キャッチアップ障害と鍼灸治療

キャッチアップ障害への鍼灸のご案内

ご自分がキャッチアップ障害ではないか?とお悩みの方も少なくないと思います。
ただし身体の中の話ですので、ハッキリとは分かりませんよね。
このハッキリと分からないのが逆につらいことだと思います。
ここではキャッチアップ障害とは何か、そしてそれを鍼灸でどう対処するかについて書きます。

キャッチアップ障害とは

キャッチアップ障害
まずはキャッチアップ障害の前に卵巣周辺の説明をします。
基本的な話ですが、「卵巣」は卵子が貯蔵されている臓器です。
毎月1個の卵子を大きくして排出しています(排卵)。
「卵管」は排卵された卵子を子宮へ運ぶ管(通路)です。

でも、この卵巣と卵管はつながっていません。
卵子は一旦、腹腔内に飛び出ます。

どうして卵巣と卵管がつながっていないのかは謎のようです。
未知なる必然性がある構造なのか、進化の都合で不完全なままそうなったのか…。
今の人間の内臓構造からすると機能的ではない気がしますが、きっと理由はあるのでしょう。

ちなみに腹腔内は漿液という液体に満たされています。
ですので、空気中に卵子が出るわけではありません。
腹腔という内臓を包むより大きな袋の中に出るわけです。

腹膜腔内は少量ですが漿液があり、卵巣、卵管の周りも漿液で満たされています。
漿液が存在する事により潤滑剤の様に腸管等、お互いに癒着せず自由に運動が可能となっています。

ですので、よく野球のピッチャーとキャッチャーにたとえられますが、卵巣から放たれたボール(卵子)をうまく卵管の先端(卵管采)で受け止めているようです
卵管采の形もちょうど手のような形になっています(イソギンチャクにたとえられることも多いです)。

卵管采は水中を漂うイソギンチャクのようにゆらゆらと卵子が出てくるのを待ち構えています。
どうして卵子が飛び出してくる場所がわかるのか、その辺の仕組みも今はまだ未知のようです。
卵管采が手の大きさだとすると、排卵前の卵巣はバスケットボールくらいある感覚のようです。
そして、左右の卵巣の位置が近いこともあり、飛び出した卵子を反対の卵管采で受けることもあるようです。

上手く受け取れるのが正常な場合だとすると、そこで起こるのが「卵子を上手くキャッチできない」ケースです
まれに起こる程度でしたら普段からあることかもしれませんが、頻発するようですと問題になります

これが『キャッチアップ障害』と呼ばれる問題です。

キャッチアップ障害の原因

原因
キャッチアップ障害の原因として、クラミジアの感染や子宮内膜症による卵管炎や癒着、子宮筋腫によって卵巣と卵管采の位置のずれなどがあるようです
最近はクラミジア感染症が増加していますが、それに伴ってキャッチアップ障害も増えてきていますので、クラミジア感染症検査で陽性だった人はキャッチアップ障害の可能性が高いでしょう。

しかし、未だ原因が分からずキャッチアップ障害になることも多いようです
ストレスも原因のひとつですし、加齢によって卵管采の動きが低下しているとも言われています。
「20歳で走ることと35歳で走るとしたら、やはりその走力は年齢によって落ちるでしょ、卵管采も同じ」ということです。
ある文献では、原因不明の不妊患者の約半数が、このピックアップ障害が原因であるとした研究も紹介されています(これには反論もあります)。

キャッチアップ障害と鍼灸

キャッチアップ障害鍼灸
さてでは、鍼灸(東洋医学)ではキャッチアップ障害をどう考えるでしょうか。

東洋医学(鍼灸・漢方など)でのキャッチアップ障害への対処法ですが、基本的には卵管采の動きの悪さに対応する治療が必要になると考えています。

動いているものが正常な動きを成すことが体の自然の働きだと考えます。
逆に言えば、イレギュラーな動きをするものは東洋医学で言うところの「気血水」の乱れが原因にあるとみる訳です。
たとえば、口→食道→胃→小腸と向かう流れが滞ればそれは「胃もたれ」。逆流すれば「逆流性食道炎」になります。
上から下への気の流れが止まったり逆流したせいだとみます。

このように、筋肉にしろ神経にしろ、動きをつかさどるものは「気」と「血」だと考えられていますので、卵管采の動きをつかさどっているものの滞りや不足が疑われるわけです。
骨盤内の気血の動きを活性化するようなツボへの刺激が効果的です。
加齢による元気のなさには足りないものを補うような治療で対応します。

また、癒着などは「血」や「水」などの滞りだと考えられますので、その場合は骨盤内の水まわりをよくするようなツボへの刺激が必要になります。

ツボには様々な働きがありますので、それらを駆使して施術に当たります。

まとめ

あなたの体の中で、キャッチアップ障害が本当に起こっているかわかりません。
鍼灸でキャッチアップ障害へ対処できているのかも、本当は分からないことかもしれません。
ですが鍼灸治療はできます。
それは、見えない体内の婦人科系と言えど、全身の体質を整えることで改善すると考えているからです。

たとえば、全身的に疲れやすい人は婦人科系も加齢の影響を受けやすいでしょう。
またストレスなどが強い人は婦人科系の動きも伸びやかにはいかないでしょう。
むくみなどがよく出る人には水分代謝の悪さが婦人科系にも出る可能性が強いです。

このように、全身的な体質から、部分の状態をうかがうことができます。
ですので全身状態(体質)にあわせた治療が、そのままキャッチアップ障害などの部分の治療にもつながってくるわけです
鍼灸にはお手伝いできることがありますので、ぜひ頼って下さい。

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