便秘
便秘とは
便秘にははっきりとした定義がありません。
医学的には「なかなか便が出ない」「便が出なくて苦しい」といった自覚症状がある場合とされています。
たとえば、
下腹が張って不快になる、排便は毎日あるが残便感がある、便が硬くなり排便が辛い、排便に時間がかかる、便が細く少量しか出ない、といった症状も便秘といえるでしょう。
西洋医学(現代医学)では、便秘は以下の４つの種類に分けることができます。
■弛緩性便秘
大腸の運動が低下するタイプ。
腸管が弛んでぜん動運動が十分行われないために、便を送り出すことができず便秘になっている状態。
女性や高齢者に多い。
運動不足や食物繊維の不足などが原因。
■直腸性便秘
直腸に便が停滞するタイプ。
腸の出口である直腸まで便は到達しているのに、便意を感じにくく便秘になっている状態。
高齢者や寝たきりの人のほか、痔や恥ずかしさなどにより排便を我慢する習慣がある人に多く、これはトイレを我慢したりすることで直腸の神経が鈍くなるからと言われます。
■けいれん性便秘
大腸の過緊張で起こるタイプ。
副交感神経の過度の興奮によって腸管が緊張しすぎてしまい、便がうまく運ばれずコロコロ便になります。
精神的ストレス、環境の変化、過敏性腸症候群、睡眠不足などで自律神経が乱れることで引き起こされます。
■器質性便秘
消化管（小腸・大腸）に通過障害が起こるタイプです。
腸にポリープや腸管癒着やがんなどができて便の通り道がふさがれることによる便秘です。
このような便秘に併せて、血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院へ行きましょう。
まずは大きな病気が隠れていないかを病院(西洋医学)で調べることは有益です。
そのうえで、西洋医学の治療（下剤などの薬の治療）以外に何かできることがないかと考えられた際に鍼灸（東洋医学）を検討ください。
東洋医学の強み｜自然治癒力を引き出す施術
西洋医学は、「症状を抑えること」が得意です。
例えば、頭痛なら痛み止め、炎症なら抗生剤といった具合に対処します。
一方、東洋医学は「症状の原因となる体質」に着目し、体全体のバランスを整える「体質改善」を目指します。
頭痛ひとつとっても、血流の滞り・冷え・ストレスなど原因はさまざま。
鍼灸は、その人に合ったツボを刺激し、本来の治る力を引き出します。
不調の原因は目に見える症状だけではなく、体の内側のバランスの乱れにあります。
例えるなら、私たちの体は、大河を流れる水のようなもの。
血液や気（エネルギー）が滞りなく巡ることで、健康という豊かな流れが保たれます。
しかし、ストレスや不規則な生活習慣によって、川のどこかに泥や石が溜まり、水の流れが悪くなってしまうことがあります。
それが体の不調として現れるのです。
鍼灸は、川の流れを整える水路の管理人のようなもの。
滞った部分を取り除き、スムーズな流れを取り戻すことで、体全体が元気に機能するように導きます。
東洋医学は、2千年の経験値を持つ体質改善の医学です。
鍼灸では「脈・舌・お腹」を診て、気・血・水の流れを察し、ツボ（経穴）に刺激を与えることで、全身の調和を取り戻します。
便秘と鍼灸
東洋医学では、便秘は「気・血・水（津液）」のバランスの乱れや、五臓六腑（特に脾・胃・肺・肝・腎）の機能低下によって生じると考えられます。
以下、代表的な体質ごとに便秘の特徴と効果的なツボを紹介します。
気滞（ストレス型）
■特徴
・ストレスやイライラしやすい
・お腹が張りやすく、ガスが溜まりやすい
・排便時にコロコロとした便が出るが、スッキリしない
・便意があってもスムーズに出にくい
■東洋医学的解説
気の巡りが悪くなると、腸の蠕動運動が乱れ、スムーズな排便が妨げられます。
とくに肝の気の巡りが悪くなる「肝気鬱結」によって起こることが多いです。
■効果的なツボ
・太衝（たいしょう）（足の甲、親指と人差し指の骨の間） → 気の巡りを良くする
・合谷（ごうこく）（手の甲、親指と人差し指の付け根） → 気を巡らせ、ストレスを和らげる
・天枢（てんすう）（おへそから指3本分外側） → 腸の動きを整える
気虚（エネルギー不足型）
■特徴
・疲れやすく、元気がない
・便を出す力が弱く、出そうと思ってもなかなか出ない
・便が硬くなくても出にくい
・食後に疲れを感じやすい
■東洋医学的解説
気は腸の蠕動運動を助けるエネルギー源ですが、気が不足すると腸の動きが鈍くなり、便を押し出す力が弱くなります。
とくに脾気虚（胃腸のエネルギー不足）による便秘が多いです。
■効果的なツボ
・関元（かんげん）（おへそから指4本分下） → 元気を補い、腸の働きを高める
・足三里（あしさんり）（膝のお皿の下、指4本分下の外側） → 消化機能を強化し、気を補う
・中脘（ちゅうかん）（おへそとみぞおちの中間） → 胃腸の働きを高める
陽虚（冷え型）
■特徴
・冷え性で、特に下半身が冷えやすい
・軟便や下痢と便秘を繰り返すことがある
・便が硬くなくても出にくい
