勃起するチカラを向上させる研究
仙骨への鍼通電刺激が勃起機能を向上させる
今回は、「仙骨部への鍼通電刺激が勃起機能を向上させる」というテーマについて、東洋医学の視点と現代科学の研究結果を交えながら、わかりやすく解説していきたいと思います。
この記事を通して、鍼灸や東洋医学に馴染みのない方にも、その奥深さや可能性を感じていただけたら幸いです。
そして、もし何かお困りのことがあれば、当院がお力になれるかもしれません。
勃起障害と東洋医学の関わり
近年、男性の健康問題として、勃起障害(ED)が注目されています。
勃起障害は、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態を指し、生活の質(QOL)に大きな影響を与える可能性があります。
東洋医学では、古くから心身のバランスを重視し、病気の根本原因にアプローチしてきました。
勃起機能は、心身の状態と密接に関わっており、東洋医学では「腎(じん)」の機能と深く関連付けられています。
「腎」は、西洋医学でいう腎臓の機能だけでなく、成長、発育、生殖、水分代謝など、生命活動の根源的なエネルギーを司ると考えられています。
ストレスや過労、加齢などによって「腎」の機能が低下すると、勃起機能にも影響が現れるとされています。
また、東洋医学では、身体には「経絡(けいらく)」と呼ばれるエネルギーの通り道があり、「経穴(けいけつ)」、いわゆるツボは、その経絡上にある特定のポイントです。
これらのツボを鍼やお灸で刺激することで、気の流れを整え、身体のバランスを回復させると考えられています。
仙骨と生殖機能の深い関係
今回のテーマである「仙骨」は、骨盤の中央に位置する三角形の骨で、脊椎の一部を構成しています。
東洋医学では、仙骨周辺には生殖器系に深く関わるツボが多く存在すると考えられてきました。
とくに、「中髎(ちゅうりょう)」というツボは、仙骨部にある重要なツボの一つで、生殖機能の改善に効果があるとされています。
中髎は、膀胱経に属するツボで、第二仙椎と第三仙椎の間、正中仙骨稜の外方3寸に位置します。
このツボは、骨盤内の血行を促進し、神経機能を調整する作用があると考えられ、古くから泌尿生殖器系の疾患に用いられてきました。
女性の生理不順や月経痛、男性の勃起障害や排尿障害などに効果があるとされています。
現代科学が解き明かす鍼のメカニズム
これまで、東洋医学では経験的に仙骨部のツボが生殖機能に効果があると言われてきましたが、そのメカニズムは十分に解明されていませんでした。
しかし、近年、現代科学の研究によって、鍼治療の作用機序が徐々に明らかになってきています。
今回ご紹介する研究は、「仙骨部への鍼通電刺激が麻酔下ラットの勃起機能に及ぼす影響」という論文です。
『仙骨部への鍼通電刺激が麻酔下ラットの勃起機能に及ぼす影響』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/66/1/66_14/_article/-char/ja
この研究では、麻酔下のラットを用いて、第三仙骨孔付近(中髎穴に相当する部位)に鍼通電刺激を行い、陰茎海綿体内圧の変化を測定しました。
その結果、特定の強さの刺激(5.0mA)で、陰茎海綿体内圧の有意な増加、つまり勃起機能の向上が認められたのです。
さらに、この研究では、鍼刺激が上脊髄性中枢を介して海綿体神経を刺激することで作用していることが示唆されました。
つまり、鍼刺激が神経系に作用し、勃起に関わる神経伝達を活性化することで、勃起機能が向上する可能性があるということです。
当院の施術と東洋医学の可能性
この研究結果は、東洋医学で古くから言われてきた「仙骨部のツボが生殖機能に効果がある」という経験的な知見を、現代科学の視点から裏付けるものと言えるでしょう。
当院では、東洋医学の考えに基づき、脈診、舌診、腹診などを行い、患者様の体質や症状を丁寧に把握した上で、鍼灸治療を行っています。
とくに、不妊治療(男性不妊も含めて)においては、全身のバランスを整え、「腎」の機能を高めることを重視し、仙骨部を含む全身のツボを組み合わせて施術を行います。
鍼は髪の毛ほどの細い鍼を使用し、痛みを感じにくい施術を心がけております。
お灸も、温かさを感じる程度で、熱いと感じることはほとんどありません。
心地よい刺激で、心身のリラックスを促し、自然治癒力を高めることを目指しています。
今回の研究結果は、日々の臨床で鍼灸治療を行っている私たちにとって、「より確信を持って施術できる」という意義があります。
また、患者様に対して、科学的な根拠に基づいた説明ができるというメリットもあります。
当院では、不妊治療だけでなく、婦人科系疾患、自律神経失調症、冷えやストレスなど、様々な症状に対応しております。
お一人で悩まず、ぜひ一度ご相談ください。
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