全身性エリテマトーデス(SLE)に効くツボ

全身性エリテマトーデス(SLE)に効くツボ

SLEに効くツボ・写真1

「この原因不明の辛い症状と、いつまで付き合えばいいのだろう?」

全身性エリテマトーデス(SLE)のような自己免疫疾患を抱え、そんな風に感じていらっしゃる方は少なくありません。

西洋医学の治療を受けていても、なかなかすっきりしない、あるいは薬だけに頼ることに不安を感じることもあるでしょう。

もしあなたが今、そんな袋小路にいるような感覚なら、少し視点を変えてみませんか?
古来より受け継がれてきた東洋医学には、あなたの体の声に耳を傾け、根本的な体質からバランスを整えていく知恵があります。

今回は、東洋医学から見たあなたの病気のこと、セルフケアのアプローチについて、お話しさせていただきます

つらい症状でお悩みの方に、少しでも光が見える一助となれば幸いです。

全身性エリテマトーデス(SLE)とは

SLEに効くツボ・写真2

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の一つです。
本来、外敵(ウイルスや細菌など)を攻撃する免疫システムが、自分自身の正常な細胞や組織を攻撃してしまう病気です。

とくに20~40代の女性に多く見られ、慢性的な炎症を引き起こします。

主な症状には、関節痛・筋肉痛・発熱・強い倦怠感・顔に蝶形紅斑(ちょうけいこうはん:頬から鼻にかけての赤み)・腎臓障害・貧血・脱毛などがあります。

症状は人によって異なり、「良くなったり悪くなったり」を繰り返すことが特徴です。

原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因に、紫外線、感染症、特定の薬剤、ホルモンバランスの変化などの環境因子が加わって発症すると考えられています。

西洋医学におけるSLEの治療は、自己免疫の異常な働きを抑えるために「免疫抑制剤」や「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」が用いられます。
これらの薬は炎症を抑える力が強く、症状の進行を防ぐために重要です。

また、症状や臓器の状態に応じて抗マラリア薬、抗生物質、降圧剤などが併用されることもあります。
治療の目的は、症状をコントロールして再燃(再発)を防ぐことです。
そのため、自己判断で薬をやめず、医師の指導のもと継続的な治療を行うことが大切です。

東洋医学からみた全身性エリテマトーデス(SLE)

東洋医学では、SLEを特定の病名として固定的に捉えるのではなく、患者さん一人ひとりの体質や、その時に現れている症状の全体像から、体のバランスの乱れとして捉えます。

私たちの体は「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という生命エネルギーや栄養、潤いがバランス良く巡り、「陰(いん)」と「陽(よう)」の調和がとれていることで健康が保たれています。

SLEは、これらのバランスが複雑に崩れた状態と考えられます。

脈、舌、お腹の状態などを詳しく診させていただき(四診といいます)、主に以下のような体質(証)に分類して考えます。
これらが単独で現れることも、複合して現れることもあります。

■気陰両虚タイプ(きいんりょうきょ)

特徴:
疲れやすく、息切れ、口の渇き、汗をかきやすい、体がだるい。

東洋医学的解釈:
気(エネルギー)と陰(潤い)が不足し、体の防御力が低下している状態。

■肝腎陰虚タイプ(かんじんいんきょ)

特徴:
顔が赤く火照る、イライラ、不眠、目の疲れ、腰や膝のだるさ・痛み、長期にわたる微熱など
東洋医学的解釈:
体の陰液が不足し、肝(感情・血流)と腎(生命力)が乱れている。

■気滞血瘀タイプ(きたいけつお)

特徴:
月経不順、肩こり、関節痛、冷えとほてりが交互に出る、舌が暗紫色。

東洋医学的解釈:
気の流れが滞り、血行不良により痛みや炎症が起きやすい。

■脾虚湿盛タイプ(ひきょしつじょう)

