かすみ目に効くツボ
かすみ目に効くツボ

かすみ目でお悩みとのこと。
仕事や家事、育児で忙しい毎日を送る中で、目のかすみは日常生活に不便や不快を感じることと思います。
今回は、かすみ目に効くツボをご紹介しますので、セルフケアにお役立てください。
西洋医学からみたかすみ目
西洋医学では、かすみ目は目のレンズ機能や網膜・視神経の異常など、さまざまな原因によって引き起こされる症状と捉えられます。
主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
■眼精疲労
パソコンやスマートフォンの長時間使用、読書などによる目の酷使が原因で、目の筋肉が疲労し、ピント調整機能が低下してかすみ目が生じます。
■ドライアイ
涙の分泌量や質が低下することで、目の表面が乾燥し、光が乱反射してかすんで見えます。
■近視・遠視・乱視
度数の合わない眼鏡やコンタクトレンズの使用、またはこれらの屈折異常そのものが原因で、網膜に正確な像が結ばれず、かすみ目として感じられます。
■白内障
目の中の水晶体が濁ることで、光が十分に透過せず、全体的にぼやけて見えたり、まぶしさを感じたりします。
加齢に伴って発症することが多いです。
■緑内障
視神経が障害され、視野が徐々に欠けていく病気です。
初期には自覚症状が少ないこともありますが、進行するとかすみ目や視力低下が現れることがあります。
■その他の病気
糖尿病網膜症、ぶどう膜炎、網膜剥離など、目の病気が原因でかすみ目が生じることもあります。
また、全身疾患や薬剤の副作用が原因となることもあります。
西洋医学的な治療法
西洋医学的な治療法は、かすみ目の原因によって異なります。
■眼精疲労・ドライアイ
目薬(人工涙液、ピント調節機能改善薬など)の処方、目の休養、生活習慣の改善(VDT作業の見直し、加湿など)が中心となります。
度数の合った眼鏡やコンタクトレンズの処方で矯正します。
■白内障
進行した場合は手術(濁った水晶体を除去し、人工のレンズを挿入する)が検討されます。
■緑内障
眼圧を下げる目薬の使用が一般的です。進行を抑制することが目的となります。
■その他の病気
各疾患に応じた専門的な治療が行われます。
東洋医学からみたかすみ目

東洋医学では、かすみ目は単に目の問題として捉えるのではなく、全身のバランスの乱れが目に現れていると考えます。
目と深い関係にあるのは「肝(かん)」と「腎(じん)」です。
肝と腎の働き
■肝(かん)
東洋医学における「肝」は、血(けつ)を貯蔵し、全身に巡らせる働きがあります。
また、精神活動や自律神経の調整にも関与し、「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言われ、目の機能と密接な関係があります。
肝の働きが滞ると、目の栄養不足や機能低下につながり、かすみ目や眼精疲労、ドライアイなどの症状が現れやすくなります。
■腎(じん)
「腎」は、生命活動の根本的なエネルギーである「精(せい)」を貯蔵する臓腑です。
精は成長、発育、生殖、老化などに関わり、骨や歯、脳、耳、そして目などの機能に深く関与しています。
腎の機能が衰えると、精が不足し、目の滋養が不足してかすみ目や視力低下、老眼などが早まることがあります。
これらの概念に基づいて、かすみ目の主な体質別アプローチを説明します。
体質別の説明
■肝血虚(かんけっきょ)タイプ
特徴:
肝の機能が低下し、血が不足している状態です。
血は目に栄養を供給するため、血が不足すると目の滋養が不足し、かすみ目や眼精疲労、ドライアイ、目の奥の痛みなどが現れやすくなります。
顔色が青白い、爪がもろい、髪がパサつく、立ちくらみ、月経量が少ない、月経不順なども見られます。
生活習慣:
長時間のPC作業やスマートフォンの使用、睡眠不足、ストレス過多が肝血虚を悪化させやすいです。
■肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
特徴:
ストレスや精神的な抑圧により、肝の「気」の流れが滞っている状態です。
気の滞りは血の流れも阻害し、目に十分な栄養が届かなくなってかすみ目や目の充血、目の痛み、イライラ、頭痛、肩こり、胸や脇腹の張り、生理前の不調などが現れます。
生活習慣:
ストレスの多い環境、感情を溜め込みやすい性格が肝鬱気滞を招きやすいです。
■肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ
特徴:
肝の気の滞りがさらに進み、熱を帯びて上方に燃え上がった状態です。
目に熱がこもり、目の充血、痛み、乾燥、かすみ目、さらには頭痛、めまい、耳鳴り、口の苦味、怒りっぽいなどの症状が見られます。
