子宮内膜症に効くツボ

子宮内膜症に効くツボ

子宮内膜症に効くツボ・写真1

子宮内膜症は、日常生活に支障をきたすほどの激しい生理痛をはじめ、様々な不快な症状を引き起こす疾患です。
当院では、東洋医学の観点から、子宮内膜症の根本原因にアプローチし、症状の緩和と体質改善を目指した鍼灸治療を行っております。

この記事では、子宮内膜症の西洋医学的な見方と東洋医学的な見方を解説し、日常生活で役立ててほしいセルフケアのお灸やツボ押しについてをご紹介いたします

子宮内膜症と西洋医学

子宮内膜症のお灸
子宮内膜とは、子宮の内側を覆う粘膜組織です。
通常、受精卵が着床する場所として重要な役割を果たしています。

しかし、この内膜が本来あるべき子宮の内側以外、例えば卵巣、卵管、子宮の外側、腹腔内などに発生してしまう病気が子宮内膜症です。

子宮内膜症の明確な原因は、現代医学においてもまだ完全には解明されていません。
有力な説としては、月経時に剥がれ落ちた子宮内膜が卵管を通って腹腔内に逆流し、そこで増殖するという「子宮内膜移植説」や、体内の細胞が子宮内膜様の組織に変化するという「体腔上皮化生説」などが挙げられます。

子宮内膜症の主な症状は、日常生活に支障をきたすほどの重い生理痛(月経困難症)です。
市販の鎮痛薬が効かないほどの激しい痛みを伴うことも少なくありません。
その他、性交痛、排便痛、排尿痛、慢性的な骨盤痛、不妊などを引き起こすこともあります。

西洋医学的な治療では、異常増殖した子宮内膜組織を抑えるため、ホルモン療法が用いられることが一般的です。

具体的には、黄体ホルモン製剤やGnRHアナログ製剤などが使用され、人為的に月経を止めることで、子宮内膜の増殖を抑制します。
しかし、これらのホルモン剤は、更年期障害のような症状(ホットフラッシュ、イライラ、不眠など)を引き起こす可能性や、治療期間中は妊娠が望めないというデメリットがあります。

近年では、痛みを緩和する鎮痛剤の使用や、手術によって病巣を切除する方法も選択肢として存在します。

※西洋医学的な治療に関してはホルモン剤だけではありませんので、詳しくは西洋医学の専門サイトや医療機関にご相談ください。

子宮内膜症と東洋医学

東洋医学(鍼灸や漢方薬)は、西洋医学のようなホルモン剤による副作用のリスクが少なく、妊活中の女性にも安心して受けていただける治療法です。

東洋医学では、子宮内膜症という病名にとらわれず、患者様一人ひとりの「体質(カラダの特徴)」に合わせたオーダーメイドの治療を行います。

東洋医学では、人間の体は「気・血・水(き・けつ・すい)」の3つの要素によって構成され、これらのバランスが健康を維持するために重要だと考えます。

子宮内膜症に多く見られる体質は「瘀血(おけつ)」です。
瘀血とは、「血(けつ)」の巡りが悪くなった状態を指します。

血液の流れが滞り、ドロドロとした状態になっているイメージです。

瘀血を引き起こす原因には、「冷え」「ストレス」「胃腸の弱り」などが挙げられます。
これらの要因が複合的に作用し、「冷え+瘀血」「ストレス+瘀血」「胃腸の弱り+瘀血」といった状態を引き起こすと考えられます。

生活の基本は生活習慣

ツボ刺激を行う前に、日常生活習慣を見直すことは非常に重要です。
以下の点を意識することで、体質改善の基礎を築き、鍼灸治療の効果を高めることができます。

質の高い睡眠:
毎日同じ時間に寝起きし、十分な睡眠時間を確保することで、自律神経のバランスを整え、血流を改善します。

腹八分目の食事:
食べ過ぎは胃腸に負担をかけ、血流の滞りにつながります。腹八分目を心がけ、バランスの取れた食事を摂りましょう。

適度な運動:
適度な運動は血行を促進し、新陳代謝を高めます。ウォーキングやヨガなど、無理のない範囲で続けられる運動を取り入れましょう。

体を温める:
冷えは血行不良の大きな原因となります。体を温める服装を心がけ、温かい飲み物を摂るようにしましょう。

リラックスする時間:
ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、血流を悪化させます。入浴やアロマテラピーなど、自分に合ったリラックス方法を見つけ、積極的に取り入れるようにしましょう。

