啓蟄|鍼灸師が教える二十四節気の健康法

啓蟄の今できる健康法について

啓蟄の健康法|二十四節気・写真1

啓蟄(けいちつ)は、二十四節気の3番目に位置し、2025年は3月5日にあたります。

「啓」は「ひらく」、「蟄」は「虫などが土中に隠れ閉じこもる」という意味で、冬眠していた虫たちが土の中から這い出してくる頃を表しています。

暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也」と記されています。

この時期は、冬の寒さから徐々に暖かくなり、春の兆しを感じ始める頃です。
自然界では、草木の芽吹き、虫たちの活動開始など、生命の息吹が活発になります。

しかし、気温の変化が大きいため、体調を崩しやすい時期でもあります。

昔から「三寒四温」と言われるように、暖かい日と寒い日が交互に訪れ、体温調節が難しくなります。

東洋医学では、春は「発陳(はっちん)」の季節と考えます。
「陳」は古いものを意味し、冬の間に体内に溜め込んだ老廃物を排出し、新しいエネルギーを生み出す時期です。

この自然のリズムに合わせて生活することで、心身ともに健やかに過ごすことができます。

啓蟄の頃に起こりうる心身の不調

啓蟄の頃は、気温や気圧の変化が大きく、自律神経が乱れやすいため、様々な心身の不調が現れやすくなります。

精神的な不調:
気温の変化に体が対応しようとすることで、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、精神的な不安定さを感じやすくなります。
具体的には、以下のような症状が現れることがあります。

気分の落ち込み、憂鬱感:
冬の間に日照時間が短かった影響や、環境の変化などが重なり、気分が沈みがちになります。
イライラ、怒りっぽくなる: 気温の変化に体が適応しようとすることで、エネルギーを消耗しやすく、些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなったりすることがあります。

不眠:
自律神経の乱れにより、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりするなどの睡眠障害が現れることがあります。

身体的な不調:
春は肝の働きが活発になる季節と考えられています。
肝は自律神経や血の巡りを司る臓腑と考えられているため、肝のバランスが崩れると様々な不調が現れます。

頭痛、めまい:
気圧の変化や自律神経の乱れにより、頭痛やめまいを感じやすくなります。

肩こり、首こり:
気温の低下による体の冷えや、精神的なストレスなどにより、筋肉が緊張し、肩や首のこりを感じやすくなります。

消化不良、便秘:
自律神経の乱れにより、胃腸の働きが低下し、食欲不振や消化不良、便秘などを起こしやすくなります。

アレルギー症状の悪化:
花粉の飛散の時期でもあり、花粉症などのアレルギー症状が悪化しやすくなります。

肌荒れ:
気温や湿度の変化、花粉などの影響で、肌が乾燥したり、かゆみやかぶれなどの肌荒れを起こしやすくなります。

これらの不調は、単独で現れるだけでなく、複合的に現れることもあります。
とくに、もともと自律神経が不安定な方や、ストレスを抱えている方は、これらの症状が出やすい傾向にあります。

啓蟄のころの不調を避ける健康法

啓蟄の頃の不調を避けるためには、自然のリズムに合わせた生活を送り、心身のバランスを整えることが大切です。

早寝早起きを心がける:
日の出とともに起床し、日の入りとともに就寝する生活を心がけ、体内時計を整えましょう。

適度な運動:
ウォーキングや軽いジョギングなど、適度な運動を取り入れることで、血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
とくに、朝日を浴びながらの運動は、体内時計のリセットにも効果的です。

バランスの取れた食事:
旬の食材を取り入れ、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
とくに、春は苦味のある山菜などがおすすめです。

十分な睡眠:
質の高い睡眠を確保することは、心身の健康を維持するために非常に重要です。
寝る前にカフェインを摂取しない、寝室を暗くするなど、睡眠環境を整えましょう。

リラックスする時間を作る:
音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、入浴するなど、自分がリラックスできる時間を作り、心身の緊張をほぐしましょう。

衣服で体温調節:
気温の変化に対応できるよう、脱ぎ着しやすい服装を心がけましょう。

規則正しい生活:
食事、睡眠、運動など、規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスを整え、体調を崩しにくくします。

ストレスを溜め込まない:
ストレスは自律神経の乱れを引き起こす大きな原因となります。
適度に休息を取り、ストレスを解消する方法を見つけましょう。

これらの健康法を実践することで、啓蟄の頃の不調を予防し、心身ともに健やかに過ごすことができます。

啓蟄のころの体に効果的なツボ

啓蟄のころに効果的なツボを3つご紹介します。

・太衝(たいしょう)

場所: 足の甲、足の親指と第二趾の骨の間にできるV字の窪みの頂点。
効果: 肝経の経穴であり、肝の気を巡らせ、精神的な安定に効果があるとされています。
イライラや怒り、不眠などに効果的です。

・合谷(ごうこく)

場所: 手の甲側、親指と人差し指の骨が交わるあたり、やや人差し指寄りのくぼみにあります。
効果: 合谷は「万能のツボ」とも呼ばれ、全身の気の巡りを整え、免疫力を高める効果があるとされています。
とくに、上半身の血行促進、免疫力向上、鎮痛作用などに優れています。
頭痛や肩こり、便秘などに効果的です。

・内関(ないかん)

場所:手首の内側、手首のしわから指3本分肘側にあるツボです。
効果:心包経の経穴であり、精神を安定させ、吐き気や動悸を鎮める効果があるとされています。
精神的な不安や吐き気、消化不良などに効果的です。

これらのツボを、軽い指圧やお灸で刺激すると効果的です。
日常のケアに取り入れてみてください。

こちらもご参考に。

やはりセルフケアだけでは足りません…