生活習慣:
辛いものや脂っこいものの摂りすぎ、過度な飲酒、夜更かしなどが肝火を助長します。
■腎精不足(じんせいぶそく)タイプ
特徴:
加齢や過労、慢性疾患などにより、腎に貯蔵されている「精」が不足している状態です。
精は目の滋養にも深く関わるため、不足すると目の機能が衰え、かすみ目、老眼の進行、視力低下、ドライアイなどが現れやすくなります。
耳鳴り、めまい、足腰のだるさ、物忘れ、頻尿なども見られます。
生活習慣:
睡眠不足、過労、不摂生な生活が腎精を消耗させます。
■脾気虚(ひききょ)タイプ
特徴:
消化吸収を司る「脾(ひ)」の働きが低下し、「気(き)」の生成が不十分な状態です。
気は全身のエネルギー源であり、目の機能にも必要不可欠です。気が不足すると、目に十分なエネルギーが供給されず、かすみ目、眼精疲労、まぶたの重さ、食欲不振、倦怠感、下痢などの症状が現れます。
生活習慣:
不規則な食生活、過度な食事制限、心配事が多いことなどが脾気虚を招きやすいです。
かすみ目に効くツボ
東洋医学では、かすみ目の改善には、目の周りのツボだけでなく、全身のツボを使って体のバランスを整えることが大切です。
それぞれの体質に合わせて適切なツボを選ぶことで、より効果的なアプローチが可能になります。
かすみ目に効く共通のツボ
どの体質の方にも共通しておすすめできるツボは、目の疲れを和らげ、血行を促進し、目の機能をサポートするツボです。

■睛明(せいめい)
目の内側、鼻の付け根のくぼみにあるツボです。
目のかすみ、眼精疲労、目の充血などに効果的です。
親指と人差し指で挟むように優しく押さえます。
■太陽(たいよう)
こめかみの、眉尻と目尻の中間から少し外側にあるくぼみにあるツボです。
頭痛や眼精疲労からくる目のかすみに有効です。
指の腹でゆっくりと円を描くように押します。
■承泣(しょうきゅう)
瞳の真下、眼窩の下縁にあるツボです。
目の奥の疲れやかすみ、目の周りの血行促進に役立ちます。
優しく指の腹で押します。
■賛竹(さんちく)
眉毛の内側、眉頭のくぼみにあるツボです。
眼精疲労や目の充血、頭痛の緩和に効果的です。
親指で上に押し上げるように刺激します。
■合谷(ごうこく)
手の甲で親指と人さし指の間。
全身の気の流れを整え、特に頭部の症状に有効です。
目の疲れやかすみ、頭痛にも効果が期待できます。
少し痛みを感じるくらいの強さで押さえます。
お灸も効果的です。
■足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下、外側のくぼみに人差し指を置き、指幅4本揃えて小指が当たっているところにあります。
消化器系の働きを整え、全身の気血を補うことで、目の栄養状態を改善します。
お灸もおすすめです。
かすみ目に効果的な体質別のツボ
それぞれの体質に合わせて、より効果的なツボを選択することで、根本的な改善を目指します。
肝血虚(かんけっきょ)タイプ
■膈兪(かくゆ)
肩甲骨の下端と同じ高さで、背骨から外側へ指幅2本よこが膈兪です。
血の生成に関わるツボで、目の滋養に効果的です。
■三陰交(さんいんこう)
内くるぶしのいちばん高いところに小指をおき、指幅4本そろえて、人さし指があたっているところが三陰交です。
血を補う作用が強いです。
肝鬱気滞(かんうつきたい)タイプ
■期門(きもん)
みぞおちから肋骨の下縁をたどり、鎖骨の下で、乳首と同じ線上にある。
もしくは、みぞおちから肋骨へ指を移動し、肋骨と肋骨の間を押して痛みを感じるところが期門です。
肝の気の滞りを改善し、ストレスを緩和します。
■太衝(たいしょう)
足の甲にあります。足の親指と人差し指の骨が交わる所です。
肝の気の流れをスムーズにする効果が非常に高いです。
肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ
■行間(こうかん)
足の親指の人差し指のあいだが行間です。
肝の熱を冷ます効果があります。
■曲池(きょくち)
親指を上にして腕を前に出し、ヒジを曲げてできる曲がりジワの先端。
体の熱を冷まし、目の炎症を鎮める効果があります。
腎精不足(じんせいぶそく)タイプ
■腎兪(じんゆ)
まずヒジの高さを確認します。ヒジと同じ高さで背骨の両脇を親指で押して気持ちよく感じるところ。
腎の働きを助け、精を補います。
■関元(かんげん)
指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、小指があたっているところ。
生命エネルギーの源を養い、全身の滋養強壮に効果的です。
脾気虚(ひききょ)タイプ
■脾兪(ひゆ)
