【妊活にも影響大】バセドウ病・橋本病への鍼灸治療
バセドウ病・橋本病への鍼灸
「最近、疲れやすい」「なんだかイライラする」「むくみが気になる」
…もしかしたら、それは甲状腺の不調が原因かもしれません。
甲状腺は、私たちの体の様々な働きをコントロールする大切な臓器です。
その甲状腺の機能異常によって引き起こされるのが、バセドウ病と橋本病です。
今回は、バセドウ病や橋本病と、東洋医学である鍼灸がどのように役立つのかについて、詳しく解説していきます。
生命活動の要、甲状腺とその働き
私たちの首の前方、喉仏の下あたりにある小さな臓器、それが甲状腺です。
蝶が羽を広げたような形をしており、生命維持に欠かせない「甲状腺ホルモン」を分泌しています。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝、体温調節、心臓や消化器の働き、精神活動など、全身のあらゆる機能に影響を与えています。
まさに、私たちの体の「エンジン」をコントロールする重要な役割を担っているのです。
バセドウ病と橋本病:ホルモンバランスの乱れ
甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になる病気が「バセドウ病」、逆に不足する病気が「橋本病」です。
「バセドウ病」は、自己免疫疾患の一つで、本来体を守るはずの免疫システムが誤って甲状腺を攻撃し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで発症します。
主な症状は以下の通りです。
- 動悸・息切れ
- 多汗
- 体重減少
- 眼球突出
- 手の震え
- イライラ・不安感
- 暑がり
- 下痢
- 月経不順
一方、「橋本病」も自己免疫疾患で、免疫システムが甲状腺を攻撃し、徐々に甲状腺の機能が低下していく病気です。
主な症状は以下の通りです。
- 首の腫れ(甲状腺の腫大)
- 寒がり
- 体重増加
- 皮膚の乾燥
- 便秘
- むくみ
- 倦怠感・疲労感
- 眠気
- 気分の落ち込み
- 月経量の増加・過長月経
これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、不妊にも深く関わっていることがわかっています。
甲状腺の不調と不妊の関係
甲状腺ホルモンは、女性ホルモンのバランスにも影響を与えています。
そのため、甲状腺機能の異常は、排卵障害や月経不順を引き起こし、不妊の原因となることがあります。
また、妊娠中も甲状腺ホルモンは胎児の発育に重要な役割を果たしており、甲状腺機能の異常は流産や早産のリスクを高める可能性があります。
西洋医学では、甲状腺機能の異常に対して、ホルモン補充療法などの薬物療法が行われます。
これにより、ホルモン値を正常範囲にコントロールすることが可能です。
しかし、「薬を飲むだけでなく、何か他にできることはないか?」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、東洋医学、特に鍼灸の力です。
東洋医学から見るバセドウ病・橋本病
東洋医学では、病気を「体全体のバランスの乱れ」と捉えます。
バセドウ病や橋本病も、単に甲状腺だけの問題ではなく、体全体のエネルギー(気)、血液(血)、体液(津液)の巡りやバランスが崩れることで引き起こされると考えます。
例えば、橋本病でよく見られる「寒がり」「むくみ」「倦怠感」は、東洋医学では「陽虚(ようきょ)」という状態と考えます。
「陽」とは、体を温めたり、活動を支えたりするエネルギーのことです。
この「陽」が不足することで、体が冷え、水分の代謝が悪くなり、様々な不調が現れると考えるのです。
鍼灸で体質を根本から改善
鍼灸治療では、全身に点在する「経穴(けいけつ)」と呼ばれるツボを刺激することで、気の流れを整え、体全体のバランスを調整していきます。
当院では、患者様一人ひとりの体質や症状を丁寧に問診し、脈やお腹の状態などを詳しく診察することで、その方に最適な治療法を選択します。
例えば、冷えが強い方には、体を温めるお灸や、温性の鍼を用いて治療を行います。
また、イライラや不安感が強い方には、気の巡りを整え、精神を安定させるツボを選びます。
このように、症状だけでなく、根本的な体質にアプローチすることで、体の内側から健康を取り戻していくのです。
甲状腺の不調は、日常生活に様々な影響を及ぼします。
西洋医学的な治療に加えて、東洋医学の鍼灸を取り入れることで、体全体のバランスを整え、より健やかな体を目指してみませんか?