仰向けで、手足にあるツボ(曲池、陰陵泉、中封、三陰交など)に置鍼し、気血の流れを整えることを目指しました。
お腹のツボ(天枢、関元)には棒温灸で十分に温めた後、点灸を施し、下腹部の冷えと血行改善を図りました。
足先の冷えに対しては、ホットパックで持続的に温めました。

うつ伏せで、首から腰にかけての背骨の両脇にある重要なツボ(風池、心兪、膈兪、肝兪、大腸兪など)に置鍼しました。
これらの兪穴(ゆけつ)は、対応する内臓の働きを整える効果が期待できます。
特に硬さ(硬結)が顕著な部位には点灸を追加し、気の滞りを解消しました。
腰部の「命門」や背中の「至陽」といったツボにも棒温灸を行い、身体の陽気を補い、温める力を高めました。

最後に、自覚症状の強かった首肩のコリに対して、関連するツボに円皮鍼を貼付し、治療効果の持続を図りました。

2~3回目(1~2週間間隔):

基本的な治療内容は1回目に準じつつ、その時々のお身体の状態に合わせて微調整を行いました。

自覚としては首肩のコリがツラいとのことでしたので、関連する部位への点灸や円皮鍼の数を少し増やし、重点的にアプローチしました。

施術後、「肩が楽になった」「身体がポカポカする感じが続いている」といった嬉しいご感想をいただきました。
冷えやコリといった不調が改善に向かっている手応えを感じました。

3回目の施術は生理周期28日目にあたり、次の生理が近づいているタイミングでした。

4回目(3回目から10日後):

ご予約の数日前に自分で妊娠検査薬を試し陽性反応が出たため、鍼灸予約の前日、婦人科を受診され、妊娠が確定したとのご報告をいただきました。

妊娠4週目ほどの初期段階ですので、身体への負担が少ない、ごくソフトな刺激量での施術に切り替えました。
手足のツボへの置鍼や、軽い温灸などを中心に行い、妊娠初期の身体の変化を穏やかにサポートすることに重点を置きました。

妊娠判明という大変喜ばしい結果となり、患者さまと一緒に喜びを分かち合いました。

妊娠後も、つわりや腰痛、むくみといったマイナートラブルの軽減、安産に向けた体調管理のために鍼灸治療を継続できることをお伝えしました。

しかし、患者さまのご希望としては「まずは妊娠すること」を鍼灸治療の目標とされていたため、ご本人の意向を尊重し、今回の妊娠確定をもって、一区切りとして鍼灸治療は終了となりました。

使用した主なツボとその代表的な効果

曲池(きょくち):
肘にあるツボ。
身体の熱を冷ます効果や、気血の流れを整える効果がある。肩こりにも用いられる。

陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側にあるツボ。
体内の余分な水分(湿邪)を取り除く効果が高く、むくみや冷えに伴う重だるさに有効。

中封(ちゅうほう)
足首の内側にあるツボ。
肝の経絡に属し、気の流れをスムーズにし、血行を促進する効果がある。
婦人科系の不調にも関連。

三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの上にあるツボ。
「女性のツボ」とも呼ばれ、婦人科系の症状全般(生理痛、生理不順、冷え、更年期障害など)に非常に効果的。
脾・肝・腎の3つの経絡が交わる重要なツボ。

天枢(てんすう)
おへその両脇にあるツボ。
大腸の働きを整え、便秘や下痢の改善に効果的。
腹部の血行を促進する作用もある。

関元(かんげん)
おへその下にあるツボ。
「丹田(たんでん)」とも呼ばれ、生命エネルギー(元気)が集まる場所とされる。
下腹部を温め、泌尿器・生殖器系の働きを高める効果が高く、冷え性、生理痛、不妊治療には欠かせないツボ。

風池(ふうち)
首の付け根にあるツボ。
頭部への血行を促進し、頭痛、眼精疲労、首・肩こりの改善に効果的。

心兪(しんゆ)・肝兪(かんゆ)・膈兪(かくゆ)・大腸兪(だいちょうゆ):
背骨の両脇に並ぶ「背部兪穴(はいぶゆけつ)」の一部。
それぞれ心臓、肝臓、横隔膜(血と関連)、大腸といった内臓に対応しており、これらの臓器の働きを整える効果がある。特に膈兪は血の巡りに関わる重要なツボ。

命門(めいもん)
腰部、第2腰椎の下にあるツボ。
「生命の門」という意味があり、身体を温める力(腎陽)を高める非常に重要なツボ。
冷え性、腰痛、生殖能力の向上に効果的。

至陽(しよう)
背中、第7胸椎の下にあるツボ。
身体の陽気を高め、冷えや湿気を取り除く効果がある。

これらのツボを適切に組み合わせ、鍼と灸(温灸、点灸)を使い分けることで、患者さまの体質改善と症状緩和、そして妊娠しやすい身体づくりをサポートしました。

まとめ

今回ご紹介した症例は、鍼灸を始めて1ヶ月で妊娠に至ったケースでした

当院では、東洋医学的な詳細な診察に基づき、この「寒凝血瘀」の状態を改善することを目標に、身体を温め、血行を促進する鍼灸治療を継続的に行いました。
具体的には、下腹部や腰部を温めるお灸や、婦人科系に効果的なツボ、血行を促進するツボへの鍼刺激などを組み合わせました。

その結果、治療開始から約1ヶ月、計4回の施術で、患者さまは自然妊娠に至るという大変喜ばしい結果を得られました。

妊活は、ご夫婦にとって精神的な負担も大きいものです。当院では、身体的なアプローチはもちろんのこと、患者さまのお気持ちに寄り添い、安心して治療を受けていただけるようなコミュニケーションを大切にしています。

「なかなか妊娠しない」「冷えや生理痛がツラい」「体質から見直したい」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。

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