第11胸椎と第12胸椎の間から指幅2本分外。肩甲骨の下端と同じ高さの背骨のすきまを4つ下がったところ(ここが11胸椎と12胸椎の間)。
脾の働きを助け、気の生成を促します。
■中脘(ちゅうかん)
おへそに小指をあてて、親指までの指幅5本。親指があたっているところを目安にして指でやさしくなでるとへこみがあるところ。
消化吸収を司る脾胃の機能を高め、全身の気血を補います。
ツボを自分で探す時のコツ
より効果的なツボをご自身で探す際は、以下の点を意識してみてください。
ツボの基本位置を確認
鍼灸院での指導や書籍、ウェブサイトなどでツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴の場合、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりに位置します。
押して探す
だいたいの目安の場所の近辺を指で軽く押しながら、周囲を探ります。
「イタ気持ちいい」感覚や、ズーンと響くような感覚がある場所が、ツボの可能性が高いです。
合谷であれば、骨の交わる部分からやや人差し指側を探ると、凹みがあり、圧痛を感じる場所が見つかるはずです。
体の反応をみる
ツボを押すと、血行が良くなったり、体が温まったりする感覚がある場合があります。
ただし、ツボの位置は個人差がありますので、あくまで目安として捉え、無理に強い力で押さないように注意しましょう。
もし不安な場合は、鍼灸師などの専門家にご相談ください。
せんねん灸(台座灸)の使い方と注意点
ご自宅で手軽にできるセルフお灸として、「せんねん灸」の使い方と注意点について解説します。
「せんねん灸」は、ドラッグストアなどで手軽に購入できるお灸の製品名です。
せんねん灸タイプのお灸は「台座灸」と呼びます。
せんねん灸と似たような形の他の商品も多数あり、使用方法などは基本的には同様です。
せんねん灸の使い方
種類を選ぶ
「せんねん灸」には様々な種類があります。

「ソフト(弱)」「レギュラー(中間)」「あつめ(強)」の3つの種類があります。

初めての方は、熱さが「マイルドなタイプ」から試してみることをお勧めします。
ツボの場所を決める
どのツボを使うかはあらかじめ決めておき、ツボの目安を指でさぐりながらより効き目の高いポイントを決めて、ペンなどで印をつけます。
準備
お灸を据える場所を清潔にし、皮膚に異常がないか確認します。
台座の裏紙を剥がす
「せんねん灸」の台座裏についている薄い紙を剥がします。
もぐさに点火
巻きもぐさの先端に線香などで火をつけます。
皮膚に据える
火がついた「せんねん灸」を、ツボに据えます。
熱さを感じたら、無理せずすぐに取り外してください。我慢は禁物です。
取り外す
使用後、完全に火が消えていることを確認してからとりあえずして、捨ててください。
お灸をする上での注意事項
・熱さを我慢しない
熱すぎると感じたら、すぐに取り外してください。無理に我慢すると、やけどの原因になります。
・同じ場所に続けて据えない
皮膚に負担がかかるため、同じ場所に続けてお灸を据えるのは避けましょう。
・顔面、粘膜、傷口、炎症部位への使用は避ける
これらの部位は皮膚がデリケートなため、お灸の使用は避けてください。
・発熱時、飲酒時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける
体調が優れない時は、お灸を控えるようにしましょう。
・皮膚の弱い方、アレルギー体質の方は注意
使用前に必ずパッチテストを行うか、医師や薬剤師に相談してください。
・使用中に異常を感じたら、直ちに使用を中止し、医師に相談
万が一、皮膚に異常が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。
・乳幼児への使用は避ける
小さなお子様への使用はお控えください。
・火の取り扱いに注意
火を使うため、火災には十分に注意してください。
周囲に燃えやすいものがないことを確認し、換気をしながら行いましょう。
上記に注意して、安全にせんねん灸をご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
セルフケアのツボ押しの方法と注意点
ご自宅で簡単にできるセルフケアとして、ツボ押し(マッサージ)について解説いたします。
ツボ押しは、体の不調を和らげたり、リラックス効果を高めたりするのに役立ちます。
ツボ押しの方法
リラックスできる環境を整える
静かな場所で、楽な姿勢で行いましょう。
ツボの位置を確認
書籍やウェブサイトなどで、目的のツボの位置を確認します。
たとえば「合谷(ごうこく)」穴は、手の甲、親指と人差し指の骨が交わるあたりです。
