慢性疲労に効くツボ
慢性疲労に効くツボ
毎日のお仕事や家事、育児などに追われ、常に疲れが取れないと感じていませんか?
「寝ても疲れが抜けない」「休んでもすぐに疲れる」「体がだるく、やる気が出ない」そんな慢性的な疲労は、決してあなたの気のせいではありません。
あなたの体は、無意識のうちに疲れを溜め込んでいるのです。
頑張りたい気持ちはあるのに、体がついていかない、そんな葛藤を抱えていらっしゃるかもしれません。
まずは、ここまで本当によく頑張ってこられましたね。
ゆっくりと深呼吸をして、少しでも心と体を休ませてあげてください。
西洋医学的にみた慢性疲労
慢性疲労とは、長期間にわたって続く疲労感のことを指します。
原因が特定できないにもかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの強い疲労感が6ヶ月以上続く場合は「慢性疲労症候群(CFS)」の可能性も考えられます。
症状は、強い疲労感に加え、微熱、喉の痛み、リンパ節の腫れ、筋肉痛、関節痛、頭痛、睡眠障害、集中力や記憶力の低下、抑うつ気分など多岐にわたります。
これらの症状が重なることで、日常生活を送ることが困難になることもあります。
西洋医学では、以下のような要因が考えられます。
■自律神経の乱れ
ストレスや不規則な生活が原因で交感神経が優位になり、体が常に緊張状態に。
■ホルモンバランスの乱れ
副腎疲労などにより、ストレスホルモンの調整が乱れる。
■免疫系の異常
慢性的な炎症やウイルス感染の影響で、体の防御機能が過剰に働く。
■栄養不足・吸収不良
鉄分やビタミンB群、マグネシウム不足がエネルギー不足を引き起こす。
東洋医学的にみた慢性疲労
東洋医学では、慢性疲労は単なる「疲れ」ではなく、体のエネルギーである「気(き)」や、血液の「血(けつ)」、体の潤いである「水(すい)」の不足や流れの滞りによって起こると考えます。
体質によってその原因や現れ方が異なるため、以下に代表的な体質と慢性疲労の関係についてご説明します。
気虚(ききょ)タイプ – エネルギー不足
■特徴
疲れやすい、息切れしやすい、食後に眠くなる、声に力がない。
■原因
過労、食生活の乱れ、過度のストレス。
■養生法
栄養価の高い食事を摂る(鶏肉、山芋、黒米など)。
適度な運動で気を巡らせる。
深呼吸や瞑想で気を補う。
血虚(けっきょ)タイプ – 血の不足
■特徴
顔色が青白い、めまい、立ちくらみ、不眠、爪がもろい。
■原因
栄養不足、月経過多、慢性病。
■養生法
血を補う食事(レバー、ほうれん草、なつめなど)。
睡眠をしっかりとる。
お灸で血行を促進。
瘀血(おけつ)タイプ – 血の巡りが悪い
■特徴
肩こり、頭痛、冷え、しびれ、舌に紫色の斑点。
■原因
運動不足、ストレス、冷え。
■養生法
血流を良くする食材(生姜、にんにく、黒酢)。
マッサージや鍼灸で血流促進。
適度な運動。
水滞(すいたい)タイプ – 体内の水分バランスの乱れ
■特徴
むくみ、関節の痛み、頭が重い、雨の日に不調。
■原因
水分代謝の低下、冷え、過剰な水分摂取。
■養生法
体を温める(ショウガ湯、温かいスープ)。
適度な運動で汗をかく。
お灸や半身浴で水分代謝を促進。
慢性疲労に効果的なツボ
気虚タイプにおすすめのツボ
関元(かんげん)
指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、小指があたっているところ。
気を補い、元気をつける。
足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
消化機能の改善や、全身の倦怠感の緩和にも役立ちます。
血虚タイプにおすすめのツボ
三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
肝・脾・腎の三つの経絡が交わるツボで、女性にとって特に重要なツボで、3つの経絡が交わる場所にあります。
血の巡りをよくし、貧血や冷えを改善。
太谿(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱のほぼ中央のくぼみにあります。
体を温め、血行を促進。
瘀血タイプにおすすめのツボ
合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
ストレスによる緊張を緩和。血行促進、肩こりや頭痛の緩和。
血海(けっかい)
膝の内側、膝のお皿より指3本分上にあります。
血流を良くする効果が高いツボです。
水滞タイプにおすすめのツボ
陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側、太い骨(脛骨)の下にあるくぼみです。
水分の代謝を調整し、むくみを改善する効果があります。
築賓(ちくひん)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本+3本上がったアキレス腱のやや前の痛みを感じるところ。
余分な水分を排出。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。
「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
本格的な鍼灸施術のすすめ
セルフケアも大切ですが、慢性疲労が長引いている場合は、専門的な施術を受けることをおすすめします。
鍼灸は、
・交感神経と副交感神経のバランスを整える。
・血流を改善し、酸素や栄養を体中に届ける。
…という効果を狙い、その人に相応しいツボを、ツボの専門家である鍼灸師が施術していきます。
当院では患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドの施術を行います。
慢性疲労にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
あなたの体の声を聞きながら、根本からの改善を目指します。
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