・朝よりも夜に体が冷えやすい
■東洋医学的解説
腎陽（体を温めるエネルギー）が不足すると、腸の働きが低下し、便をスムーズに押し出せなくなります。
寒冷刺激に弱いタイプで、冬場に便秘が悪化しやすいのも特徴です。
■効果的なツボ
・命門（めいもん）（腰の中央、へその真裏） → 体を温め、腸の働きを高める
・大腸兪（だいちょうゆ）（腰の高さで背骨の左右指2本分外側） → 大腸の働きを促進する
・三陰交（さんいんこう）（内くるぶしから指4本分上） → 冷えを改善し、腸の動きを助ける
血虚（血不足型）
■特徴
・肌が乾燥しやすい
・便が乾燥して硬く、コロコロとした便になりやすい
・爪が割れやすい、髪がパサつく
・立ちくらみや目の疲れがある
■東洋医学的解説
血が不足すると、腸の粘膜が乾燥し、便の水分が少なくなり硬くなります。
とくに女性に多いタイプで、生理後や産後に悪化することもあります。
■効果的なツボ
・血海（けっかい）（膝の内側、膝蓋骨の上内側） → 血を補い、腸の乾燥を防ぐ
・三陰交（さんいんこう）（内くるぶしから指4本分上） → 血を補い、腸の潤いを保つ
・大腸兪（だいちょうゆ）（腰の高さで背骨の左右指2本分外側） → 便通を促す
陰虚（潤い不足型）
■特徴
・喉や皮膚が乾燥しやすい
・便が硬く、コロコロしていて出にくい
・寝汗をかきやすい
・イライラしやすく、ほてりがある
■東洋医学的解説
陰液（水分）が不足すると、腸内の潤いが不足し、便が硬くなります。
とくに夜に喉の渇きを感じやすく、ほてりや口の乾きが気になる人が多いです。
■効果的なツボ
・照海（しょうかい）（内くるぶしの下） → 陰を補い、腸を潤す
・太谿（たいけい）（内くるぶしとアキレス腱の間） → 体の潤いを補う
・天枢（てんすう）（おへそから指3本分外側） → 腸の働きを調整する
以上、
便秘の原因は人によって異なり、気滞・気虚・陽虚・血虚・陰虚といった体質別に分かれます。
自分の体質に合ったツボを刺激することで、腸の働きを改善することが可能です。
鍼灸では、こうした体質を見極めた上で施術を行い、根本から体質を整えることを目指します。
このように、東洋医学では便秘を単なる「出ない」症状ではなく、全身のバランスの乱れとして捉え、その人に合ったケアをすることが重要です。
便秘鍼灸のよくある質問と回答
Q: 便秘って本当に鍼灸で治りますか？
A:はい、鍼灸治療は便秘の改善に効果があります。
鍼やお灸を用いて、自律神経の乱れを緩和し、大腸の機能や不快感を軽減します。
西洋医学だけでなく東洋医学(鍼灸)との併用が効果的です。
Q: どのくらいの期間続ける必要がありますか？
A: 症状の程度によりますが、通常は数回から3ヶ月の継続的な治療が目安となります。
個別には初回施術後にお伝えします。
治療の効果や経過に応じて、治療の間隔や内容を調整していきます。
Q: どのくらいの頻度で通う必要がありますか？
A: 症状の程度によりますが、通常は週1回が目安になります。
Q: 鍼灸治療の効果を感じるまでに時間がかかりますか？
A: 効果を感じるまでには個人差がありますが、通常は数回の治療後に改善を実感できることがあります。
Q: 鍼灸が便秘にどのように役立つのですか？
A: 鍼灸施術は自律神経の調整とストレス軽減に効果的で、腹部の動きを改善し、不快感や痛みを緩和するのに役立ちます。
Q: 鍼灸治療の効果は一時的なものですか、それとも長期的なものですか？
A: 鍼灸治療の効果は個人によって異なりますが、一時的な効果だけでなく、長期的な効果も期待されます。
定期的な治療を受けることで持続的な改善につながります。
Q: 便秘以外にも鍼灸で治療できる症状はありますか？
A: はい、肩こり、頭痛、不眠、婦人科疾患、冷え、ストレスなど多くの症状に対応しています。
Q: 鍼やお灸は痛いですか？
A: いいえ、極力痛みを感じないよう心地よく施術します。鍼は痛くなく、お灸は心地よい温熱感が特徴です。
Q: どのように予約を取れますか？
A: 予約は電話またはウェブサイトから取ることができます。
完全予約制で待ち時間はありません。
Q: 鍼灸治療中に他の治療を受けても大丈夫ですか？
A: 他の治療との併用は個別の状況によります。鍼灸師と相談してください。
Q: 鍼灸の安全性はどうですか？
A: 鍼灸は安全で、国家資格を持つ専門家によって提供されます。感染症のリスクはほとんどありません。
Q: 鍼灸治療の副作用はありますか？
A: 通常、副作用はほとんどありません。治療後に軽い疲労感があることがあります。
Q: 鍼灸治療は保険が効きますか？
A: 申し訳ございません。当院の鍼灸施術は実費となります。
Q: どのようにして鍼灸の効果を最大限に引き出すことができますか？
A: 鍼灸治療の成功には生活習慣や食事の改善が重要です。鍼灸師がアドバイスします。
Q: 鍼灸治療は病院の治療と併用できますか？
A: はい、鍼灸治療は病院の治療と併用できます。病院で出来ることは積極的になさってください。