指の腹で押す
親指や人差し指の腹を使い、ツボを垂直に押します。爪を立てないように注意しましょう。
適度な力で押す
「イタ気持ちいい」と感じる程度の力で、ゆっくりと押します。
強く押しすぎると、痛みを感じたり、皮膚を傷めたりする可能性があります。
時間をかけて押す
1つのツボにつき、5秒から10秒程度、ゆっくりと押したり離したりを繰り返します。数回繰り返すと効果的です。
呼吸を意識する
力を入れる時に息を吐き、力を抜く時に息を吸うと、よりリラックスできます。
温めてから行うと効果的
入浴後など、体が温まっている状態で行うと、血行が促進され、より効果を感じやすくなります。
ツボ押しをする上での注意事項
・食直後、飲酒時、発熱時、妊娠中、体力が著しく低下している時は避ける:
体調が優れない時は、ツボ押しを控えましょう。
・皮膚に炎症や傷がある場合は避ける:
患部を刺激することで、症状が悪化する可能性があります。
・強く押しすぎない:
強い力で押すと、筋肉や血管を傷つける可能性があります。あくまで「イタ気持ちいい」程度の力で行いましょう。
・長時間同じ場所を押さない:
皮膚に負担がかかるため、長時間同じ場所を押すのは避けましょう。
・力を抜くことを意識する:
力を入れっぱなしにすると、筋肉が緊張してしまい、効果が得られにくくなります。
・体調に異変を感じたら中止する:
ツボ押し中に体調が悪くなった場合は、直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・乳幼児へは避ける:
小さなお子様へはお控えください。
・持病のある方は医師に相談:
心臓疾患や高血圧など、持病のある方は、ツボ押しを行う前に医師に相談してください。
上記に注意して、安全にツボ押しをご活用ください。
ご不明な点があれば、お近くの鍼灸師にご相談ください。
ドライヤーお灸のやり方と注意事項
ドライヤーお灸は、火を使わずにドライヤーの温風を利用してツボを温める、手軽で安全な方法です。
広い範囲を温める場合や、火を使うお灸に抵抗がある方や、初めてお灸を試す方におすすめです。
ドライヤーお灸のやり方
準備
ドライヤーと、もしあればですが、姿見もしくは手鏡を用意します。
手鏡があると、背中など見えにくい部分のツボを温める際に便利です。
温風の当て方
ドライヤーを肌から5~10cmほど離します。
近すぎると熱くなりすぎるため、必ず距離を保ってください。
温風の温度は、低温(50~60度程度)に設定します。
ドライヤーに温度調節機能がない場合は、ドライヤーと肌の距離を調整することで熱さを調節します。
熱く感じたらすぐにドライヤーを離すようにしてください。
温風を当てる時間は、1つのツボにつき、熱いと感じたら離す、を5回程度繰り返します。
連続して長時間当て続けるのは避けましょう。
温める場所
特定のツボを意識する必要はありますが、厳密な位置にこだわる必要はありません。
ドライヤーの温風は比較的広い範囲に当たるため、「面」で温めるイメージで大丈夫です。
ツボの周辺をじんわりと温めることで、効果が期待できます。
行う頻度
朝晩2回程度行うのがおすすめです。
ご自身の体調や生活に合わせて、無理のない範囲で行ってください。
ドライヤーお灸の注意事項
・怪我や炎症、痛みなどで熱を持っている部位には使用しないでください。症状が悪化する可能性があります。
・泥酔時や発熱時など、体調がすぐれない場合は使用を控えましょう。
・他人にドライヤーお灸を行うのは避けてください。
温度の感じ方には個人差があり、火傷をさせてしまう可能性があります。
・使用中に皮膚に異常(赤み、かゆみ、痛みなど)が現れた場合は、直ちに使用を中止し、必要に応じて医師に相談してください。
・同じ部位に長時間当て続けないように注意してください。
低温火傷の原因となることがあります。
鍼灸院での本格的な施術のすすめ
今回ご紹介したツボは、ご自宅でも簡単にできるセルフケアとして有効です。
セルフケアも大切ですが、かすみ目が継続するようですと、その改善には、東洋医学の専門家である鍼灸師による本格的な施術も有効です。
当院では、25年間の臨床経験と5万人以上の施術実績を持つ院長が、お一人おひとりの体質や症状を丁寧に問診し、脈やお腹、舌の状態を詳しく拝見することで、あなたの「かすみ目」の原因を深く探ります。
もし、かすみ目だけでなく、長引く目の疲れや、西洋医学的な治療だけでは改善が難しいと感じている場合は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
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