精神不安に効くツボ

精神不安に効くツボ

精神不安と東洋医学写真

「不安」は誰でも感じる不快な感情ですよね。
不安が無いなどという人はいませんが、程度は人により様々です。

日常生活に継続的に支障が出るくらい慢性化した不安もあれば、仕事で大事な取引がある時だけなどの瞬間的に強く不安が募るとか、様々です。

今回は、「不安」という誰もが経験する感情について、東洋医学の視点も交えながら解説し、不安を和らげるのに役立つツボをご紹介します

病的な不安と正常な不安

「気持ちが落ち着かない」「ドキドキして心細い」「突然、強い不安に襲われる」「将来の人生が不安」…程度の差こそあれ、不安や緊張は誰もが感じるものです。

何か心配事がある時、初めての人に会う時、試験の前など、特定の状況でこのような気持ちになるのは「正常な不安」です。
これは、危険を察知し、注意を促すための生体反応であり、決して病的なものではありません。

しかし、「病的な不安」は「正常な不安」とは異なります。

理由がないのに生じる、あるいは理由があってもそれと不釣り合いに強い、原因がなくなってもいつまでも続く、といった特徴があります。

日常生活に支障をきたすほどの強い不安は、心身に様々な不調を引き起こす可能性があります。

病的な不安では、以下のような様々な症状が現れます。

  • ドキドキする(動悸)
  • 息苦しい
  • 冷や汗が出る
  • 体が震える
  • 手足がしびれる
  • 眠れない
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 胃の不快感
  • 集中力の低下
  • イライラ

これらの症状は、自律神経の働きが乱れることで起こります。
感情と、交感神経・副交感神経などの自律神経は、脳の中で密接に関連しており、精神的なストレスが自律神経のバランスを崩し、身体的な症状として現れるのです。

東洋医学からみた不安

東洋医学では、「気・血・水(き・けつ・すい)」の量と巡りが健康に重要だと考えます。
「気」は生命エネルギー、「血」は血液と栄養、「水」は体液を意味し、これらがバランス良く体内を巡ることで、心身の健康が保たれます。

不安の状態(慢性の病的な不安)は、東洋医学では「気」や「血」の不足、とくに頭や胸の「気血」の不足と捉えます。
頭や胸は精神活動の中心であり、ここに「気血」が不足すると、動悸・めまい・耳鳴り・息苦しい・不眠といった上半身の症状が出やすくなります。

また、「気」の巡りが滞ることで、イライラや憂鬱感といった精神的な症状も現れます。

東洋医学では、不安やストレスは、五臓六腑の中でも特に「肝(かん)」と「心(しん)」に影響が出やすいと考えます。

肝(かん):
肝は「気」の流れをスムーズにする働きを担っています。
肝の機能が低下すると、「気」の巡りが滞り、イライラ、怒りっぽくなる、頭に血が上りやすい、頭痛、目の充血などの症状が現れます。

心(しん):
心は精神活動を司ると考えられています。
心の機能が低下すると、不眠、多夢、精神的に落ち着かない、不安感、うつ症状などが現れます。

鍼灸院では、脈診、舌診、腹診など、東洋医学に基づいた診察を行い、患者様の体質や症状を丁寧に把握します。
その上で、不足している「気血」を補い、滞っている「気」の流れを改善する施術を行います。

精神不安に効くツボ

まずは日常生活の中でできるセルフケアとして、ツボ刺激があります。
精神不安に効果のあるツボに、ツボ押しやお灸を施してみてください。

太衝(たいしょう)

足の甲にあります。
足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
気の巡りを改善し、イライラや怒りを鎮める効果があります。

合谷(ごうこく)

親指と人さし指の骨がまじわったところから、やや人さし指よりのへこみが合谷です。
全身の気の巡りを整え、痛みやストレスを緩和する効果があります。

内関(ないかん)

手首の曲がりジワに薬指をおき指幅3本そろえて人さし指があたっているところ、腕の幅の真ん中が内関です。
心の安定を促し、動悸や吐き気、不眠などに効果があります。

膻中(だんちゅう)

胸のツボ。体の真ん中のラインと左右の乳首を結んだラインが重なるところ。
気の巡りを改善し、呼吸を楽にする効果があります。不安や緊張を和らげる効果も期待できます。

百会(ひゃくえ)

頭のツボ。左右の耳の上から結んだ線の中央。
精神を安定させ、頭痛やめまい、不眠などに効果があります。

ツボを自分で探す時のコツ

より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。

ツボの基本位置を確認

鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。

押して探す

だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。

体の反応をみる

ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。

ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。

せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点

ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。

「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。

せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。

せんねん灸の使い方

種類を選ぶ

「せんねん灸」には様々な種類があります。
せんねん灸

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
せんねん灸種類
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。

ツボの場所を決める

どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。

準備

お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。

台座の裏紙を剥がす

「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。

もぐさに点火

巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。

皮膚に据える

火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。

取り外す

使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。

お灸をする上での注意事項

・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。

・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。

・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。

・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。

・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。

・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。

・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。

上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

セルフケアのツボ押しの方法と注意点

ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。

ツボ押しの方法

リラックスできる環境を整える

静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。

ツボの位置を確認

書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。

指の腹で押す

親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。

適度な力で押す

「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。

時間をかけて押す

1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。

呼吸を意識する

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。

温めてから行うと効果的

入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。

ツボ押しをする上での注意事項

・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。

・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。

・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。

・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。

・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。

・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。

・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。

上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

鍼灸院での本格的な鍼灸のススメ

精神不安とは写真

何となく不安が続く時は、意識している・いないに関わらず、心身が疲れているサインです。

まずは、何も考えずに十分な睡眠をとることを心がけてください。
睡眠は心身の回復に不可欠です。
リズムを整え、質の高い睡眠を確保しましょう。

それに加え、上記でご紹介したツボ押しなどのセルフケアを試してみてください。

しかし、慢性化した心や体の消耗は、セルフケアだけではなかなか改善が難しいものです。
そのような場合は、当院の鍼灸施術を受けて、根本的な体質改善を図ることをお勧めします。

当院では、鍼と灸の専門家として、全身のツボ(経穴)を使って全身からアプローチする施術を行っています。
痛くない鍼、熱くない心地よいお灸で、心身のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、不安の根本原因に働きかけます。

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