特徴:
むくみやすい、食欲不振、下痢しやすい、重だるさ。

東洋医学的解釈:
脾(消化吸収)が弱って体に余分な「湿」がたまり、免疫の乱れが起こっている。

このように体質を見極めるのが東洋医学の大きな特徴です。

その上で、一人ひとりの治療方針を立て、鍼や灸を用いて全身のバランスを整え、自己治癒力を高めることを目指します。

全身性エリテマトーデスに効くツボ

ここでは、ご自分でできるセルフケアに役立つツボをご紹介します。

東洋医学の鍼灸治療は、「この病気にはこのツボ」という単純なものではありません。
上記で説明した「証立て」に基づき、その方の体質(証)と症状に合わせて、全身にある経穴(ツボ)の中から最適な組み合わせを選んで施術します。

気陰両虚タイプ

■足三里(あしさんり)

膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。

■気海(きかい)

中心線上でおへそから指幅2本下がったところです。

■三陰交(さんいんこう)

内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。

脾虚湿盛タイプ

■陰陵泉(いんりょうせん)

膝の内側、太い骨(脛骨)の下にあるくぼみです。

■豊隆(ほうりゅう)

下腿(すね)の外側、膝と足首の中間あたりに位置しています。筋肉が盛り上がっている部分で、外くるぶしから親指8本分上の場所。

■中脘(ちゅうかん)

おへそに小指をあてて、親指までの指幅5本。親指があたっているところを目安にして指でやさしくなでるとへこみがあるところ。

気滞血瘀タイプ

■血海(けっかい)

膝の内側、膝のお皿より指3本分上にあります。

■膈兪(かくゆ)

肩甲骨の下端と同じ高さで、背骨から外側へ指幅2本よこが膈兪です。

■合谷(ごうこく)

手の甲で親指と人さし指の間。

肝腎陰虚タイプ

■腎兪(じんゆ)

まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さで背骨の両脇を親指で押して気持ちよく感じるところ。

■肝兪(かんゆ)

肩甲骨の下角(下の角▽)を結んだ線の高さが第7胸椎棘突起と同じ高さになりますので、そこから約3cm下がったところがツボの位置になります。

■三陰交(さんいんこう)

内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。

ツボを自分で探す時のコツ

より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。

ツボの基本位置を確認

鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。

押して探す

だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。

体の反応をみる

ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。

ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。

せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点

ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。

「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。

せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。

せんねん灸の使い方

種類を選ぶ

「せんねん灸」には様々な種類があります。
せんねん灸

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
せんねん灸種類
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。

ツボの場所を決める

どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。

準備

お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。

台座の裏紙を剥がす

「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。

もぐさに点火

巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。

皮膚に据える

火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。

取り外す

使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。

お灸をする上での注意事項

・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。

・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。

・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。

・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。

・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。

・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。

・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。

上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

セルフケアのツボ押しの方法と注意点

ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。

ツボ押しの方法

リラックスできる環境を整える

静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。

ツボの位置を確認

書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。

指の腹で押す

親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。

適度な力で押す

「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。

時間をかけて押す

1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。

呼吸を意識する

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。

温めてから行うと効果的

入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。

ツボ押しをする上での注意事項

・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。

・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。

・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。

・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。

・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。

・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。

・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。

上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

まとめ

セルフケアのツボ刺激だけでなく、日常生活では以下のようなセルフケアが役立ちます。

・睡眠をしっかりとる(22時〜2時の間はとくに大切)

・体を冷やさない(特に足元・お腹・首)

・紫外線対策(UVカット帽子・日焼け止め)

・ストレスを溜めない(呼吸法や散歩、ゆっくりお風呂もおすすめ)

・食事はバランス良く(冷たいもの・甘いもの・脂っこいものは控えめに)

ただし、SLEのような複雑な疾患では、セルフケアだけでは限界があります。

当院では、東洋医学に基づいてじっくりとお話を伺い、あなたの体質に合わせた施術を行います。
お気軽にご相談ください。
免疫や自律神経のバランスを整えることで、病気に負けない身体づくりを目指しましょう。

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