穀雨|鍼灸師が教える二十四節気の健康法
穀雨の今できる健康法について
穀雨(こくう)は二十四節気の6番目で、4月20日頃から始まる時期です。
2025年の穀雨は4月20日です。穀雨が終わる頃に八十八夜があります。
「百穀を滋雨(ひゃっこくをじう)す」という意味があり、春の終わりに向かう頃、たっぷりと降る雨が田畑を潤し、作物の成長を助けるとされています。
穀雨が過ぎると気温が徐々に上がり、本格的な初夏へと移行していきます。
春は「肝」の働きが活発になる季節と考えます。
「肝」は、自律神経や感情、解毒などを司るとされており、ストレスや不規則な生活が続くと、「肝」の働きが乱れ、様々な不調が現れると考えられています。
穀雨の頃は、その春から初夏への移行期です。
東洋医学では、この時期は「湿」が体に影響を及ぼしやすくなると考えられます。
穀雨の時期に起こりうる心身の不調
春の陽気が満ちる一方で、湿気も増えてくるため、体調管理が重要な時期です。
とくに、東洋医学では「湿邪(しつじゃ)」が影響しやすい時期と考えられ、消化器系の不調や体の重だるさを訴える人が増える傾向にあります。
「湿邪」は重く、停滞しやすい性質を持つため、次のような不調が現れることがあります。
消化器系の不調
湿気が多くなることで、胃腸の働きが低下しやすくなります。
具体的には、食欲不振、胃もたれ、下痢や軟便、膨満感などが起こりやすくなります。
とくに、元々脾胃が弱い人は影響を受けやすいでしょう。
体の重だるさと倦怠感
湿気が体内にこもると、気血の巡りが滞り、体が重くだるく感じることがあります。
これは「湿邪」が筋肉や関節に影響を及ぼし、動きが鈍くなったり、朝起きても疲れが抜けない状態を引き起こすためです。
むくみや水分代謝の低下
体内に余分な水分が溜まりやすくなり、むくみやすくなります。
とくに、下半身のむくみがひどくなることが多く、靴がきつく感じたり、足がだるくなったりします。
気分の落ち込みや集中力の低下
湿気が多いと、気分も沈みがちになり、なんとなくやる気が出ない、集中できないという状態に陥ることがあります。
東洋医学では、「湿は気を阻む」と言われており、思考がぼんやりしたり、憂うつになったりするのも湿邪の影響とされています。
関節の痛みやこわばり
湿邪は関節にも影響を及ぼしやすく、とくにリウマチや関節炎を持っている人は痛みが増すことがあります。
朝起きたときに関節がこわばったり、動き出すと少し楽になるという特徴があります。
穀雨の時期におすすめの健康法
食生活の工夫
湿気による消化器系の不調を防ぐため、胃腸に優しい食事を心がけましょう。
とくに、消化を助ける「温性」の食品(しょうが、ねぎ、にんにく)や、利水作用のある食材(ハトムギ、小豆、冬瓜)を取り入れると効果的です。
また、冷たい飲み物や脂っこい食事を避け、消化に負担をかけないようにしましょう。
適度な運動
湿邪が体に溜まると、血液や水分の流れが滞るため、軽い運動を取り入れて巡りを良くしましょう。
とくに、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどのゆるやかな運動が効果的です。
朝に軽く体を動かすことで、一日の気の巡りも良くなります。
入浴で発汗を促す
湿気による体の重だるさを解消するには、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、汗をかくことが大切です。
生姜湯やよもぎ湯を取り入れると、発汗を促し、体内の余分な水分を排出しやすくなります。
生活環境を整える
部屋の湿気を適度に調整し、快適な環境を作ることも重要です。
除湿機や換気を活用し、カビやダニの繁殖を防ぐことで、体調不良を予防できます。
また、晴れた日には布団や洗濯物を外に干し、湿気を溜め込まないようにしましょう。
十分な睡眠をとる
湿気の影響で体が疲れやすくなるため、しっかりとした睡眠を確保することが大切です。
とくに、夜更かしを避け、就寝前にリラックスする時間を作ることで、質の良い睡眠を促せます。
穀雨の時期におすすめのツボ
三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
肝・脾・腎の三つの経絡が交わるツボで、女性にとって特に重要なツボで、3つの経絡が交わる場所にあります。
湿気が体内に溜まることで生じる消化不良やむくみ、冷えを改善します。
足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
消化機能の改善や、全身の倦怠感の緩和にも役立ちます。
陰陵泉(いんりょうせん)
膝の内側、太い骨(脛骨)の下にあるくぼみです。
水分の代謝を調整し、むくみを改善する効果があります。
湿気によるむくみや関節の痛み、体の重だるさを改善する効果があります。
穀雨の時期は、湿邪の影響を受けやすく、体調を崩しやすい季節です。
日々の養生を心がけることで、快適に過ごせるようになります。
これらのツボを指圧やお灸で刺激する際は、基本的には「優しく」「気持ち良いくらい」を目安にします。
強い刺激にならないようにしてください。
また、
鍼灸院での本格鍼灸では、これらのツボや体質に合わせて選んだツボを刺激することで、自律神経のバランスを整え、心身の不調を改善することができます。
お困りの症状がある場合は、お気軽にご相談ください。