これらの生活習慣を実践することで、体質は徐々に改善していきます。
さらに、ご自宅でのお灸を取り入れることで、より効果的なケアが可能となります。

子宮内膜症におすすめのツボ

タイプに合わせたツボにお灸をすることで、体質改善を促し、内膜症の症状緩和に繋げることができます。

基本のツボ(どのタイプにも有効)

三陰交(さんいんこう)


足の内くるぶしから指4本分くらい上。
婦人科疾患全般に効果的なツボ。

気海(きかい)


おへそから指2本分くらい下。
気を補い、血行を促進するツボ。

腎兪(じんゆ)


背中、ウエストの一番くびれた高さで背骨から指2本外側。
腎の機能を高め、水分代謝を整えるツボ。

冷えと瘀血タイプのツボ

冷えが強い人は以下のツボも追加してみてください。

気端

5本すべての足指の先端。
(ここはお灸ではなく)足の指の先端をつまんでマッサージを行うこと。
足湯や湯たんぽなどで、足先を温めても良いです。

血海(けっかい)


ももの内側、ひざのお皿から指4本分くらい上。
血行を促進し、冷えを改善するツボ。

ストレスと瘀血タイプのツボ

ストレスが強い人は以下のツボも追加してみてください。

合谷(ごうこく)


手の甲で親指と人さし指の間。
気の流れを整え、ストレスを緩和するツボ。

太衝(たいしょう)


足の甲で親指と人さし指の間。
肝の機能を整え、イライラを鎮めるツボ。

血海(けっかい)


ももの内側、ひざのお皿から指4本分くらい上。
血行を促進し改善するツボ。

胃腸が弱いタイプ

胃腸機能が悪い人は以下のツボも追加してみてください。

足三里(あしさんり)


すねの外側、膝のお皿の下から指4本分下。
胃腸の働きを整え、水分代謝を促進するツボ。

ツボを自分で探す時のコツ

より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。

ツボの基本位置を確認

鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。

押して探す

だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。

体の反応をみる

ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。

ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。

せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点

ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。

「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。

せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。

せんねん灸の使い方

種類を選ぶ

「せんねん灸」には様々な種類があります。
せんねん灸

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。
せんねん灸種類
初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。

ツボの場所を決める

どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。

準備

お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。

台座の裏紙を剥がす

「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。

もぐさに点火

巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。

皮膚に据える

火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。

取り外す

使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。

お灸をする上での注意事項

・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。

・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。

・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。

・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。

・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。

・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。

・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。

上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

セルフケアのツボ押しの方法と注意点

ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。

ツボ押しの方法

リラックスできる環境を整える

静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。

ツボの位置を確認

書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。

指の腹で押す

親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。

適度な力で押す

「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。

時間をかけて押す

1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。

呼吸を意識する

力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。

温めてから行うと効果的

入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。

ツボ押しをする上での注意事項

・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。

・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。

・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。

・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。

・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。

・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。

・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。

・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。

上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。

鍼灸院での本格的な鍼灸のススメ

セルフケアのお灸やツボ押しだけだと、どうしてもおツラい症状を取りきることは難しいかもしれません。
鍼灸院での本格的な鍼灸との併用をお勧めいたします。

当院では、鍼灸治療によって血の巡りを改善し、瘀血を解消することで、子宮内膜症の症状緩和を目指します。
また、体質改善を同時に行うことで、妊娠しやすい体づくりをサポートすることも可能です。

鍼灸治療は痛みの緩和にも効果を発揮するため、現在抱えているつらい症状の軽減も期待できます。
西洋医学的な治療との併用も可能ですので、ご安心ください。

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子宮内膜症